ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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今日もありんすちゃんは二人のヴァンパイア・プライドに連れられて階層の見回りをしていました。
ふと、外の様子が気になって地上に出てみるとログハウスに戦闘メイド達が集まっていました。
「どうちたでありんちゅか?」
ありんすちゃんの問いかけにユリが答えました。
「あ、ありんすちゃん。……実はログハウス当番なのにルプスレギナが来ないんですよ。どこかで見ませんでした?」
ありんすちゃんは口元に人差し指を当てて小首を傾げます。ちなみに45°よりちょっと狭い43°位に傾けるのが一番ありんすちゃんの魅力をアピールする角度なんですって。
「わかりまちた。名探偵ありんちゅちゃんにまかせるでありんちゅ」
久しぶりに名探偵ありんすちゃんの出番がやって来ました。ありんすちゃん良かったですね。
ありんすちゃんは目をつぶり考えます。きっとありんすちゃんの灰色の脳細胞が今まさに事件を解決しようとしているのに違いありません。
ぐ~ぐ~~……
突然ありんすちゃんのお腹が鳴りました。
「お腹へったからお昼にするでありんちゅ」
ありんすちゃんはさっさと食堂に向かうのでした。仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。
食事を終えて満足そうなありんすちゃんにユリが尋ねました。
「……で、ルプスレギナの居場所は……?」
ユリ以外の戦闘メイド達は業務に戻ったらしく、姿がありませんでした。ありんすちゃんはユリを連れて屍鑞玄室に来ました。そこには既にヴァンパイア・プライド達が待ち構えていてありんすちゃんをパジャマに着替えさせました。
「食べた後はお昼寝するでありんちゅ」
スヤスヤと寝息をたてはじめたありんすちゃんを眺めながらユリはただただため息をつくのでした。
(こんな時に、せめて末妹の手が借りれたら……)
ユリは唇を噛みました。末妹ならばたちどころにルプスレギナの居場所を見つけられる事でしょう。しかし、末妹の力を借りる為にはルプスレギナがいない事をアインズ様に報告しなくてはなりません。今の段階ではそこまで大事にしたくない、それがプレアデスの総意でした。
焦るユリの気持ちが伝わったのか、パチリとありんすちゃんが目を開きました。そしてムクリと起き上がりました。
「……おちっこ」
トコトコと部屋から出ていくありんすちゃんの姿を見送りながら、ユリはまたもやため息をつくのでした。
※ ※ ※
ありんすちゃんに連れられてユリは第六階層にやって来ました。ありんすちゃんの推理では『犯人はアウラ』だそうです。
「……えー! 知らないよ? あたしは関係無いんだけど」
アウラは自らの疑惑を否定しました。これで捜査は振り出しみたいですね。
「……うーん。ルプーはあかずきんちゃんの時はいたでありんちゅから……」
あれ? ありんすちゃん、赤ずきんの撮影でルプスレギナがいなくてペストーリャに代役を頼んだのではありませんでしたっけ?
「あ、そういえば……うーん。でも違うかな?」
アウラが何か思い出したみたいです。
「先週位から森のあたりになにやら出るらしい、というような事をシモベ達の間であったような、なかったような……」
名探偵の瞳が光りました。
「それでありんちゅ。きっとルプーのお化けでありんちゅ」
早速、ありんすちゃん、アウラ、ユリの三人は森に向かうのでした。
※ ※ ※
森に着くと声が聞こえてきました。
「あかずきんちゃん……遅いっすよ……どんだけ……待たせるんすか……」
「ルプスレギナ? 貴女なの?」
ユリが辺りを見回しますが、ルプスレギナの姿はありません。
「……ルプーはいないでありんちゅね。残念でありんちゅ」
ありんすちゃんが重々しく断言しました。アウラも同意します。
「残念だったねー。このままずっと見つからないかも、だねー」
「ちょ、ちょと待つっすよ……」
ありんすちゃんが不意に振り向きました。ルプスレギナは驚いて不可視を解いて姿を現しました。
「ルプー見つけたでありんちゅ」
またまた名探偵ありんすちゃん、大活躍ですね。ルプスレギナも良かったですね。
めでたしめでたし。