ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫
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060ありんすちゃんのおおそうじ

 年末です。ありんすちゃんは朝から張り切っています。顔にはマスク、頭にはバンダナでほっかむりしています。片手にはハタキ、もう片方の手にはチリトリを持っています。今日はこれから家の大そうじをするんですって。

 

 ありんすちゃんの住居はナザリック地下大墳墓の第二階層にある死蝋玄室という部屋なのですが……いくつもある部屋がいささか散らかっていました。あちこちに脱ぎ散らかした服や食べかけのお菓子やオモチャが散らばっているのです。

 

 今日はこの散らかった部屋を綺麗に片づけてしまおう、と気合いを入れているのでした。

 

「やほー。ありんすちゃん、なんかスゴいね? ……もしかして大そうじなの?」

 

 唐突にアウラがやってきました。

 

「年末でありんちゅから大そうじするでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは胸を張って答えます。

 

「……ふーん。あっそ。……そういえばあたし、ルプスレギナを探しに来たんだけど、ありんすちゃんは見なかった?」

 

 ありんすちゃんは首を傾げます。

 

「……ルプーでありんちゅか? ……見ないでありんちゅね」

 

 うーん……何だか大切な事を忘れているような気もしますが……気のせいでしょう。多分。

 

「……ま、いっか。どうせどこかで遊んでいるんでしょ。……ありんすちゃんは大そうじ頑張って」

 

「……アウアウは大そうじしないでありんちゅか?」

 

「うーん……あたしんとこはいつも綺麗にしているからね。大そうじなんて必要ないかな」

 

 アウラが立ち去った後、ありんすちゃんの鼻息が荒くなったみたいです。どうやらアウラが大そうじをしない事で変な優越感が生まれてきたみたいです。

 

「張り切って大そうじでありんちゅ」

 

 ありんすちゃんは積み上げられた衣類の山を片付け始めました。片方だけの可愛らしいカラフルなハイソックスを引っ張り出します。ありんすちゃんのお気に入りだったので、また、片方だけ見つかった時の為に取っておいたのでした。

 

「うーん……これは捨てられないでありんちゅ」

 

 ありんすちゃん、捨てないと結局片付かないと思いますよ?

 

 結局ありんすちゃんは衣類の山を右から左に移動させただけでした。

 

 ありんすちゃんは次に絵本やマンガが散らばった所を片付け始めました。

 

「おもちろいでありんちゅね」

 

 おやおや? ありんすちゃんたら、ベッドに寝そべってマンガを読み出してしまいました。これでは大そうじは進みませんね。

 

 どうやらありんすちゃんが眺めているマンガは丸山こがね原作 深山フジン作の『オーバードーロ』みたいですね。なかでも吸血鬼ティルシャアがブラインをやっつけるシーンがお気に入りみたいで、何度も何度もページを戻して読んでいます。

 

「ブライン、泣いているでありんちゅね」

 

 こんな事でありんすちゃんは大そうじ出来るのでしょうか? 少し心配になってきました。

 

 で、結局ありんすちゃんの大そうじは終わりませんでした。あれからマンガを読みふけっているうちにいつの間にか眠ってしまいましたので。

 

 仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子ですからね。

 








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