Windows 7から同10に移行する際には、考慮すべき点がいくつもある。半年に一度のOSの大型更新にどう向き合えばよいか。Internet Explorerやウイルス対策ソフトとは縁を切るべきか。数多くのOS移行を手掛けてきた専門家2人に話を聞いた。(聞き手は清嶋 直樹=日経 xTECH)


Windows 7から同10への移行は、いつ始めればよいか。

数多くのOS移行プロジェクトを手掛けてきた富士ソフトMS事業部の増田裕正MSサービス推進室長(左)と、同事業部の大江聡一郎ソリューショングループ主任
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 ズバリ、今すぐにでも始めるべきだ。2020年1月14日のサポート終了まで、残された時間は長いようで短い。一定以上の規模がある企業は、移行作業に1年程度の時間の余裕がほしいところだ。それくらいの大仕事になることを覚悟したほうがよい。しかも、サポートの終了期限が近づくにつれて、我々ITベンダー側は手一杯になることが予想される。作業の質が落ちる可能性は否めない。

 2015年にWindows 10がリリースされ、当初は動作が不安定なところがあった。しかしその後は「WaaS(Windows as a Service)」と呼ばれる、半年に一度の大型のOS更新を繰り返すようになり、2017年前半には安定期に入ったと見ている。我々からすれば、Windows 10はいい意味で、既に「枯れたOS」になっている。

 2018年10月にリリースされた最新の大型更新である「Windows 10 October 2018 Update(バージョン1809)」では、更新時に一定の条件下でファイルが消失するという深刻な不具合が見つかった。そのため、今も更新が中断されている。それでも日本マイクロソフトが素早く更新の一般提供を停止したことで、当社の顧客で実害が出たという報告は1件も来ていない。今回の不具合のため、半年後の2019年春まで待ったほうがいいということにはならないだろう。

 かつて、Windows XPから7に移行したときは、新しいOSを搭載したマスターパソコンを用意して、そのイメージデータをコピーして展開するという手法を用いれば、数千台を超えるような規模でも数カ月でOSの移行作業を終わらせることができた。だがWindows 10は事情が異なる。7から10に移行するということは、すなわち、WaaS(半年に一度の大型更新)に備えなければならない。静的なマスターを展開するだけでは、一時しのぎにしかならない。WaaSを前提にした運用設計に時間を割く必要がある。この変化は大きい。

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