ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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今日のありんすちゃんはいつもとちょっと違います。難しい顔をして、腕を組んでなにやら悩んでいるみたいです。いったいどうしたのでしょうか?
正直な話、悩み事をしているありんすちゃんって少しばかり違和感がありますよね。悩むにしても「今日のおやつは何かな?」とか「今晩のおかずは何かな?」という程度の悩みしか無いような……あくまでもイメージの話ですが……多分、この話を読んでいる全員がそう思っていると思います。
とりあえずありんすちゃんに聞いてみるとしましょうか。え? ……なになに? ……ありんすちゃんは頑張る事にした。……で、何を頑張れば良いかわからないから悩んでいる、ですって。
……うーん……これは難しいですね。
そもそもありんすちゃん、考え方が間違っていますよね。普通はなにかしら目標があって、それを叶える為に頑張るものなのですが……まあ、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子ですから仕方ないですよね。
しかし、困りましたね。ありんすちゃんはいったい何を頑張ったら良いでしょうね?
ふと、ありんすちゃんが顔を上げました。なにやら思いついたみたいですね。ありんすちゃんはトテトテと駆け出しました。
※ ※ ※
「えー? 何を頑張ったら良いか、だって?」
真剣な表情のありんすちゃんにアウラは戸惑っていました。
「あたしにそんな事聞かれてもねー……ありんすちゃんがやりたい事すれば?」
「それが思いつかないでありんちゅよ」
「あの、ええっと……きっとアインズ様なら教えてくれるんじゃないかな?」
マーレの意見でありんすちゃんの瞳が突然煌めきだしました。そうです。確かに至高の方々の束ね役をされていて、アルベドやデミウルゴスですら遠く及ばないアインズ様ならばきっと悩めるありんすちゃんに道を示してくれるに違いありません。
ありんすちゃんは嬉しそうにトテトテと駆けていきました。
※ ※ ※
「うむ……何か頑張ってみたい、だと?」
アインズは真剣な眼差しのありんすちゃんを凝視しました。
(ふむ。……これはNPCが自ら成長しようとするひとつのモデルケースとなるかもしれないな。もし、NPC達が自ら成長出来るならばナザリックにとって実に有意義な事となるが……)
「素晴らしい! ありんすちゃんよ。……うむ……そうだな……では、アルベドの補佐などどうかな? 将来ナザリックの運営を任せられる信頼出来る人材は多いにこした事はない」
「わかりまちたでありんちゅ。アルベドのお手伝い頑張るでありんちゅ」
真剣な眼差しのありんすちゃんはなんだかいつもと違って頼もしいですね。アインズは満足そうに頷くのでした。
※ ※ ※
アインズの執務室を出たありんすちゃんは真剣な表情で歩いていきます。そしてアルベドの居室を……おやおや? そのまま通り過ぎて自分の住居がある第二階層に戻って来てしまいました。〈死蝋玄室〉に帰ってくると、ありんすちゃんはいつものようにお風呂に入って……お昼寝してしまいました。
一方、アルベドは自らの居室でありんすちゃんを待っていましたが、ありんすちゃんは来ません。当然ですよね。ありんすちゃんは自分の屍蝋玄室でお昼寝中なのですから。アルベドは戦闘メイドのユリ・アルファにありんすちゃんの様子を見に行かせる事にしました。
しばらくしてユリが戻って来ました。
「……その……ありんす様は『明日から頑張る』そうです……」
うーん……仕方ないですよね。なにしろありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。