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【社会】

命救う機会、3度逃す 目黒女児虐待死で検証報告書

七夕の会でスイカを食べる船戸結愛ちゃん=2016年7月(提供写真)

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 東京都目黒区で三月、両親から虐待されていた船戸結愛(ゆあ)ちゃん=当時(5つ)=が死亡した事件で、専門家による都の部会は十四日、検証報告書をまとめた。結愛ちゃんが死亡する一カ月前に、都の児童相談所が虐待と判断しながら、すぐに会わなかった点などを問題視。都は、対応すべき機会が三回あったとの見解を示した。 (榊原智康)

 報告書によると、都の品川児相は一月三十日、結愛ちゃんが都内に転居する前に暮らしていた香川県の児相から概要の連絡を受け、虐待として受理した。厚生労働省の指針では、受理から原則四十八時間以内に児童の安全確認を求めているが、品川児相は「けが自体は軽微」などの情報から、緊急性に乏しいと判断。結愛ちゃんへの接触より、保護者との関係づくりを優先し、深刻さをつかめなかった。

 二月九日に初めて自宅を訪問したが、母親が結愛ちゃんとの面会を拒否して会えず、五分程度で退いた。その後は訪問せず、安全確認の方策も検討しなかった。目黒区子ども家庭支援センターも同二十日、小学校説明会で結愛ちゃんを確認できなかったのに、緊急度を見直さなかった。結愛ちゃんは三月二日に死亡した。

 児相を管轄する都家庭支援課は「組織として危機感が低かった面はある」と説明。緊急度を見直さず、安全確認を優先しなかった理由を「継続的な支援が必要なケースだと(香川県側から)伝えられた。その見立てにとらわれたことが最後まで響いた」と釈明した。

 また、品川児相が緊急度を評価するためのチェックシートを作っていなかったことが判明。シートは厚労省が「虐待対応の手引」で作成を求めている。香川県側にけがの写真を送るよう要求せず、情報確認が不足していたことも指摘した。

 転居前後の経緯は香川県と合同で検証した。香川県も近く、検証報告書をまとめる予定。

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