韓国銀行は8日、家計債務など金融のアンバランスを緩和するため、融資規制、金融機関に対する管理などマクロ経済の健全化政策だけでなく、金利引き上げなど通貨政策で対応すべきだとする「通貨信用政策報告書」を国会に提出した。今月30日に予定される金融通貨委員会で政策金利を引き上げることを示唆したと受け止められている。
韓銀は「韓国の所得に占める家計債務の割合が大幅に上昇するなど金融のアンバランスが蓄積しており、これは住宅価格の上昇と関係している。通貨政策の運用においては、金融安定に留意すべきだ」と指摘した。
韓銀によると、家計債務の前年同期比での増加率は、2016年10-12月の10.1%から徐々に低下し、今年4-6月には7.7%となった。政府による不動産対策と融資規制の影響だ。しかし、家計債務の増加は名目国内総生産(名目GDP)の成長率(4-6月は3.5%)の2倍以上のペースだ。名目GDPベースの家計債務比率は4-6月時点で98.7%に達した。
韓銀は家計債務の伸びと住宅価格の上昇の間に大きな関連性があると判断。報告書は「特にソウルを中心とする首都圏の住宅価格上昇と家計債務の増加が互いに影響を与え、金融のアンバランスを悪化させている」と指摘した。
韓銀は金融のアンバランスへの対応に関する2つの見解を紹介した。報告書は「米連邦準備理事会(FRB)と国際通貨基金(IMF)は、金融のアンバランスにマクロ経済の健全化政策で対応すべきだと考えているが、国際決済銀行(BIS)は通貨政策を同時に講じるべきだと主張するなど意見が異なる」とした上で、「世界的な通貨危機以降は、通貨政策の役割を強めるべきだとの主張が徐々に力を得ている」とした。韓銀は不動産市場の過熱と家計債務の急増を和らげるため、通貨政策の役割強化論を支持した格好だ。
韓銀は最近、利上げのシグナルを発している。李柱烈(イ・ジュヨル)韓銀総裁は、金利を据え置いた先月の金融通貨委以降、「金融安定リスクは通貨政策当局も留意すべき段階だ」と表明している。金融通貨委では、委員7人のうち利上げを主張するタカ派を前回の会合から2人に増やした。