ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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今日のありんすちゃんはアルベドに頼まれて王国へお使いに行きます。
お供のアンデッドはありんすちゃんの階層から連れて行きます。身の回りの世話をするのはヴァンパイア・ブライドです。何だかんだでそこそこの大所帯になってしまいました。
ありんすちゃんは最近再びゲートを使えるようになったので、馬車ごとすぐに王国へ行けます。
本当はゲートよりドラゴンで行きたかったのですが、今回は駄目なんですって。残念です。
ありんすちゃんは王国に着くと、ヒルマの館を目指します。館では八本指という人達がいるので、ありんすちゃんはアルベドのかわりに指示を出すのです。
「ありんすちゃん様。ようこそおいで下さいました。皆、揃っております」
ありんすちゃんは胸を張ってヒルマに案内されて館に入ります。あんまりふんぞり返りすぎて倒れそうになったのは内緒です。
部屋の中には痩せた人や痩せて頭が禿げた人達がいました。どの人もヒルマに負けず劣らず痩せています。王国ではダイエットがブームなのかもしれませんね。
ありんすちゃんはアルベドから渡されたメモを読み上げます。
「これからジャンケンで負けた人は罰ゲームでんちゅ。素直になる部屋にいくでちゅね」
居合わせた八本指の全員が真っ青になりました。 ヒルマが震える声で嘆願します。
「……お願いです。それだけはご容赦下さい」
ありんすちゃんには『ご容赦』の意味がわかりませんでした。だってまだ5歳児位の女の子ですから、難しい言葉はわからないのは仕方ないですよね。
「……わかりまちた」
ヒルマは安堵のあまり、ペタンとへたり込んでしまいました。あの地獄を二度と味わらなくて済むのなら何でもするつもりです。
──どうやら地獄を回避出来た──そんなヒルマのささやかな希望は無惨にもありんすちゃんの次の一言で潰えるのでした。
「では、ジャンケンするでんちゅ。負けたら恐怖公とあそぶでありんちゅ」
「──そんな──」
八本指の誰もが絶望した面持ちで互いの顔を見合わせます。こうなれば仕方ありません。相手は子供とはいえ、あのナザリックの幹部です。反抗しても簡単に殺されてしまうだけでしょう。
彼らの命懸けのジャンケンは数時間も続けられました。
敗者となったのはやはりヒルマでした。
他の八本指の名前をこの二次小説の作者が知らないのでヒルマになった、なんという事はないと思います。多分。
「……お願いです。お許し下さい。……そうだ、ありんすちゃん様に素敵なプレゼントを差し上げます」
「……プレゼント? でありんちゅか?」
どうやらありんすちゃんの心が動いたみたいです。
「見てください! この超合金アインズ様を! こうしてスイッチを入れると目と下半身が赤く光るんです! しかも──」
ヒルマはアインズ様をテーブルに置きました。するとアインズ様フィギュアは右手を動かしセリフを喋りました。
「──騒々しい。静かにせよ──」
おや?ありんすちゃんの目の色が変わりました。どうやら欲しくてたまらないみたいです。
私も欲しかったりしますが……ゴホン。
「ふたちゅでちゅ」
ありんすちゃんはメモを見ながら言います。
「アルベドからアインズちゃま人形を持って帰るとなっているでありんちゅから、ありんちゅちゃんの分とふたちゅでちゅ」
ヒルマは大急ぎでアインズ様フィギュアを二つ用意してありんすちゃんに渡しました。
ありんすちゃんは無事にお使いを済ませてナザリックに帰りました。
※ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました