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【社説】

ユニーの行方 ドンキと化学反応を

 中部地方を地盤とする総合スーパー「ユニー」が、ディスカウント店大手のドンキホーテホールディングスの傘下に入る。異なる店舗形態で成長を続ける企業に、経営再生のかじ取りを託す。

 一九七一年に名古屋で誕生したユニーは、現在の主力店舗の「アピタ」や「ピアゴ」を関東などでも展開し、特に地元の中部で根強い人気がある。食料品から衣料、家電、家具まで生活用品がそろう総合スーパーは、暮らしに身近な存在であり、テナントを集めたショッピングセンターも運営して流通業界をけん引してきた。

 近年は、衣料のユニクロのような専門店が台頭し、ドラッグストアは食品を安く売るようになった。インターネット通販の普及も著しい。総合スーパーは幅広い品ぞろえが、むしろ足かせとなりユニーの業績も低迷していった。

 厳しい経営環境の裏返しで、この二年のユニーを巡る動きは目まぐるしい。まず二〇一六年九月にコンビニ大手のファミリーマートと経営統合した。コンビニ事業ではユニー傘下だったサークルKとサンクスのファミマへの店舗転換が進む一方、総合スーパー事業はさほど好転せず、経営統合から一年後にドンキと提携した。そして今回のドンキ傘下入りである。

 ドンキと言えば、商品の山積み陳列や店内の手書き広告で知られる。若者を意識し、遊び感覚で買い物を楽しめる店づくりに定評がある。今年に入り、ドンキ流の運営を取り入れた改装店舗の売り上げが半年間で劇的に増えたことから、ユニーはドンキの完全子会社となる道を選んだ。いささか急ぎ足に思えるが、それほど総合スーパーの経営は難しくなっている。ドンキは長崎屋を再生した実績があり、流通業でも異彩を放つ店舗運営に頼るほかなかった。

 合理的な経営判断だとしても、利用者には「ユニー」が切り売りされるように映るかもしれない。この上は、ユニーと親会社になるドンキが互いの強みから化学反応を起こし、それが利用者に還元されることを期待したい。

 ユニーの店舗の五割強はドンキ化される見通しだが、得意とする生鮮食品の仕入れや自主企画ブランドを磨いてユニーらしさを生かす道もあろう。

 ユニーの今の親会社のユニー・ファミリーマートホールディングスはドンキに出資してグループ企業とする。ユニー・ファミマ親会社の伊藤忠商事を含め、利用者本位のユニー改革を進めるべきだ。

 

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