【大相撲】稀勢連敗…早くもちらつく休場危機 妙義龍は3個目金星2018年11月13日 紙面から
◇九州場所<2日目>(12日・福岡国際センター) 一人横綱の稀勢の里(32)=田子ノ浦=が東前頭筆頭の妙義龍(32)=境川=に寄り倒され、初日に続く黒星を喫した。2場所ぶりの休場もちらつく防戦一方のふがいない内容で通算14個目の金星配給。過去、連敗スタートから優勝した力士はいないという不吉なデータも突きつけられた。初日に稀勢の里を破った小結貴景勝(22)=千賀ノ浦=は大関豪栄道を突き落とし、連勝スタートをきった。 場所前に発した「もちろん優勝」の宣言が、ただただむなしい。稀勢の里は全く攻め手を繰り出せないまま、もろ差しを許して寄り倒された。妙義龍に5年半ぶりの金星を配給する屈辱の2連敗スタート。自らに課した優勝争いどころか、早くも休場の2文字がちらつく苦境に立たされた。 生命線の左で差せず、逆に左差しを許す苦しい展開。強引な寄りが実らず、棒立ちになると防戦一方だった。最後は相手の右を抱えて逆転狙いの小手投げを繰り出すも、追いすがられて万事休す。尻もちをつくと、力なく土俵下に転がり落ちていった。 横綱相撲からほど遠い完敗に、風呂場で「ア~ッ!」と絶叫。戻ってきた支度部屋では、うつろな表情で口を開くことはなかった。 危険な兆候は、横綱の貫禄を見せたはずの出稽古にあった。同い年の妙義龍とは7日に手合わせ。関脇経験者を13勝2敗と圧倒したものの、初っぱなの一番ではもろ差しを許し、あっさり土俵を割っていた。 この日の取組直前、八角理事長(元横綱北勝海)は「最初の一番が大事なんだよ。本場所も一番しかない。後で疲れているところで何番勝っても。最初なんだよ」と口にした。そんな予言めいた言葉がズバリ的中した。 優勝制度が始まった1909年以降、2連敗の滑り出しから賜杯を手にした力士はいない。データの上では、早くも公約実現の可能性がゼロになった。それどころか、現実味を帯びてくるのは途中休場だ。昨年九州と今年初の両場所は、いずれも3連敗の翌日に土俵から姿を消している。 崖っぷちに近い状態の3日目は、1年前の初顔合わせで金星を許した北勝富士を迎え撃つ。「最後まで務めきり、結果を残すだけ」と初の一人横綱として迎えた1年納めの土俵。責任感を力に変えるしかない。 (志村拓) ◇ 妙義龍が2013年夏場所2日目に日馬富士を破って以来、通算3個目の金星を獲得した。16年秋場所7日目の日馬富士戦以来となる結びの一番で稀勢の里を寄り倒し「うれしいっす。久々の結び。稀勢の里関とも久々の対戦。緊張しました。深呼吸をいっぱいして何とか落ち着かせました」。稀勢の里との対戦は16年秋場所以来。ひざのけがで低迷していたが、三役常連だっただけに上位でさすがの存在感を出している。
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