企画展の概要
みずみずしく新鮮な野菜、香りたかく豊潤な果物 ―日々の暮らしに活力と潤いを与える蔬果は、日本でもながく描かれてきました。その歴史は中国宋代にさかのぼります。果実は旺盛な生命力が子孫繁栄などの吉祥、蔬菜は泥にまみれつつも清淡な姿と味わいから、俗に交わらない高潔の象徴とされるなど、多様なイメージの熟成とともに蔬果図が生まれ、やがて朝鮮、中世の日本へと広がりました。
そして江戸後期、京都を代表する二人の画家が相次ぎ蔬果絵巻を制作します。錦小路の青物問屋主人だった伊藤若冲(1716-1800)の《菜蟲譜》と、俳諧や美食家でも知られる呉春(1752-1811)の《蔬菜図巻》です。奇怪な存在感の若冲、穏和でみずみずしい呉春、表現は対照的ながら、古来の蔬果図の影響に、本草学や漢詩文・俳諧の新潮流をもうかがわせます。長大な画面に野菜や果物が躍動する様は、まさに蔬果図の集大成ともいえるでしょう。
本展は「描かれた野菜・果物」をテーマに、中世から近代の逸品を集め、日本をはじめとする東アジア絵画の一面に光をあてるものです。多彩な蔬果図からは、小さな生命への賛歌が聞こえてくるようです。身近な素材からのぞきみる小宇宙をお楽しみください。
(展示替えがあります)
主な展示品 出品作品リスト(PDF)はこちら
重要文化財 | 元時代 | 東京国立博物館所蔵 | ||||||
重要文化財 | 八大山人 | 清・康煕33年(1694) | 泉屋博古館蔵 | |||||
雪村周継 | 室町・16世紀 | 禅文化研究所蔵 | ||||||
狩野探幽 | 江戸・17世紀 | 東京国立博物館蔵 | ||||||
鶴亭 | 江戸時代 | 個人蔵 | ||||||
重要文化財 | 伊藤若冲 | 江戸・寛政2年(1790)頃 | 佐野市立吉澤記念美術館蔵 | |||||
重要文化財 | 伊藤若冲 | 江戸・18世紀 | 京都国立博物館蔵 | |||||
呉春 | 江戸・18世紀 | 泉屋博古館蔵 | ||||||
岸田劉生 | 大正時代 | 泉屋博古館分館蔵 |
インフォメーション
展覧会名 | 特別展 フルーツ&ベジタブルズ-東アジア 蔬果図の系譜 |
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主催 | 公益財団法人泉屋博古館、毎日新聞社、京都新聞 |
後援 | |
会場 | 住友コレクション 泉屋博古館 |
会期 | 平成30年11月3日(土・祝)~ 12月9日(日) |
開館時間 | 午前10時~午後5時 (入館は午後4時30分まで) |
休館日 | 月曜日 |
入館料 | 一般800円/高大生600円/中学生350円 (小学生以下無料) |
イベント | いずれも入館料が必要です 中国の文人は目を楽しませ気を養うものとして、蔬果を身近に置きました。その流れをくむ文人茶の実践者佃一輝氏により、果物や野菜のしつらえが出現します。 ◇佃一輝氏スペシャルトーク ■体験型講座 若冲最晩年の10m超の大作を知り尽くした学芸員が、複製を用いて"めくるめく"絵巻の世界へといざないます。 ■講座 ■フルーツ&ベジタブルズ列品解説 ■青銅器展列品解説 |
交通 | ■京都市バス |
お問合先 | 泉屋博古館 SEN-OKU HAKUKOKAN MUSEUM |