ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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ナザリック地下大墳墓第六階層に朝が来ました。マーレはハンモックの中で目覚めてうーんと伸びをしました。するとハンモックに他の誰かがいることに気がつきました。
なんと、ありんすちゃんがマーレに寄り添うようにすやすやと寝息を立てています。
「あ、ありんすちゃん? ……あ、あれ? どうして?」
マーレは混乱しました。どうやら夜中にいつの間にかありんすちゃんがマーレのハンモックに潜り込んで来たようです。
「んー……おはよー」
寝ぼけ眼をこすりながらやって来たアウラがマーレに声をかけます。と、ありんすちゃんがいることに気がついて目を丸くしました。
「あれ? ありんすちゃんじゃん? えっ? なんで?」
何故かアウラの脳裏にはマーレとありんすちゃんが結婚式をあげる光景が浮かびました。そしてウェディングドレスを着たありんすちゃんがアウラに『お姉ちゃま、よろちく』と挨拶を……
「いやいやいや、そんなのあり得ないから……マ、マーレ?あんた一体?」
「違うよ、お姉ちゃん。僕も何がなんだか……」
何が違うのかはわかりませんがマーレは慌てて首を振りました。アウラはジトっとした視線を相変わらずマーレに向けています。
「う、うーん……うるちゃいでありんちゅ。……まだ寝ているでちゅよ」
唖然とする双子の前でありんすちゃんはマーレの毛布をかぶって再び寝息を立て始めました。
※ ※ ※
「……うむ。それはなかなか興味深い話だね。なるほど、なるほど」
アウラの話を聞いていたデミウルゴスはいかにも楽しそうに言いました。アウラにはなにがなにやらわかりません。デミウルゴスはそんなアウラの表情に気がつくと言葉を続けました。
「これはまだ推測の域を出ないのだけど、マーレとありんすちゃんの二人は特別な関係かもしれないね」
アウラの脳裏にはまたしても二人の結婚式の光景が浮かびました。
「アウラ、君は姉として二人の恋を暖かく見守っていくべきだね。……しかしながらNPC同士のカップリングとはね……全く盲点でしたよ」
※ ※ ※
「アウラ、デミウルゴスから聞いたのだけれど……シャルティア、いえ、ありんすちゃんが貴女の義妹になるんですって?」
アウラが振り向くと守護者統括のアルベドが慌てた様子でいました。若干興奮気味で紅潮したアルベドは続けて言いました。
「早速、マーレとありんすちゃんとの結婚式をあげるとしましょう。こういう事は急いだ方が良いと思うの。仲人にはアインズ様にお願いしたら良いわね。私もアインズ様に付き添って、まるで妻みたいで誤解されてしまうかも……いいえ、どうせならば私とアインズ様の結婚式も一緒に……」
「結構です」
このままこの話が大きく広がってアインズ様の耳に入ってしまうと大変です。アウラはなんとかしなければ、と思いました。
※ ※ ※
第六階層のアウラの住居にありんすちゃん、アウラ、マーレが集まっていました。アウラは少し緊張気味です。アウラに脇をつつかれたマーレが口を開きました。
「あ、あの……その……ありんすちゃんは、ぼ、僕の好きなのかな?」
マーレからの質問にありんすちゃんは可愛らしく小首を傾げながら答えました。
「うーん……好きでありんちゅね」
「じゃ、じゃあ、その……僕と結婚……」
「結婚ならアインジュちゃまとでありんちゅ。マーレはおこちゃまちゅぎまちゅね」
アウラは思わずありんすちゃんに叫びました。
「えー……じゃあなんでマーレのハンモックにいたのよ?」
「マーレは……焼きたてアップルパイの匂いがするんでありんちゅ」
ありんすちゃんの予想外の答えに双子は呆れてしまいました。仕方ありませんよね。ありんすちゃんは5歳児くらいの女の子に過ぎませんから。
※ ※ ※
翌朝、ハンモックで目覚めたマーレはまたしても隣に誰かが寝ている事に気がつきました。もしかしたらまたありんすちゃんが来ているのかもしれませんね。起き上がったマーレは思わず叫びました。
「お、お姉ちゃん?」