防衛省は国防を目的とした無人航空機を国内で生産する検討に入った。日本企業のセンサー技術を生かして、偵察のほか、北朝鮮を念頭に置いたミサイル発射の動きの探知や、電波情報の収集などを想定している。2015年度に3機購入する米軍の無人偵察機「グローバルホーク」と一体で運用する。
センサーの開発は富士通などと組む。窒化ガリウムと呼ばれる半導体素子を活用し、省電力で高出力の赤外線センサーをめざす。無人機用のエンジンや衝突回避装置といった基幹部品も開発する。国内で実用化のメドが立っていない機体そのものは米国やイスラエルなど外国製品を輸入し、日本での組み立てを検討する。開発期間は5年程度とし、20年度をメドに運用を開始したい考えだ。
国産無人機で国防強化 ミサイルなど常時警戒 防衛省検討
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDE13H04_T10C14A9PE8000/
ぼくがこの半年ほど報じてきた「国産」MALE(Medium Altitude Long Endurance:中高度長時間滞空)型無人機の件を日経が後追いしました。
下記の東洋経済オンラインの記事でもこのことには述べています。
オスプレイの拙速導入は、安倍政権による濫費 防衛省概算要求に隠された問題<後編>
http://toyokeizai.net/articles/-/47070?page=3
記事にもありますが、3機導入するグローバルホークが常時運用できるのは整備などで1機です。週に数回程度飛べるにすぎません。まともな監視なんぞできるわけがありません。
ですからアメリカ側から、もう3機買えと圧力がかかっています。報道はされておりませんけども。
現段階で「滞空型無人機」について公式発表では候補の機体も決まっていない、運用部隊もきまっていない、どの程度の機数を最終的に調達するかも決まっていない。だけど実際にはグローバルホークを買うことにしました、ですから納税者をなめているとしかいいようがありません。
この日経の記事にはありませんが、防衛省内部ではグローバルホークの導入に賛成な人は殆どおりません。調達は安倍政権による押し付けでしょう。安部首相は何かアメリカ様に弱みでも握られているのでしょうか。
記事にあるように機体は輸入です。で、日本製のミッションペイロードを搭載する。これを輸出するという構想があります。この手法は欧米でもよく使われています。イスラエルの機体を導入してフィンメカニカやらタレスやら地元のインテグレーターが最終的な製品に仕上げるわけです。
機体は米国かイスラエルとありますが、これまたぼくが報じてきたように本命はIAIのヘロンと目されています。
ヘロンは実績もあり優れた機体ですが、対アラブ感情、特に輸出となった場合は問題が起こる可能性が大でしょう。また国際共同開発の経験が少ない我が国がいきなりイスラエルと一緒にやってもいいところだけを持っていかれる可能性もあるでしょう。
グローバルホークの導入は手段が目的化されており、何のための導入かわかりません。まともにリサーチをしていないのに、しかも自衛隊ののUAVの運用経験は殆ど皆無でこのような大型UAVを導入するのは無謀でもあります。しかも投入するのは中途半端な予算。
これを考えた奴は(たぶん官邸にいるんでしょうけども)自衛隊の弱体化を図っているとしか思えません。
グローバルホークの調達は中止し、MALE型UAVの導入に予算とリソースを集中すべきです。
MAELを運用し、その結果不十分だとどうしてもグローバルホークが必要だというのであれば、その時に調達すれば宜しい。
また既存のUAVの改良ではなく、プラットフォームに余剰になるP-3Cを使ってはどうでしょうか。まだまだ使える機体をスクラップにするのはもったいない。
ミッションシステムだけを入れ替え、当面クルーはパイロット二名だけを搭乗させて運用し、その間に無人操縦の技術を確立し、以後完全無人に切り替える。充分に運用のノウハウを獲得した段階で無人機の開発に踏み切る。そのようなプロセスを経れば無理なく、開発・導入が進むのではないでしょうか。
MALE型UAVを国産開発するならば洋上でのエンジントラブルなどに際しても生存性の高い双発機にしてはどうでしょうか。UAVといってもこのクラスの機体は価格が高く、おいそれと調達はできません。維持費は単発より双発が高いですが、機体のロストの確率を考えた場合双発の方が有利ではないでしょうか。結構世界のマーケットで需要を見込めるかもしれません。
P-3Cの改造費は大した金額にはなりません。また、整備は当然ながらP-3Cと同じですからP-3Cが配備されている基地で運用すれば効率的な運用が可能でしょう。
東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
結論ありき」で高額な兵器を調達する怪
防衛省概算要求に隠された問題<前編>
http://toyokeizai.net/preview/dd9c698dc49dbfafe1fdddad129294461604ead0
オスプレイの拙速導入は、安倍政権による濫費
防衛省概算要求に隠された問題<後編>
http://toyokeizai.net/articles/-/47070?page=3
フジテレビ、愛国報道の「異様な光景」
ジャパンエキスポは排他的なイベントではない
http://toyokeizai.net/articles/-/45401?page=2
コマツが防衛事業から撤退すべき5つの理由
取り組み姿勢が、キャタピラーとは対照的
http://toyokeizai.net/articles/-/45208
英航空ショー出展、中小企業「匠の技」とは?
盛んな商談、航空機ビジネスに食いこむ好機に
http://toyokeizai.net/articles/-/44434
新しい防衛航空宇宙専門サイトを始めました。
「東京防衛航空宇宙時評・Tokyo Defence & Aerospace Review」
http://www.tokyo-dar.com/
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記事
- 2014年09月14日 14:42