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岐阜狩猟禁止20市町、戸惑い 豚コレラ拡大の中、全国で解禁
散弾銃やライフル銃を使う狩猟が十五日、全国で始まった。県内は岐阜市の養豚場の豚が感染した家畜伝染病「豚(とん)コレラ」が野生イノシシに広がっていることから、二十市町にまたがるエリアの狩猟が来年三月十五日まで禁止されるという異例のシーズン入りとなった。厳しい状況に直面した猟友会員からは「いつまで豚コレラ騒動が続くのか」という不安の声が聞かれた。 狩猟は夜明けとともに解禁された。海津市の養老山地には地元の仲間十三人が集まり、猟犬を連れた勢子が中心になってイノシシやシカを追う大物猟を展開。早々とシカ一頭を捕獲して解禁日を盛り上げた。 一方で狩猟禁止区域は岐阜、関、美濃、本巣市、揖斐川町など広範囲に及び、獣類の銃猟とわな猟のほかキジやカモを狙う平野部の鳥猟も禁止されている。県内で狩猟者登録をする人は例年、県外在住者を含めて約三千五百人いるが、多くが猟場を閉め出された形だ。 美濃市の小池富男さん(70)は「地形を知らない山だと大物猟はできない。鳥猟専門の人を含め、みんな行く所がなくて困っている」と嘆く。市町によっては禁止区域が細かく分かれており、県には「うちの猟場は入れるのか」という問い合わせもあるという。 大物猟はグループで行うことが多く、射手の適切な配置など誤射事故を起こさないための安全確保が欠かせない。郡上市猟友会は、禁止区域の人が同市内の慣れない猟場に入ることを想定し、文書で会員に注意を求めた。同市白鳥町の松川哲也さん(37)は「今のところ郡上は猟ができるが、イノシシが移動先で感染することも考えられる。これからが心配だ」と話した。 出猟をあきらめる人が目立つ中、岐阜市の奥田銃砲火薬店では狩猟用の弾の売れ行きが例年の三割ほどに落ち込んだ。同店は「こんな状態が続けば、猟をやめる人も出てくるのでは」と心配する。 豚コレラは、有害鳥獣駆除を担う猟友会の活動にも影を落とす。元県猟友会副会長の竹中孝道さん(74)=海津市=は、狩猟禁止区域の獣類が増えて農林業に食害を及ぼす可能性を指摘した上で「感染の恐れがあるイノシシを集中的に駆除する対策も必要ではないか」と話した。 (中山道雄) ◆県など巡回「法令順守を」
銃やわなを使う狩猟が解禁された十五日、県と各自治体、県警各署と地元猟友会の会員らが合同で、狩猟での法令順守を呼び掛ける県内一斉のパトロールを実施した。 豚コレラの影響で狩猟禁止区域になった関市西神野の山林では、許可を受けた有害鳥獣駆除や調査捕獲以外に、違法に猟が行われていないか確認した。 中濃県事務所職員、関市職員、関署員ら六人が、市猟友会の会員二人の案内で、昨年の猟期に猟が行われていた山林を巡回。違法なわながないかどうかを確かめた。 (鈴木太郎)
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