有名芸能人も招いた豪華イベントなどで、投資を呼び掛けていた男らが逮捕された。その被害総額は83億円ともいわれている。支社があるとされたニューヨークのビルを訪ねて、そこにあったのは。

　13日朝、都内などの各所で8人の男らが一斉に逮捕された。逮捕の容疑は金融商品取引法違反。金融庁に登録することなく、投資の目的で9人から現金を集めるなどしたというものだ。セミナーの参加者に向かい、配当がいかに高いかを力説する男。事件の主犯格とみられる柴田千成容疑者（46）である。警視庁によると、「SENER」という会社を名乗って1人あたり約10万円から600万円を集めていたという。売り文句は、こうだ。最大で月に20％の配当がある。約180万円を出資したという70代の女性はこう話す。
　約180万円を出資した70代女性：「580万円を一口入れたなら、9カ月後にはそれからずっと毎月100万円の利子。20％だから100万円の利子が付くと」
　SENERには、全国で5800人以上がビットコインや現金で投資したとみられている。実態は昔ながらのねずみ講に近いが、信用させるための道具立ては極めて大掛かりだ。例えば、去年6月に台湾で開かれた出資者向けパーティーの様子。高級車が当たる抽選会や有名歌手のライブなどもあったという。PRビデオでは世界の名だたる金融機関とも取引があるとうたい上げる。その一つ、ニューヨーク支社があるとされるビルを取材班が訪ねたところ…。SENERトレーダーのホームページにはニューヨークにあるビルの住所が記載されているが、しかし、このビルには何年もそういった企業は入居していないということだ。動画投稿サイト上にはSENERの関係者がCNNやBloombergのインタビューを受ける映像もあるが、両社ともその事実を否定している。そんなSENERを巡っては6月から払い戻しができなくなり、警視庁に相談が寄せられていた。合わせて約83億円が回収不能になっているという。取り調べに対し、主犯格の柴田容疑者は「間違いありません」と容疑を認めている。