ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫
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097ありんすちゃんはみた

 ナザリック地下大墳墓 第ニ階層〈屍蝋玄室〉──もうじきお昼になるというのにありんすちゃんはまだぐっすり眠っているようです。

 

 あれ? 起きてる……と思ったら目玉が書いてあるアイマスクをしていたんですね。びっくりしました。

 

 モゾモゾしながら大きなあくびをして、どうやらようやくお目覚めのようです。

 

 うーん……どうも最近睡眠が浅いみたい? なんだか疲れが抜けない? なんだか年寄りみたいな事をブツブツ言っていますね。

 

 ありんすちゃんは育ち盛りの子供なんですから、とはいってもアンデッドだから育たないのかも知れませんが──とにかく子供らしく元気に過ごして欲しいものです。

 

 ベッドの上でありんすちゃんがボンヤリしていると、シモベのヴァンパイア・ブライドが顔を出しました。

 

「ありんすちゃん様、コキュートス様がお見えになりました」

 

 ありんすちゃんがうなずくと、冷気と共に階層守護者のコキュートスが入って来ました。

 

「……アリンスチャン、オ目覚メノヨウダナ。我ガ階層デ作ッタ天然氷ノカキ氷デモ食ベテクレ」

 

 ありんすちゃんは大喜びです。ありんすちゃんの大好きな宇治金時の山盛りかき氷です。コキュートスはかき氷に手を伸ばすありんすちゃんを制すると言いました。

 

「──ソノカワリ、アノ事ハ内密ニシテモライタイ。タノム」

 

 ありんすちゃんは何の事かさっぱりわかりませんでしたが、力強く頷きました。

 

「まかちぇるでありんちゅ! 」

 

 決してかき氷を早く食べたかったからではないと思いますが……

 

 コキュートスが去ると、今度はアウラがやって来ました。なんだかモジモジしていて、いつものアウラらしくありません。

 

「あ、ありんすちゃん。やっほー。……とても美味しいモンブランケーキを持ってきたよ。ほら、栗も大きいでしょ?」

 

「モンブラン!」

 

 ありんすちゃんはまたまた大喜びです。さっそくモンブランケーキをわしづかみにしようと手を伸ばします。

 

「──その前に! ……ありんすちゃん、あたしのあんな所を見られちゃったけどさ、たまたまなんだから忘れて欲しいんだけど? ね?」

 

「わかったでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんはまたしても力強く頷きました。うーん……モンブランケーキを食べたいから、かもしれませんね。

 

 アウラはホッとした様子で帰っていきました。

 

「これはきっと幸運のアイマシュクでありんちゅね!」

 

 ありんすちゃんは目玉が書いてあるアイマスクをマジマジと眺めました。このアイマスクをつけて眠って起きたらこんなに良い事があるなんて。もしかしたらたまたまなのかも知れませんが。

 

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 

 

 さかのぼる事、数時間前──

 

 ナザリック地下大墳墓第五階層〈大雪球〉──コキュートスが真っ赤なビキニブリーフを前にして腕組みしてなにやら考え込んでいます。

 

「……コノママ全裸キャラトシテ変態扱イサレ続ケルカ、ソレトモセメテパンツヲハクベキカ……悩ミ所ダナ……」

 

 しばらく考え込んでいたコキュートスは意を決すると、赤いビキニブリーフをつかんで足を通しました。が、なんという事でしょう! しっぼが引っ掛かって上まであげられません。なんとも微妙な格好で、まるでパンツをずり下げた変態に思われかねない状態になってしまいました。

 

「……マズイナ、コレハ。シモベ達ニハトテモ見セラレン……ナ、アリンスチャン?」

 

 慌てるコキュートスの前に突然ありんすちゃんが現れました。実はありんすちゃんは寝呆けて〈グレーターテレポーテーション〉を発動させてしまっただけで、ぐっすりと熟睡中だったのですが……たまたま目玉が書いてあるアイマスクをしていたのでじっとコキュートスを見つめていると勘違いさせたのでした。

 

 動揺したコキュートスを残してありんすちゃんはまたもや何処かに転移してしまいました。

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 

 ナザリック地下大墳墓 第六階層──守護者のアウラがマーレの衣装タンスの前でなにやら思い詰めていました。

 

(……この間、アインズ様が『アウラが好きだ』って言ってたけど、もしかしたらアルベドでなくてあたしが正妻に……)

 

 アウラはタンスからマーレのミニスカートを取り出しました。

 

(その内あたしもグラマーになって、女らしい衣装も似合うようになるかも……)

 

 アウラはミニスカートを履いて鏡の前でセクシーポーズをとりました。

 

「……ウッフーン。パンチラサービスぅ──う! ゲッ! ……あ、り、ん、す、ちゃん?」

 

 アウラの目の前にありんすちゃんの姿がありました。とはいってもありんすちゃんは熟睡中だったんですが……結局、アウラもありんすちゃんに恥ずかしい格好を見られたと思い込んだそうです。

 

 まあ、ありんすちゃんはなにも見ていませんから、単純にかき氷やモンブランケーキが食べられて良かった位しか思っていませんでしたが……

 

 仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。





【挿絵表示】

ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました
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