朝鮮日報

【コラム】自ら声を上げられない韓国スポーツ界

 これは、運営費分担割合問題を巡り、政府と自治体が合意に失敗、運営主体すら決まっていないせいだ。1000億ウォン(約100億円)以上かけて建設され、「ハイテク装備を持つ最高の競技場」と称賛された江原道アルペン・スライディング・センター、李相花(イ・サンファ)選手が闘ったスピードスケート・センターも水と氷がない、抜け殻のようなコンクリート構造物になってしまった。韓国そり競技史上初の金メダルを手にしたスケルトンのユン・ソンビン選手は「国内で練習場所が見つからないので、今季は良い成績を期待するのが難しい」として国内のスライディング・センターを後にし、海外に出た。

 運営費分担割合問題はとうとう来年に持ち越される見通しとなり、各競技施設はシーズンを前にして時ならぬ「冬眠」をすることになった。政府や自治体が、選手たちの施設利用を許可した状態で議論を続けていれば、このようにあきれた事態にはならなかっただろう。現場のあちこちからため息が漏れているが、スポーツ関係者の間からは、政府や地方自治体に早期解決を求め、声を上げているという話を聞いた記憶がない。

 韓国のスポーツ界は今、危機的な状況にある。政府のスポーツ政策のあらゆる関心が「起承転結」ならぬ「起承転-南北」(現政権がどんなことも結局は北朝鮮との関係に結び付けること)に傾き、肝心の国内スポーツの処遇改善や競技力向上はおろそかになっている。それでもスポーツ界が沈黙しているのは、下手に声を上げたら目を付けられ、「積弊清算」(前政権批判)に巻き込まれる恐れがあるからだ。あるスポーツ関係者は「今はお互い『ただ様子を見てみよう』『待ってみよう』とばかり言っている」と、韓国スポーツ界の沈んだムードを語った。

 韓国スポーツ界が先進国並みに成長するのに心強い支えとなっていた国内企業が支援を減らしているのも、ただでさえ萎縮しているスポーツ界をさらに萎縮させている。国内屈指の企業グループもこのほど、野球など人気スポーツの予算を昨年比で20-30%削減することにしたという。こうした中、スポーツ界の権益を代弁すべきスポーツ界指導者が、国政監査の場で冷や汗をかきながら不正疑惑について弁明し、「申し訳ありません」「見守ります」「訂正します」と繰り返していることこそ、「かかし」に成り下がった韓国スポーツ界の今の姿だ。

 2019年には韓国のスポーツを育ててきた全国体育大会(日本の国体に相当)が100回目を迎える。既にソウルと平壌で大会を共催するか、それが難しければさまざまな南北親善行事を開催するという話が飛び交っている。しかし、韓国スポーツ界が今のような状態では、もしかしたら相対するかもしれない北朝鮮スポーツ関係者に次のような言葉を浴びせられて、剣突を食うかもしれない。

 「南のスポーツ関係者はあれほど無視されても飯が喉を通るのですか?」

スポーツ部=姜鎬哲(カン・ホチョル)部長

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