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【ゴルフ】

額賀、本人もびっくり大逆転 プロ13年目、ツアー166戦目で初V

2018年11月12日 紙面から

最終日、3番でティーショットを放つ額賀辰徳。通算9アンダーでツアー初優勝=太平洋クラブ御殿場で

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◇三井住友VISA太平洋マスターズ<最終日>

 ▽11日、静岡県御殿場市・太平洋C御殿場C(7262ヤード、パー70)▽晴れ、17・6度、南南西3・5メートル▽賞金総額1億5000万円、優勝3000万円▽60選手▽観衆8689人

 プロ13年目で今季はシード権がなく、今大会は主催者推薦で出場した伏兵・額賀(ぬかが)辰徳(34)が自慢の豪打を駆使して前日までの3打差を逆転、66で回って通算9アンダーにし、ツアー通算166試合目で初優勝を飾った。初日から首位を走り続けた秋吉翔太(28)=ホームテック=は3位。今季国内初戦となった松山英樹(26)=レクサス=は74と乱れ、通算4オーバーで46位に終わった。

 本人もびっくりの大逆転だ。額賀は前日終えて3打差の3位だったが、同スコアに6人もいた。優勝争いはしても最後にしくじり、心の隅に「今回も」の思いがこびりついていた。スタート前は「優勝の意識は全然なかった」。ところが、3番パー5で30ヤードのチップインイーグルを決め、その後も落ち着いたプレーのまま終了。2組後ろの最終組で首位を走っていた秋吉が残り2ホールで突如乱れたため、気が付いたら優勝していた。

 日本では久しぶりに生まれた、豪打タイプの王者だ。中央学院大時代に日本学生選手権や日本オープンのローアマを取り、卒業と同時にプロ入りしたときは将来を嘱望された。ドライビングディスタンスは4度1位を獲得。だが下部ツアーで4勝したが、レギュラーツアーではシード権を獲得しては手放すの繰り返し。目立つのは飛距離と、巨人・原監督とはまったく関連がないという「辰徳」の名前だけだった。

トロフィーを手に笑顔の額賀

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 これまでは優勝のチャンスがあっても、最後にショットを曲げて自滅した。飛ばしが逆に足を引っ張っているのではと悩んだ。「賞金ランクで飛ばし屋が上位に行かないから、やっぱり不利になってるんじゃないかと。自分が下手なだけなんですけどね」。応援に駆けつけた妻・友美さん(38)も「ただ飛ぶだけと言われて苦労していました」という。

 今大会は親しくしている松山が改造の監修をしたコースだった。「英樹に感謝しないと。ドライバーをバチンと打っていけたし、イメージが出やすかった」。今季もここまでドライビングディスタンスは1位(306・5ヤード)。優勝した今は、やはり飛距離が自分の武器だと思い直している。

 当初は次週行われる来季の3次出場予選会に行くつもりだったが、優勝賞金3000万円を獲得し、その必要もなくなった。「あ、ホテルをキャンセルしなきゃ。キャンセル料かかるかな」。うれしい悲鳴と13年分の笑顔は、やむことがなかった。 (大西洋和)

<額賀辰徳(ぬかが・たつのり)> 1984(昭和59)年3月28日生まれ、茨城県鹿嶋市出身の34歳。183センチ、80キロ。14歳からゴルフを始め、中央学院大卒業後にプロ入り。昨年は下部ツアーランク7位で今季のレギュラーツアー前半戦の出場権を得たが奮わず。前週まで14試合で予選落ち9、棄権1、最高位は東建ホームメイト杯の18位タイだった。

9番で林の中から、ショットする松山(大西洋和撮影)

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◆松山 声援に応えきれず46位

 松山は最後までショットが安定しなかった。9番では左側の林にティーショットを入れてボギーとなるなど、前半だけで1ダブルボギー、2ボギーをたたいた。後半も立て直せず46位タイ。「何か一つでもきっかけをと思ったんですけど、最後まで見つけることなく終わったのが残念」とうなだれた。

 海外で活躍するビッグネームの来日で、最終日のこの日は昨年より約3000人増の8689人の観客で埋まった。だが松山はピンチをしのぐアプローチショットで何度か見せ場をつくったものの、苦しんでいる姿に「頑張れ」と声援が送られた場面もあった。

 「たくさんのギャラリーが来てくれてビッグスコアを期待していると思うんですけど…。しっかりとスコアでも沸かせられるよう頑張りたい」。15日開幕のダンロップ・フェニックス(宮崎)へ転戦し、年内の国内大会はこれが最後。今度こそ活躍を期待したい。 (平野梓)

 

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