ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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ナザリック地下大墳墓第ニ階層〈屍蝋玄室〉──今日の階層の見回りを既に終えたありんすちゃんは自分の部屋でのんびりしています。
普段使っていないクローゼットの引き出しを開けてみたありんすちゃんは、綺麗に並べて仕舞われているたくさんの胸パッドを見つけました。
「ありんすちゃん様、これは全てかつてシャルティア様であった頃にお使いになっていました胸を大きくするパッドでございます」
ありんすちゃんの質問にヴァンパイア・ブライドが答えます。シャルティアだった頃ならともかく、5歳児位の女の子に過ぎない現在のありんすちゃんには全く無用な物ですから、今までありんすちゃんは存在する事すら気がつかなかったのも仕方ありませんね。
「ぱっど、でありんちゅか? 色んな種類があるんでありんちゅね」
ベッドの上に並べられたたくさんのパッドを眺めながらありんすちゃんはため息をつきました。デザインや色も様々で、素材もいろんなものがあります。以前のシャルティアのパッドにかける情熱がこのコレクションから垣間見る事が出来ます。
「シャルティア様はこちらのシリコン製の品をお試しになられましたが、重さで落ちてしまい、結局こちらの布製のパッドを左右それぞれ三枚ずつ重ねて着用される事が多かったそうです」
ありんすちゃんにはシャルティアだった頃の記憶がほとんどありません。ですが、ひどくこだわっていた事らしく、今のありんすちゃんにも惹かれる気持ちがありました。
「……あの……ありんすちゃん様、お試しになりますか?」
ありんすちゃんの気持ちを察してヴァンパイア・ブライドが声をかけました。勧められるままに、ありんすちゃんは胸にパッドをつけてみましたが残念です……さすがにサイズが合わないので無理でした。
本来の用途での使用はあきらめたありんすちゃんですが、まだまだ興味が尽きないようです。ベッドの上に広げられたコレクションを一つ一つ、じっくりと見比べるのでした。
「こっちのはプルプルでありんちゅね」
ありんすちゃんが気に入ったのは肌色のシリコン製のパッドでした。本物のオッパイ同様の感触で、指先で突っつくとプルンと揺れます。
「……気持ちいいでありんちゅ」
ありんすちゃんはパッドに顔をすりすりしてみました。少しひんやりしていて病みつきになりそうです。その内になにやら閃いたありんすちゃんは頭にパッドを乗せるとリボンで縛りました。
「ひんやりして気持ちいいでありんちゅ」
すごいですね。ありんすちゃんは時々ただの5歳児位の女の子に思えない発想力を発揮しますよね。
ちなみにこのありんすちゃんの発案のひんやり帽子『ヒヤリハット』はその後商品化され、エ・ランテルで大人気商品となったそうです。