ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫
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095ありんすちゃんとコキュートス

 ナザリック地下大墳墓 第五階層──氷河──。階層守護者のコキュートスは久しぶりに戻ってきました。

 

 〈大雪球──スノーボールアース〉で留守を預かっていた雪女郎──フロストヴァージン──達が出迎えます。

 

「……留守番、ゴ苦労。……特ニ変ワッタ事ハナカッタカ?」

 

「コキュートス様の留守中に特に何も御座いませんでしたが……あの……」

 

 雪女郎の一人が言いにくそうに言葉を濁しました。

 

「……ナンダ? 何カアルナラ申シテミヨ?」

 

「……実はその、……ありんすちゃん様がコキュートス様をお待ちになっていらっしゃいます」

 

 コキュートスは思わず息を吐き出しました。白い息がコキュートスの外装に薄い氷を作ります。

 

「……アリンスチャンカ……? 珍シイ客ダナ。……マタ氷河デ凍ラセタ死体デモ必要ニナッタノカモシレヌ。……デ、アリンスチャンハ何処ニイルノカ?」

 

「あの、コキュートス様のお戻りになる時間がわからないと申し上げましたら、ご自分で〈スノーボールアース〉の中で待つと……」

 

「……ウム。ワカッタ。マズハ会ッテ話ヲ聞ク事ニシヨウ」

 

 コキュートスはありんすちゃんが待つ〈大雪球──スノーボールアース──〉に入りました。

 

 中ではノンビリとくつろぐありんすちゃんの姿がありました。

 

「待っていたでありんちゅ。コキュートシュにお願いがあるんでありんちゅよ」

 

「……ウム。ドンナ願イカ聞カセテモラオウカ。……ダガ、断ッテオクガ、リザードマンノ財産ニカカワル事ハ認メラレナイゾ……」

 

 コキュートスはあらかじめ予防線を張りました。アウラが以前にリザードマンのペットのヒュドラのロロロをねだった事があったからです。

 

「ちょんなこちょはしないでありんちゅ。ただ、コキュートシュに第ニかいちょうに来てお仕事して欲ちいだけでありんちゅ」

 

 

 

 

※   ※   ※

 

 

 

 

 ありんすちゃんに連れられてコキュートスは第ニ階層の〈屍蝋玄室〉の前にやって来ました。ありんすちゃんは広場になっている場所を示しながら言いました。

 

「ここに雪山をちゅくって欲ちいでありんちゅ。こーんな、こーんなおっきいなのでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは両手をいっぱいに広げて説明します。どうやら最近暑いので涼しくする為に雪山が欲しいみたいですね。

 

「……シカシ……涼シクスルナラバ第五階層カラ氷ノカタマリヲ運ンダホウガ良イノデハナイカ? 雪ヲ降ラセテモスグニ溶ケテシマウダロウ……」

 

 ありんすちゃんは首を振りました。

 

「雪が良いでありんちゅ。雪じゃないとダメなんでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんに言われるまま、コキュートスはスキルを発動してあっという間に十メートル程の高さの雪山を作りました。

 

 ありんすちゃんは大喜びです。大きな鍋に入ったメロンシロップを雪山にかけると、屍蝋玄室の上から雪山──いや、巨大なかき氷に飛び込みました。

 

 これがありんすちゃんがやりたかったのですね。

 

 その日、一日中かき氷を食べ続けたありんすちゃんはお腹を壊してしまったそうです。アンデッドなのに……

 

 仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。




ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました
【挿絵表示】







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