広告はニューヨークだけではない。テネシー州ナッシュビルでも、46人のファンがお金を出し合い、アルバム発売に合わせて、有名な看板にBTSを応援する広告を3週間にわたって掲載した。ちょっと驚くような話だが、これがアーミーの実態であり、韓国国内ではメンバーの誕生日などにこうした有料広告を出すといった形で「貢献」するのは普通のことなのだと報じられている。
もちろんBTSは、それほどまでにファンを虜にしてしまうほどのグループだということなのだろう。
BTSがビルボード1位を達成できたことには、こうした背景もあるのだ。
そして今、ファンの想像を絶するようなサポートで上り詰めたBTSが、原爆とナチスにからんで、大きなトラブルに見舞われているのである。
ただ原爆とナチスについては、認識不足では許されない話だろう。人類史に残る大量殺人である原爆投下や、ユダヤ人に対する大虐殺を行ったナチスについて、軽率に扱うのはあまりにもひどい。
ポリティカル・コレクトネス(偏見や差別を含まない中立的な表現を用いること)の流れを「無視」して大統領になった米国のドナルド・トランプ大統領、フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領、そして最近、次期大統領に当選したばかりのブラジルのジャイル・ボルソナロ下院議員といった現代の「暴言王」たちですら、さすがにそこまでは踏み込まないだろう。
もちろん、「若気の至りで事の重大性に考えが至らなかった」、また「軽いノリだった」と理解したい人たちがいるのも分かる。ただそれなら、その事実を認めて潔くきっちりと謝罪でもすれば、日本人やユダヤ系団体の受け取り方も多少は違ったかもしれない。特に、日韓の歴史問題などで「どれだけ謝罪をすればいいのか」と苛立っている日本人は多いだけに、逆に潔く謝罪をすれば、普段は憤っているそんな日本人も寛大さを見せるはずだ。繰り返し蒸し返して謝罪を要求したりはしないだろう。
ただ残念ながら、反日教育を行ってきた韓国には、日本に謝罪をさせない空気がある。それがこの問題を複雑にしている。米ニューヨーク・タイムズ紙は「彼らは(番組出演がキャンセルになったことについて)ファンには謝罪したが、Tシャツについては触れていない」と書いていたが、おそらくBTSにとって、韓国の世論を見れば謝罪という選択はできないのだろう(一応、所属事務所と当事者のメンバーがそれぞれ「不快感を与えた」「心配をかけた」と発言している)。
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