ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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ポカポカとした穏やかな昼下がり、ありんすちゃんとアウラはナザリック地下大墳墓の第六階層にある山小屋でのんびりとお茶をしていました。ありんすちゃんはアップルティーに角砂糖を三ついれて、ちょっと悩んでからもうひとつ入れました。
「やっぱりちゃとうはよっちゅ、でありんちゅね」
ありんすちゃんはカップをすすると満足そうに言いました。
「……うーん……そうだね」
アウラが相づちを打ちましたが、なんだか上の空みたいです。
「アップルティーだとケーキが食べたいでありんちゅね。ありんちゅちゃはモンブランがしゅきでありんちゅ」
「……うーん……そうだね」
どうやらアウラはありんすちゃんの言葉を聞き流していただけみたいですね。それもそのはず、アウラはさっきからアインズ様に頂いたぶくぶく茶釜様の声が入ったバンドをうっとりしながら眺めていたのでした。
ありんすちゃんだって、アインズ様からペロロンチーノ様の百科事典を頂いたのですから羨ましくなんてないですよね。ね?
ニヤニヤと笑みが崩れているアウラをじっと羨ましそうに眺めていたありんすちゃんはアウラに尋ねました。
「ちょう言えばアインジュちゅまがタイマーをセットちないように言ってた時間があるんでありんちゅよね?」
「うーん……たしか0721と1919にはセットしちゃいけないってアインズ様に命じられているよ」
ありんすちゃんの瞳がキラーンと光りました。
「ちょのしゅうじ、きっと意味があるんでありんちゅよ」
「うーん……でもアインズ様から命じられているからね。やめておくね」
「ちょういえば……この前変な箱をみちゅけたでありんちゅ」
ありんすちゃんは最近、屍蝋玄室の奥で見つけた謎の箱の話をしました。頑丈で鍵がかかっており、どうやらテンキー部分で暗証番号を入力しないと開けられないみたいです。
「へー。面白そうだね。もしかしたら07211919で開いちゃったりするかもね?」
ありんすちゃんとアウラは屍蝋玄室で見つけた箱を開けてみる事にしました。
「ありんすちゃん、じゃああたしが番号を押すからね。えーと……0 7 2 1…………」
アウラが07211919と押すとカチャリと音がして箱が開きました。そして中には金色のおしゃぶりが入っていました。
※ ※ ※
「……うむ……こ、これは……」
ありんすちゃん達が持ってきたアイテムを魔法──〈道具上位鑑定〉をかけたアインズは思わず唸りました。ありんすちゃんとアウラは緊張した面持ちでアインズの言葉を待ちました。
「うむ。このアイテムは『星に願いを』と良く似た効果がある。肉体の変化に限定されるものの、三回だけ発動出来るアイテムだったようだな。既に一回発動した後なので残りは二回みたいだが……これはきっとペロロンチーノさんが所持していたアイテムだろうね。だからありんすちゃんが持っていると良い」
※ ※ ※
再び第六階層に戻って来たありんすちゃんとアウラはとても興奮していました。この金のおしゃぶりは大変なアイテムだったのでしたから。
「ありんすちゃん、これはよくよく考えて使わないといけないね──え?」
アウラがありんすちゃんを見るとなんとありんすちゃんは金のおしゃぶりをくわえていました。どうやら金のおしゃぶりを発動させるつもりみたいです。
「ちょ、ちょっと待ってって!」
「おっきくなるでありんちゅ!」
ありんすちゃんが願い事を叫ぶと同時に金のおしゃぶりが光りました。
──そして──なんとありんすちゃんは10Mの大きさになってしまいました。
ありんすちゃんは大人になるつもりで『大きく』して欲しかったのでしたが、金のおしゃぶりはそのまま『大きく』してしまったのですね。
その後最後の発動でもとの大きさになんとか戻る事が出来ましたが、結局、せっかくのアイテムが無駄になってしまいました。仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。