ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~   作:善太夫
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049ありんすちゃんメイドみならいになる

 おや? 今日のありんすちゃんは何だか上機嫌みたいですよ。え? なになに? どこか違わないか、ですって?

 

 うーん……背が伸びたようにも見えないですし、どこが違うのでしょう?わかりません。

 

 ウソウソ。冗談です。ありんすちゃんは今日、メイドさんの格好をしているんですよね。とてもお似合いですよ。可愛い、可愛い。ありんすちゃん最高です。……っておだてればすぐに機嫌が直ってしまうのは、やはり5歳児位の女の子なので仕方ないですね。

 

 ありんすちゃんは今日からメイド見習いとしてプレアデスの仲間入りするそうです。それでメイド服にホワイトブリムを付けているのですね。

 

 まずはエントマが先生です。ありんすちゃんは礼儀正しくお辞儀をします。

 

「お願いしますでありんちゅ」

 

「ありんすちゃんかぁ。じゃあねーよろしくぅ」

 

 エントマはありんすちゃんを連れて第二階層にやって来ました。

 

「ここはぁ、私ぃのおやつ部屋ぁ」

 

 自分の階層ですからすぐにそこにはおやつがない事をありんすちゃんは知っています。きっとエントマはありんすちゃんを試しているのでしょう。

 

「そこはぁ、おやつないでありんちゅぅ」

 

 ありんすちゃんは飲み込みが早いですね。すぐにエントマの口調をマネしています。

 

 エントマはありんすちゃんの意見を無視して『おやつ部屋』から黒いモノをつまみ上げてポリポリ食べ始めました。

 

「貴方も食べるぅ? 美味しいからぁ」

 

 ありんすちゃんの目の前に『おやつ』を突き出します。エントマはワサワサ動いている『おやつ』をありんすちゃんの口に入れようとしてきます。

 

 ありんすちゃんは逃げ出しました。

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 次の先生はシズです。ありんすちゃんはお辞儀をしました。

 

「ありんちゅちゃ、でありんちゅぅ」

 

 うーん……エントマの口調が少し移ってしまったかもしれませんね。

 

「…………妹の物言いみたいだけど許す。かわいいから」

 

 シズはどことなく落ち着きが無いように見えました。

 

 ありんすちゃんは目をキラキラさせてシズをじっと見つめます。一体シズは何を教えてくれるのだろう? という期待に満ちているのですね。

 

「…………これから第六階層に行く。魔獣のお世話」

 

 シズはありんすちゃんを連れて第六階層に向かいました。

 

 第六階層に着くと、シズはポケットからシールを取り出してありんすちゃんに渡しました。丸いシールには一円と書かれてあり、とても可愛らしいもので、ありんすちゃんは自分のエプロンに貼ってみました。

 

「…………これから魔獣のお世話。可愛らしい魔獣にお気に入りシールを貼る」

 

 これならありんすちゃんにも出来そうです。沢山シールを貼って、早く一人前のメイドになりましょう。

 

 一時間もすると第六階層はシールを貼られた魔獣だらけになりました。ありんすちゃんもシズも大満足です。

 

 シズはモコモコした魔獣に抱きついてその感触を楽しんでいます。ありんすちゃんも真似して抱きつこうとした瞬間──

 

「あー! またシールだらけにして! ……剥がすの大変なんだからね? ……あれ?ありんすちゃんも一緒なんだ」

 

 ありんすちゃんが起き上がると困った表情をしたアウラが腕組みして立っていました。

 

「アウアウ、魔獣のお世話でありんちゅよ」

 

「うーん……魔獣達は嫌だってさ。まあ、あたしに言わせると余計なお世話なんだけどね」

 

 シズは相変わらず魔獣に抱きついています。

 

 しばらくするとユリがやって来て、アウラに謝りながらありんすちゃんとシズを連れだしました。

 

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

「今度はユリが先生でんちゅね。お願いしまちゅ」

 

 ありんすちゃんは礼儀正しくお辞儀をします。

 

「それではボク……ゴホン」

 

「ぼく? でありんちゅか?」

 

「……ゴホン。えー、それではメイド見習いのありんすちゃんには歩き方の練習をしてもらいます」

 

 ありんすちゃんは頬を膨らまして抗議します。歩く練習なんて、ありんすちゃんをバカにしていますよね?

 

 やれやれ、といった風でユリは手を振ります。

 

「……わかりました。それ程言うならありんすちゃん、歩いてみて下さい」

 

 ありんすちゃんは口を真一文字にして、歩き出しました。緊張して何だかロボットみたいにぎこちなく、その上右手と右足、左手と左足を同時に振ってしまいました。

 

「……これでは立派なメイドにはなれません。まずは真っ直ぐ歩く練習から始めなくては」

 

 ありんすちゃんの練習はその後三時間に及びました。

 

 さすがにそれだけ練習すればありんすちゃんの歩き方だって随分洗練されたものになった事でしょう。

 

 さあ、ありんすちゃん。練習の成果を披露しましょう。

 

 …………あれ? ……ありんすちゃん……三時間前と全く変わりません。相変わらずロボットみたいにギクシャクで、やはり手足が同時に動いちゃっています。

 

 さすがにユリもありんすちゃんに教えるのを諦めてしまったみたいです。

 

 一人落ち込んだユリを後にありんすちゃんは部屋を出ます。

 

 さあ、次は誰が先生でしょう? ありんすちゃん、頑張って。

 

 

 

 

※  ※  ※

 

 

 

 ソリュシャンがありんすちゃんの元を訪ねてみると、ありんすちゃんのメイド服が脱ぎ捨てられており、ホワイトブリムも床に落ちていました。ありんすちゃんの姿は何処にもありません。

 

「……いない? ……ありんすちゃん様?」

 

 ありんすちゃんはメイド服を脱ぎ捨てた後、お風呂に入ってからベッドで眠っていました。どうやらメイド見習いにもう飽きてしまったみたいですね。

 

 やれやれ。仕方ないですよね。ありんすちゃんはなんといってもまだ5歳児位の女の子なのですから。

 

 

 

※ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました

【挿絵表示】

 








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