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川上量生さん(カドカワ代表取締役)から「抗議」という名のラブレターが届く RT @nkawa2525

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 最後に、私見ではありますが、川上量生さんは政府委員であり、重要な政策について”有識者”として政府内で直接議論を行い関与する人物です。この発言内容や利害関係に関して、明示できる根拠をもって内容を精査し意見論評を加え、場合によっては然るべき批判を加えるのは、民主主義の大事な機能の一つであると考えています。

 しかしながら、川上さんと私の発言における個別のコンテクストすら明示せず、いたずらに私の発言が名誉棄損だ誹謗中傷だと断定したうえで、適切な手続きも経ずに謝罪と削除を求め、また、所属団体であるJILISの責任さえも問うというのは言論弾圧に類するものであろうと思います。

 私個人はJILISの所属ではあるものの金銭の授受や取引はなく、また、JILISから川上量生さんに対して意見論評を行えという組織的な要請もなければ共謀の事実もありません。研究プロジェクトの発注でもなく、個人での活動は制約されるものではない、好きに公に発言して良い、としか言われていないというのが紛れもない事実です。JILISは上意下達の会社組織による指示・命令系統のある団体ではなく、意識と知識のある有志個人の集まりでしかないのです(もちろん無給です)。

 仮にこれが、どこかの企業に所属する、あるいは、何らかの文筆業を行いカドカワほか特定の出版社と深い関係にある執筆者であったならば、「カドカワ株式会社 代表取締役」を名乗っての抗議を見てビビったり、筆を丸めたりする人たちも出るかもしれません。実際、私自身はペンネームを使った執筆者としてカドカワから少なからず執筆に対する報酬を得ており、川上量生さんから抗議をされることでこれらの版権を扱わない決定をされて収入が減ったり、新しいカドカワ方面の仕事ができなくなるリスクはすでに感じているところです。

 それでも、一連の海賊版サイトのブロッキング議論や、新たに文化庁で話が進んでいるリーチサイト規制、ダウンロード違法化の問題については、いずれも憲法上の問題があるだけでなく、通信業界の根幹である通信事業法に抵触する可能性が高く、さらに、罰則の対象者はNTTグループなどの事業者ではなく実際にブロッキングを手配する現場の技術者や作業者個人になります。このような多くの利害関係者がいることが分かっていながら、ただ海賊版による被害額を過大に見積もり、政府に働きかける方法論は自社や業界の利益のみを追求するためだと評されてもそう遠くはないでしょう。

 このような議論については、誰が何と言おうと、リスクを背負ってでも批判しなければなりません。私個人や関係法人とカドカワ他取引先で得られる利益が失われようとも、社会全体の便益のためにモノを知りモノを言える人間が立ち上がらなければならない、公論として論じるべきものは論じることが神たり得ぬ人間の為すべき務めであると確信します。

 いずれにせよ、上記内容につきまして、川上量生さんからの返答をお待ちしつつ、内容を精査のうえ、正しいと思う部分については引き続き論じ、もしも誤りがあるようであれば謝罪もいたします。ただし、私は川上量生さんの一連の議論全体において、川上量生さんは不誠実であり続けたと考えています。川上量生さんに「NTTと密約があるのではないか」と訊いた際の否定、その後のメディアで「NTTを訴えてもいいですか」とのインタビュー記事でようやく追認。「クラウドフレア社は裁判所の決定に応じないであろう」とした川上量生さんの発言を確認した後、クラウドフレア社は海賊版サイトの運営監理者情報を提供したことが判明した際の態度。さらには、同じ検討会議構成員でブロッキング推進派である林いづみさんが社外取締役を務めたクールジャパン機構からカドカワ子会社に4億円あまりの出資を行う利害関係者である指摘を行った件は、いずれも事実関係を明らかにしたうえで川上量生さんに問いかけてきたものです。果たしてこれらは川上さんに対する個人攻撃なのでしょうか。

 そもそも、個人攻撃という点で言うならば、私は川上量生さんに「バカ」と書かれ、「総会屋2.0」と謂れもない中傷をされています。また、友人である黒川文雄さんの開催している『黒川塾』というイベントにおいては、昨年出演しようとした私や主宰の黒川さんに対して実在するカドカワグループの幹部社員を名乗る人物から「このようなイベントを開催すると、あなたの風評に取り返しのつかない問題が起きますよ」という”忠告”をいただいたりもしました。他にも幾つもありますが、そのようなご自身に関わるところでの個人攻撃を棚に上げて、事実の指摘や批判的な意見論評を中傷と捉え、謝罪と削除を求めることに関しては、川上さんの過去の経緯に対する釈明なしに簡単に応じるつもりはありません。

 いずれにせよ、本件については引き続き、いままでと変わらず、神以外の誰からの制約を受けることもなく、私は私の判断で、私の責任のもとで行動を続けていくつもりですし、逆に、誰からどのようなことを言われようとも、必要なことは申し上げていこうと存じます。

 今後とも、よろしくお願い申し上げます。



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