書庫のある家@年末調整講座

2018年の年末調整書類の書き方・年末調整のしかたを徹底解説

平成30年分配偶者控除等申告書の具体的な書き方と記入例を徹底解説

f:id:nerona777:20181113153144j:plain この記事では「平成30年分 給与所得者の配偶者控除等申告書」の書き方や記入例をご紹介しています。

この書類は平成30年分に年末調整で

を受けるために記載する書類です。

用紙ダウンロード(国税庁公式)

 

平成29年分までは「給与所得者の保険料控除申告書 兼 給与所得者の配偶者特別控除申告書」という名前でした。

しかし平成30年から配偶者控除・配偶者特別控除が複雑になったため、新しい様式が登場しました。

今年初登場の書類なので、1つずつ丁寧に解説していきます。

<提出不要となる主な場合>

  • 独身で配偶者がいない
  • 本人の給料年収1,220万円超
  • 配偶者の給料年収201万6,000円以上

これらの場合には、配偶者控除も配偶者特別控除も受けられないため、この書類を提出する必要はありません。

ただし、勤め先によっては確認のために提出するよう言われる場合もあるので、勤め先の指示に従ってください。

それ以外の書類については下記をお読みください。

1.平成30年分配偶者控除等申告書の勤め先・氏名住所欄の書き方

1-1. 「勤め先」に関する欄

勤め先欄

多くの場合、勤め先が最初から印字している部分ですが、たまに空欄のままになっていることもあります。

何を書いたらいいかわからなければ空欄のままでもOKです。

書き方を知りたい場合は、次の記事をお読みください。

関連 「所轄税務署長等」の欄は何を書けばいいの?

1-2. 「氏名・住所」に関する欄

例えば田中一郎なら「田中 一郎」と書いて、その上にカタカナで「タナカ イチロウ」と書きます。

※「フリガナ」ならカタカナ、「ふりがな」ならひらがな。どちらで書いてあるかを確認して表記を合わせます。

住所は都道府県名を省略しても特に問題はありません。

印にはシャチハタではないハンコ(印鑑)を押します。

※1番右上の「給与の支払者受付印」は押さないようにしましょう。

2.「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」の書き方 New!!

平成30年分から配偶者控除についても本人(=あなた)の所得制限が設けられたため、平成30年分の所得の見積額を記載します。

合計所得金額の大小にかかわらず省略できないのでご注意ください(根拠:国税庁|配偶者控除FAQ)。

2-1. あなたの合計所得金額(見積額)の計算

配偶者控除等申告書

  1. 「合計所得金額の見積額の計算表」で「あなたの合計所得金額(見積額)」を計算
  2. 出てきた合計額を「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」に転記

例えば給料のみの場合は、「給与所得(1)」の欄に

  • 収入金額等(a):税引前の給与総額の見込み(平成30年分)
  • 所得金額(a-b):次の表で計算した金額

を記載します。

【早見表】

給与総額 所得金額
300万円 192万円
400万円 266万円
500万円 346万円
600万円 426万円
700万円 510万円
800万円 600万円
900万円 690万円
1,000万円 780万円

あくまで見積額なので、厳密にいくらという計算をしないで昨年の年収を思い出しながらざっくりと計算すれば十分です。

厳密に計算するときは次の表をお使いください。

給与総額(X) 所得金額
65万1千円未満 0円
161万9千円未満 (X)-65万円
162万円未満 96万9千円
162万2千円未満 97万円
162万4千円未満 97万2千円
162万8千円未満 97万4千円
162万8千円以上 180万円未満 (X)÷4(※)=(Y) (Y)×2.4
180万円以上 360万円未満 (X)÷4(※)=(Y) (Y)×2.8-18万円
360万円以上 660万円未満 (X)÷4(※)=(Y) (Y)×3.2-54万円
1,000万円未満 (X)×90%-120万円
1,220万円以下 (X)-220万円
1,220万円超 適用対象外

(※)千円未満切捨

もし給与所得以外にも

  • 事業所得
  • 雑所得
  • 不動産所得

などがある場合には記載します。

  • 原稿料や印税
  • 講演料
  • アフィリエイト収入
  • インターネットオークション収入
  • アパート家賃収入

などが該当します。

ただし、人によっては「副業」していることを自己申告してしまうため、記載するかどうかは慎重にご検討ください。

2-2. 合計所得金額の判定と区分

配偶者控除等申告書

右の判定では、

  1. 900万円以下⇒A
  2. 900万円超950万円以下⇒B
  3. 950万円超1,000万円以下⇒C

の3区分に分かれます。

ほとんどの方は合計所得金額900万円以下だと思いますので「区分Ⅰ」には「A」と記載します。

合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除・配偶者特別控除の両方が適用できないため、この書類自体の提出が不要です。

3.「配偶者の本年中の合計所得金額の見積額」の書き方

3-1. 配偶者に関する情報

配偶者控除等申告書

配偶者について、次の情報を記載します。

  1. 氏名・フリガナ:配偶者の氏名・フリガナ
  2. 個人番号:勤め先の指示に従って記載してください。
  3. あなたと配偶者の住所又は居所が異なる場合の配偶者の住所又は居所:同じ場合は空欄でOKです。
  4. 生年月日:配偶者の生年月日
  5. 老人控除対象配偶者:昭和24年1月1日以前生まれの場合は「○」
  6. 非居住者である配偶者:海外に配偶者がいる場合に「○」
  7. 生計を一にする事実:海外に配偶者がいる場合はその配偶者への送金額

3-2. 配偶者の合計所得金額(見積額)の計算と判定区分

配偶者についてもまず合計所得金額(見積額)を計算します。

例えば給料のみの場合は、「給与所得(1)」の欄に

  • 収入金額等(a):税引前の給与総額の見込み(平成30年分)
  • 所得金額(a-b):次の表で計算した金額

を記載します。

給与総額(X) 所得金額
65万1千円未満 0円
161万9千円未満 (X)-65万円
162万円未満 96万9千円
162万2千円未満 97万円
162万4千円未満 97万2千円
162万8千円未満 97万4千円
180万円未満 (X)÷4(※)=(Y) (Y)×2.4
201万6千円未満 (X)÷4(※)=(Y) (Y)×2.8-18万円
201万6千円以上 適用対象外

(※)千円未満切捨

あくまで見積額なので、厳密にいくらという計算をしないで昨年の年収を思い出しながらざっくりと計算すれば十分です。

3-2-1. 給料のみで年収103万円以下

配偶者控除等申告書

給料のみで年収103万円以下の場合、所得金額は38万円以下です。

「配偶者控除」の対象になります。

区分Ⅱは年齢が

  • 70歳以上(昭和24年1月1日以前生まれ)→「①」
  • 70歳未満→「②」

と記載します。

3-2-2. 給料のみで年収103万円超150万円以下

配偶者控除等申告書

給料のみで年収103万円超150万円以下の場合には、所得金額は38万円超85万円以下です。

「配偶者特別控除」の対象になり、区分Ⅱは「③」になります。

3-2-3. 給料のみで年収150万円超201万5,999円以下

配偶者控除等申告書

給料のみで年収150万円超201万5,999円以下の場合には、所得金額は85万円超123万円以下です。

「配偶者特別控除」の対象になり、区分Ⅱは「④」になります。

3-2-4. 年収201万6,000円以上の場合

配偶者控除も配偶者特別控除も対象外です。

3-2-5. 配偶者が給料以外の収入を得ている場合

配偶者控除等申告書

事業所得・雑所得・不動産所得などを得ている場合には、それぞれ記載します。

収入金額(売上高)から必要経費を引いた金額を計算しましょう。

必要経費とは、

(1) 料理教室を開いて収入を得ている場合

  • 料理教室のための材料代
  • レシピ本の購入代

(2) ピアノ教室を開いて収入を得ている場合

  • ピアノ教室のための楽譜代

(3) アフィリエイトで収入を得ている場合

  • ホームページのサーバー代
  • ドメイン代

(4) ライターとして収入を得ている場合

  • 取材費

(5) 転売で収入を得ている場合

  • 商品購入代
  • 商品発送のための送料

などが考えられます。

もし年末調整の段階ではよくわからない場合は、書類の提出を見送ることも可能です。

収入金額や必要経費は翌年1月にはおおよそわかると思います。

その後の確定申告で配偶者控除または配偶者特別控除をする方が良いかもしれません。

3-2-6. 配偶者の合計所得金額の注意点

  • 通勤のための交通費は所得税が課税されないので原則として含みません。
  • 出産手当金、出産育児一時金、育児休業給付金は含みません。

関連 共働きでも産休・育休中は扶養に入れる!配偶者控除・配偶者特別控除で節税しよう!

4.配偶者控除・配偶者特別控除の「控除額の計算」の書き方

最後に1番下の「控除額の計算」を行います。

配偶者控除等申告書

区分Ⅰで「A・B・C」いずれかの行かが分かります。

区分Ⅱで「①・②・③・④」いずれかの列かが分かります。

【具体例1】本人A、配偶者②

配偶者控除等申告書

配偶者控除:控除額38万円

右下の「配偶者控除の額」の欄に記載します。

【具体例2】本人A、配偶者③

配偶者控除等申告書

配偶者特別控除:控除額38万円

右下の「配偶者特別控除の額」の欄に記載します。

【具体例3】本人A、配偶者④(合計所得金額108万円)

配偶者控除等申告書

⇒配偶者特別控除:控除額16万円

右下の「配偶者特別控除の額」の欄に記載します。

5.Excel版なら自動的に計算してくれる!

10月に国税庁から公開された「平成30年分給与所得者の配偶者控除等申告書[Excel]」では、金額を入力すると自動で判定・計算してくれます。

  • 給料の年収を入れると勝手に所得を計算してくれる
  • 本人と配偶者の所得で勝手に配偶者控除・配偶者特別控除のどちらが使えるか判定してくれる
  • 配偶者特別控除の控除額を勝手に計算してくれる
  • 配偶者の生年月日で老人控除対象配偶者の判定もしてくれる

入力する際の留意事項も「簡易版」と「詳細版」が用意されているので、入力するときにわからないことがあれば活用しましょう。

まとめ

このブログはあくまで一般的な情報提供をしているため、税金の計算やどちらが有利かなど具体的な税務相談は残念ながらできません。

税金に関する国家資格を持つ税理士または最寄りの税務署にご相談ください。

会社の年末調整の担当者を通じて顧問税理士に確認してもらうのも良いでしょう。

関連 税金に関する相談は税理士または最寄りの税務署へ

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