新聞等でも取り上げられましたので、ご存知の方もいるかもしれません。
原文はこちら
Human Reproduction 2016 Dec, 31(12):2811-2820
Semen quality of young adult ICSI offspring: the first results
「顕微授精(ICSI)で誕生した男性の精液所見はいかに?」
精子が少ないとか、運動率が悪いとかの男性不妊症に対して、顕微授精(ICSI)が行われるようになり20年以上が経過しています。顕微授精にて生まれた男の子たちも成長し、今では18-22歳の成人男性になっています。これらの男性はやはり父親と同じように男性不妊症になっているのでしょうか?
論文では、かつて顕微授精(ICSI)によって誕生した男性54人と、自然妊娠ができたことが分かっている正常男性57人の精液所見を比べています。すると。。。
顕微授精(ICSI)で誕生した男性の方が精子濃度、総精子数、総運動精子数が有意に低いことが判明した、というのです。
比較的少人数のみを対象とした研究ではありますが、顕微授精(ICSI)で誕生した男性の精液所見はちょっと悪い可能性がある、と言えそうです。
くれぐれも早とちりをしないで頂きたいのですが、「父親が男性不妊症で顕微授精をしたら、生まれてきた男の子は必ず顕微授精をしなければ子供ができない」と言っているわけではありません。「父親が男性不妊症で顕微授精をしたら、生まれてきた男の子はちょっと精液所見が悪い可能性がある」と言っているに過ぎません。