ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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ナザリック地下大墳墓第二階層──ここには領域守護者の恐怖公がいます。おや? 戦闘メイドの一人、エントマがやって来ました。珍しく鼻唄混じりでスキップしながらやって来ますね。
「ふんふん♪」
エントマは恐怖公の眷属が蠢く〈黒棺〉へ繋がっている穴へ飛び込みました。
他の女性NPC達が苦手にしている恐怖公の眷属達ですが、エントマにとっては単なるおやつなんですよね。
「今日はぁ、料理長にたのんでぇ、カレースパイスぅ。振りかけるともっとおーいしーサイコー!」
小瓶から振りかけて黄色くなったのをポリポリ食べ始めました。音だけ聞いていると、美味しそうなんですが……
「あの……せめて一週間おき位にしてもらえませんかな?」
王冠を着けた恐怖公が丁寧な物腰で嘆願しますが、エントマは聞こえないふりをしています。それどころか、その内恐怖公にまでカレースパイスを振りかけてきたので、恐怖公は慌てて逃げます。
「ちょ……ねえ、ありんすちゃん様、エントマ嬢に何か言ってはくれませんかな?」
辺りを良く見ると〈黒棺〉に珍しくありんすちゃんがいました。普段は恐怖公が苦手なのですが、今日はボケーとしながら座り込んでいたのでした。
「うーん……キレイでありんちゅね」
ありんすちゃんは恐怖公の『シルバー・ゴーレム・コックローチ』が放つ銀色の輝きに見とれていたのでした。
「なんだぁ。ありんすちゃんいたんだぁ? ……それ、欲しいの?」
エントマがありんすちゃんに訊ねるとありんすちゃんは即答します。
「欲ちいでありんちゅ。ありんちゅちゃんもピカピカの乗り物欲ちいでありんちゅね」
恐怖公は慌てました。
「いや、これは私めがかの至高のお方、るし☆ふぁー様より賜わりし物。たとえ階層守護者殿といえどお譲りする事は出来ませぬな」
色をなす恐怖公をよそに相変わらずカレー味の恐怖公の眷属をポリポリ食べていたエントマが耳寄りな情報を話しました。
「そおいえばぁ、この間アインズ様の命令でぇ、宝物庫を片付けたユリ姉が色々貰って来たんだけどぉ。その中から探してみたらぁ?」
ありんすちゃんは大喜びでエントマの案内で倉庫に向かいました。
※ ※ ※
「ほら、ちらかったままだけどぉ。探してみればぁ?」
「探ちてみるで、ありんちゅう」
倉庫には宝物庫から運ばれてきた比較的価値の低い物が山積みになっていました。とはいえ、宝物庫の中では価値が低くてもどれも中々の物ばかりで、まさに宝の山です。
恐怖公のシルバー・ゴーレム・コックローチが銀色で出来ているので、ありんすちゃんには金で出来た乗り物が良さそうですね。まあ、どうせ本物の金で出来ていなくても金色なら満足すると思いますが……
「見ちゅけたでありんちゅ! これが気に入ったでありんちゅ」
ありんすちゃんは金の白鳥を引っ張り出してきました。ありんすちゃんが座るのに丁度良い大きさで、しかも頭の部分の両側につかまりやすい棒まで付いています。
ありんすちゃんは金の白鳥に跨がると、魔法を発動させてふわふわと飛んでいきました。
それからしばらく、ありんすちゃんはどこへ行くのにも金の白鳥に股がっていくのでした。
※ ※ ※
──そんなある日
アインズは久しぶりにナザリック地下大墳墓に戻って来ました。そこにふわふわと金の白鳥に股がったありんすちゃんがやって来ました。
アインズは金の白鳥のおまるに得意そうに股がってふわふわ飛んでいるありんすちゃんの姿に、思わず言葉を失ってしまうのでした。
仕方ありませんよね。ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。