ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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ありんすちゃんの隣にマーレ、前にはアウラ、ユリ、シズ、ルプスレギナが並んでいます。先日泣きながらナザリックを飛び出していったありんすちゃんは満面の笑みを浮かべていました。気まずそうな面もちのアウラとは対象的です。
「これからあかずきんちゃんの映画をさちゅえいするでありんちゅよ」
「えー。あの、ありんすちゃんはこれからあかずきんちゃんの映画を撮影したいみたいです」
胸を張ったありんすちゃんの言葉をマーレが通訳します。ありんすちゃんは今日も真紅のフード付きのコートを着ていますから主役のあかずきんちゃんはありんすちゃんが演じるのでしょうね。
「まず、イジワルままははがアウアウでありんちゅ」
「えーー? あたしがイジワル継母って……そもそもあかずきんって話には継母は出てこな……」
いけません。ありんすちゃんの顔がみるみる真っ赤になってきました。唇を尖らせていかにも不満げです。このままではまたもや前回と同様の事態が起きてしまいそうです。
「──しー! お、お姉ちゃん、ダメだって。アインズ様がありんすちゃんのわがままに付き合ってやれと……」
ありんすちゃん脱走事件でいささかショックを受けたアインズは日頃からありんすちゃんと仲がよいアウラとマーレに諭していたのでした。とはいえ、アインズのショックは餓食狐蟲王と同衾させられた私に比べたら……ゲフンゲフン……いや、なんでもありません。
アウラとマーレに代わる代わるおだてられたありんすちゃんは忽ち機嫌を戻しました。
まあ、所詮はまだ5歳児位の女の子に過ぎないのですから仕方ありませんよね。
結局、前回と同様にルプスレギナがオオカミ、ユリがお婆さん、シズが猟師となり、オオカミのルプスレギナは森であかずきんちゃんを待ち受ける事になりました。
「で、では、シーン1のあ、あかずきんちゃんがイジワル継母にイジメられるシーンから……い、いきます」
監督兼カメラマンのマーレがカメラを回します。イジワル継母役のアウラが口汚くあかずきん役のありんすちゃんをイジメます。
「あんたってホントグズだよね? そんな事じゃしょうがないんじゃない? 少しは成長しないと……」
アウラはなかなかの演技達者ですね。イジワル継母になりきってありんすちゃんをイジメる演技を続けます。なんだかありんすちゃんが可哀想に思えてきました。
……おや? ありんすちゃんの瞳が潤んできています。ありんすちゃんは今にも泣き出しそうです。ありんすちゃんもなかなかの演技力ですね。
──違いました。ありんすちゃんは演技ではなくて本当に泣き出してしまいました。ありんすちゃん、これはお芝居なんですって……ダメです。ありんすちゃんはまたもやワンワン泣きながら飛び出して行ってしまいました。
仕方ありませんよね。なにしろありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なんですから。
結局、ありんすちゃんはその日は帰って来なかったらしいです。まあ、私はまたまた餓食狐蟲王の所で過ごした為、直接は知りませんが。
※ ※ ※
「んふふふ……完全不可視化で驚かせてやるっすよ。伊達にカルネ村で村人を驚かしまくってない所をバッチリ見せるっす。……あー早くありんすちゃん来ないっすかね」