二千人超が犠牲になったインドネシア・スラウェシ島の地震から三週間。同国からの要請で、日本が復興計画の策定を支援することになった。東日本大震災の経験などを生かした国際協力としたい。
インドネシアの国家開発計画庁は、復興計画は一カ月で完成させたい考え。手始めとして、日本は国際協力機構(JICA)の約二十人を被災地に派遣し、実態を調べている。同庁は「地震や津波からの復旧で多くの経験を持つ日本は、計画を一緒に考えられる唯一の国だ」と期待している。
スラウェシ島はトラジャコーヒーで知られ、面積は北海道の約二倍。九月二十八日、同島中部を震源としたマグニチュード(M)7・5の地震が発生。州都パル郊外などが津波や液状化現象に襲われ、二千人を超す犠牲者が出たほか、五千人近くが泥に埋まったままとみられている。しかし捜索は地震から二週間の今月十二日で打ち切られた。通信事情は悪く、がれきなどの撤去は進んでいない。
二〇〇四年、インドネシアなどインド洋周辺の十二カ国で二十二万人以上の犠牲者を出したスマトラ沖地震津波の際、インドネシアは各国からの支援を一度に受けて混乱したという。今回は、復興計画のパートナーとして、一九九五年の阪神大震災や二〇一一年の東日本大震災を経験した日本一国に絞り、支援を要請していた。
両国は、国交を樹立してから今年で六十年。長く友好関係にあり、日本からの円借款など政府開発援助(ODA)は、累計で約五兆六千億円(一六年度まで)に達し、日本にとって最大の援助国。日本企業の進出も多い。
インドネシア周辺では今世紀に入り、M7級の大地震が十数回起きた。同国はインド・オーストラリアプレートとユーラシアプレートの境界上にあり世界一の地震国だが、途上国ゆえインフラは脆弱(ぜいじゃく)で防災設備も整備されていない。
復興計画に基づく実際のプロジェクトにも、日本が主体的に関わることになろう。そして、今回の地震や津波、液状化のメカニズム解明にも日本の知恵を注いでほしい。日本の防災・減災研究にも役立つと思われるからだ。
日本では、M8~9級の南海トラフ地震が「今後三十年に70~80%の確率で起きる」とも予測されている。東日本大震災などからの復興を進めつつ、インドネシアの復興を積極的に手伝い、将来にも備える-地震国、友好国として、できうる限りのことをしたい。
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