こんにちは、和彩クリエイターDécorer Takasaki です。
紫陽花が咲き、梅雨の時期に入ってきた6月。
紫陽花柄の浴衣
この時期になると、そろそろ浴衣が気になりますよね。
5月や6月から着てもいいの? 9月や10月のお祭りや花火大会に着てもいいの? と迷っている皆さんに、本日は今からでも間に合う浴衣マナーについてお伝えします。
三勝 刷毛目紬(はけめつむぎ)の浴衣
浴衣の展示会は早いものでは春頃から始まっていますが、ある程度のものが揃い始めるのは、GW明けからです。
反物からお誂えを考えている人は、お店によって仕立てに時間がかかる場合もあるので、その辺りを考えて早めに見ておいた方が良いかもしれません。お誂えの場合、6月前半あたりまでに注文すれば、7月の浴衣の旬に間に合います。
既成ものであれば買ってすぐ着られるので、6月には店頭や通販サイト等にさまざまな種類が出そろって、今年の浴衣のトレンドを見定めて選ぶことができるでしょう。
ここで一度、浴衣の歴史を紐解いてみましょう。
浴衣の原点は、平安時代中期頃に遡ります。
その頃の身分の高い方々は、入浴の際に麻の単衣(ひとえ)を纏っていました。この時に着用した、湯帷子(ゆかたびら)が現在の浴衣の始まりと言われています。
そして、今のような浴衣が全国的に定着したのは、明治時代に入ってから。
それまでは本藍(ほんあい)をひとつひとつ手で染めたものが中心でしたが、それに代わって大量生産できる※注染(ちゅうせん)という手法が一般にまですそ野が広がったきっかけです。
※注染(ちゅうせん)とは
染料を生地に流し込む技法。東京浴衣の代表であり、手ぬぐいやふきんなどにも使われます。ほかの技法として、染料の中に生地を浸す、浸染(しんせん)があります。
紅梅織り
☆浴衣の素材の種類
・岡木綿、コーマなどの綿素材、
・綿紅梅、絹紅梅といった、畝(凸凹)があり肌触りがシャリッとした麻や紬などがの素材があります。
浴衣としてオーソドックスなのは、コーマなどの綿素材ですが、襦袢に半衿を合わせて浴衣を夏着物としても着たいならば、紅梅織(綿紅梅、絹紅梅)のものが素敵です。
コーマ
☆浴衣の染めの種類
長板本染中形(ながいたほんぞめちゅうがた)、絞り染めなど。以前滝川クリステルさんがビールのCMで着て話題になった雪花絞りなどは、絞り染めの一種です。
ここまではザックリと浴衣の基本的なお話でした。それを押さえたところで、実際のところ浴衣っていつからいつまで着られるの?浴衣っていつ買えばいいの?というお話に移ります。
では、マナーとして本当は浴衣はいつからいつまで着られるものかわからないという質問にお答えします。
最近は、温暖化などにより暑くなる時期が早まったり遅くなったりしていて、浴衣の種類(素材)や着方も多様化しているので、一概に言えない部分もありますが、浴衣の旬はやはり盛夏(7~8月)、暑い時に素肌に素足でサラッと着るのが基本です。
岡木綿、コーマなどのシンプルな綿素材ならまさに7~8月が最適だと思います。逆に綿紅梅、絹紅梅などの生地は、半衿を合わせてちょっとした夏のお出かけ着に活用できるので、季節先取りで6月の末頃からなら大丈夫です。
季節先取りというものの、4月5月はまだ袷(あわせ)の季節です。
基本的に浴衣は単衣(裏の付いていないもの)であるので、この頃からの浴衣はちょっと早すぎるかも知れません。
こちらは8月のお盆を過ぎると、そろそろ浴衣シーズンは終わりと思いますが、実際最近は9月の始めはまだ暑い日が続きます。
なので、もしその頃に着るならば、夏着物として使える生地――例えば紅梅織りや楊柳(ようりゅう)、そのほか合繊で着物に近い生地の浴衣であれば、応用も可能です。
10月になると袷(裏地が付いているもの)の着物を着てちょうど良い気温となるので、その頃までには浴衣も次のシーズンのためにメンテナンスに出しましょう。
浴衣を着物のように半衿をつけて着る着こなしもよくみられるようになりました。
夏着物として使える生地ー例えば紅梅織りや楊柳(ようりゅう)、そのほか合繊で着物に近い生地のものであれば、5月末や9月の始めでも十分活用できます。襦袢に半衿をつけて足袋を履いて、単衣の着物としてオシャレに着こなしてみては如何でしょうか。
浴衣を夏着物として応用する時には、紅梅織りなどのいわゆる高級浴衣と呼ばれるものがオススメです。
帯も、絽、紗、羅、麻など、透け感のあるもので涼しさを演出して頂ければと思います。
ここでも季節先取りで、帯締め帯揚げは、5月に薄い色を9月には少し濃いめの色で季節感を出すのも、ひとつの方法です。
様々な世代の人たちが多種多様に楽しむ浴衣