ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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アルベドが考え事をしながらナザリック地下大墳墓第二階層を歩いていた時の事です。いきなり屍蝋玄室の扉が開いて、中からズロース一枚の姿のありんすちゃんが飛び出してきました。
「ありんす様、この服を着てください」
「キャッキャッ! イヤでありんちゅ」
ありんすちゃんの後をヴァンパイア・プライドがいつものボールガウンを持って追いかけます。二人はアルベドの周りをグルグル回って追いかけっこを続けていました。
「いい加減にしなさい! これは何の騒ぎなの!」
アルベドの叫びにヴァンパイア・プライドが立ちすくむと、ありんすちゃんはスルリと脇を抜けて逃げて行ってしまいました。
アルベドは平伏するヴァンパイア・プライドを起こすと優しく尋ねました。
「一体これは何の騒ぎかしら?」
ヴァンパイア・プライドはまたもや平伏して答えました。
「恐れながら……ありんす様は服を着たくない気分だと仰せになりまして、その……裸で逃げまわっているのでございます。なんでもハダカンボ天国わーい、だそうで……」
アルベドはため息をつきました。ありんすちゃんは幼児ではあるものの、階層守護者であり、シモベ風情ではどうしようもありません。
「わかったわ。ありんすちゃんには誰か適任者をお目付け役にする事にしましょう」
アルベドはとりあえずヴァンパイア・プライドを戻らせると戦闘メイドのユリ・アルファにメッセージを飛ばしました。
〈ユリ、貴女は確か暇だったわよね? ちょっと力を借りたいのだけれど〉
〈これはアルベド様。実は現在アインズ様のご下命にてエ・ランテルに孤児院と学校を作っておりまして……〉
〈……そう。それなら良いわ。貴女はアインズ様の命令をしっかりこなしなさい〉
アルベドは悩みました。こういう事は普段ならアウラに頼むのですが、アインズ不在の折りに階層守護者をありんすちゃんのお守りにする訳にはいきません。せめて戦闘メイドの誰かに……と、アルベドは適任者を思い浮かべて即座にメッセージを発動しました。
※ ※ ※
「なんかぁーよくわかんないけどぉー私がありんすちゃんの面倒みるんだってー」
戦闘メイドのエントマ・ヴァシリッサがだるそうな口調で言いました。ありんすちゃんは相変わらずズロース一枚の格好でふざけています。
「……そぉれぇでぇ、ありんすちゃんは真面目にする事ぉー。ふざけているとぉーこれだよぉー」
と、ありんすちゃんの目の前で不意にエントマの顔が外れて落ちました。ありんすちゃんはよほど怖かったらしく、表情がこわばり足下にはなにやら温かいものが……
それ以来ありんすちゃんはおとなしくなったそうです。
※ ※ ※
実はその後、エントマはありんすちゃんのお目付け役を外されてしまいました。
ある晩の事です。アルベドの部屋に一人の領域守護者が訪ねてきました。彼はありんすちゃんのお目付け役が第二階層にいる事で眷属達が恐慌状態になっているのでアルベドの居室に避難させて欲しい、という要望をしてきたのでした。
アルベドはその要望を断るかわりにエントマをありんすちゃんのお目付け役から降ろしたのでした。
それでもありんすちゃんはその後もおとなしくしていたそうです。よほど怖い思いをしたのでしょうね。
仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。