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(神部)集めてきました!
(萬平)おお そうか。(福子)手伝うてくれる人がいたの?
(長久保)腹減った~。(野村)わいもや。
神部君。こんなに!?
頑張って集めてきました!
(鈴)福子!
♪「丸まってる背中に もらい泣き」
♪「恥じだって一緒に」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「飛行機雲ぼんやり眺む」
♪「心ここに在らず」
♪「年間トータル もししたら」
♪「付き合うあたしすごい?」
♪「とぼけてる眉毛に もらい笑い」
♪「照れだってなんだって」
♪「あなたとならトゥラッタッタ♪」
♪「もらい泣き もらい笑い もらい怒り」
♪「もらいっ恥じ どんと来い!」
♪「晴天も曇天も霹靂も」
♪「さあ あなたとトゥラッタッタ♪」
♪~
(鈴)まさか あんなに連れてくるなんて。
加減というものを知らないんですかあなたは。
申し訳ありません。 人はできるだけ多い方がええと思いまして。
あらかじめ何人必要やって決めてなかったんですか。
いや 集まってもせいぜい5~6人だと思ってたんだ。
神部君は 人集めの才能があるのかもしれないな。
ありがとうございます。ありがとうございますやない!
すいません。5人でいいなら残りは帰ってもらってちょうだい。
待って下さい お義母さん。人手は たくさん欲しいんです。
81枚も鉄板があるんですから。
何言うてるの。15人も どこで寝るのよ。
1階の広間があるやない。
雑魚寝するなら 大丈夫やと思うけど。
福子は どっちの味方なの?
あの人たちの食事を作るのは私たちなのよ。
毎日毎日 作るのよ。
大変なんは分かってますけど…。
食費は どうするのよ 萬平さん。結構かかりますよね。
お風呂かて1人ずつ入ってたら私たちが入るのは真夜中になってしまうわ。
萬平さんや大奥様たちが先に入って頂いて結構です。
私は 帰ってもらってって言うてるの!
でも お義母さん。わざわざ泉大津まで来てとんぼ返りしろやなんて言われたらみんな怒り
ますよ。
えっ?ふざけるなって言うて暴れるかも。
やめてよ。 冗談やありません。
そうなったら もうみんなで土下座するしかない。
土下座!? 武士の娘の私が土下座!?
もうええやない。皆さんにいて頂きましょうよ。
そうですよ。みんな やる気になってますから。
食費は どうするの?それは おいおい考えるとして。
おいおい。そしたら…土下座する?
土下座は い…。
(岡)岡 幸助といいます。寝屋川で生まれまして戦争に行く前は 乾物屋で奉公してたん
ですが 空襲で店が…。
そこまでの自己紹介は ええ。 次。
(小松原)小松原完二といいます。生まれは…。
生まれも ええ。
(森本)森本 元です。戦争に行く前は…。
名前だけで ええ。
(赤津)赤津です。
(堺)堺です。
(増田)増田と申します。
(長久保)長久保といいます。(高木)高木です。
(野村)野村です。野村さん。
(堀)堀。(佐久間)佐久間。
(倉永)倉永。(大和田)大和田。
(峰岸)峰岸。以上。 俺を含めて 15名。
皆さん よう来て下さいました。
塩作りの経験はありませんが給料を頂けるなら一生懸命 頑張ります。わしもです。
戦争から帰ってきても仕事がなくてのう。
地獄に仏とは このことじゃ。
ほんまにありがたいこっちゃな。
ええ人たちやありませんか お母さん。どうだか。
みんなには早速 明日から働いてもらうぞ!
おい。 おい!(神部)聞け 聞け。
今日は 仕事の内容の説明をします。
はい。
その前に…。 こちらがみんなの世話をして下さる 奥様や。
奥様…。
福子です。
(一同)よろしくお願いします。
そして こちらが大奥様。よろしく。
大奥様…。(一同)よろしくお願いします。
そして こちらが萬平さん。
…では あきませんね。ん?旦那様や。
(一同)旦那様。旦那様は やめてくれ。
そうですか。 ほな… 社長や!
(一同)社長。いや 会社じゃないんだから。
あっ そしたら 親方は どう?親方や!
(一同)親方!親方。
はあ… 萬平でいい。
(一同)よろしくお願いします。
よいしょ。
あっ お母さん すいとんが煮えてる。おわんが足りないわ。
もうええから。先に すいとん お願い。
毎日 こんなことしないといけないの。
最後に その塩の花を布に伸ばしてにがりを落としていく。
そうすると 塩が出来るというわけだ。みんな 分かったか?
なるほど。塩っちゅうのは そうやって出来るんか。
なかなか大変な作業ですね。
大変に決まってるやろ。しっかり頼むぞ。
まずは その81枚の鉄板を置く土台を作る。
神部君 3人1組 5組作ってくれ。はい。
(一同)頂きます。
おっ うまいぞ。うまいな。
おいしいな。これ うまか。
(森本)これだけか。いや こんだけっちゅうことはないやろ。
(鈴)それだけです。ごめんなさいね。
お代わりとか ないんかな。
お代わりは ありません。辛抱して。
萬平さんも辛抱してるんや。
いや 僕は これで十分だよ。(小声で)辛抱してるって言うて下さい。
辛抱してる。
そやから 皆さんも辛抱して。
5分で上がれよ。は~い。
はよせぇよ。待て。
あと2分。
♪~
ああ… 疲れた…。
ご苦労さまでした。福子も疲れただろう。
私は 大丈夫です。のんきなこと言わないで 福子。
萬平さん はっきり言うてこんなこと続きませんよ。
毎日 毎日あの人たちの世話をするやなんて…。
ああ… お義母さんには本当に申し訳ないと思ってます。
でも もう やるって決めたんやから。
塩は いつ出来るの?いつ お金が入ってくるの?
鉄板を並べるのに 1週間はかかります。
1週間!
でも そこからは毎日 塩が作れますから。
そんなに うまくいくとは思えない…。
ただ 鉄板を並べる間に大釜やバケツをそろえなければ…。
ほら出た。 どうやって そろえるの?
買うの? そのお金は どこにあるの?
バケツは私が ご近所を回って借りてきます。
お母さんも 一緒に行きましょう。ああ…。
萬平さん お風呂に入ってきて下さい。
ねっ。 明日から大変なんやからはよ寝ないと。
そうだな。 じゃあ 入ってくるか。
はあ… 先が思いやられる。
明日 ハナちゃんちに行ってお金を借りてきます。
私が へそくり出したやない!15人を食べさせていくんよ。
あっ… 私たちを入れたら 18人。
ああ… あのまま克子の家にいてれば よかった。
もう諦めて お母さん。 ねっ。明日の献立を考えましょう。
何も考えられない!
♪~(歌声)
翌日から 塩作りの準備が始まりました。
萬平さん 代わりましょか。大丈夫だ。
81枚の鉄板を並べるんですからその土台になる杭も 大変な数です。
よいしょ。
あんな萬平さん初めて見た。
(ハナ)14人!?神部さんを入れたら 15人。
(賢作)そないに ぎょうさんの人をいっぺんに雇たんですか。
そのくらいいないと塩作りはできないんです。
ですから も~う少しお金を貸して頂けないでしょうか。
お願いします。
福ちゃんを助けてあげて下さい。
♪~
おい 岡。はい。
水が漏れないように しっかり作れ。はい。
お母さん 味付け早く。今 やってます。
もう~。
こんなもんで足りるかい。もっと食わせろ。
少ないのう。お前ら 文句言うな。
あっ 私 お風呂沸かしてくるからあと お母さん お願いします。
もう… 嫌!
ここは 補強した方がいいな。
♪~
製塩業の審査をお願いします。
(波多野)ほう 従業員が15人。
はい。 設備も整いました。(波多野)塩は いつ出来るんです?
もうすぐです。 来週にでも立ち入り審査お願いします。
んっ… み… 水!
(まさの)ああ ああそんなに急いで召し上がらなくても。
あ~!
これは やけ食いです。(竹春)やけ食いってか。
いきなり むさ苦しい兵隊帰りが14人もやって来て寮母みたいなことさせられて私は 武士
の娘ですよ!
14人。汗臭いこというたら もう。
食事作りも 大変やし。
ほな うちから 出前取ったらええ。
そうそう。 うちがお届けします。
出前なんて そんな ぜいたくは…。
安うしとくで。
大奥様も 手抜きできるやありませんか。
うまい!
ここで しなそばが食えるとはな。
注文してもろたらいつでも持ってきまっせ。 なあ。
はい。 喜んで!
そうそう出前なんて頼めないわよ。
そやけど 今日は楽できる。ありがとう お母さん。
でも これ塩気が足らんな。確かに。
また それ言われたがな!
働いて汗かいてるからなおさらなんですよ。
僕たちの塩が出来たら清香軒さんにも お分けしますよ。
ほんまでっか!ありがとうございます!
さあ もう つべこべ言わないで食え食え!
人間 食うことが一番大事なんだ!
(一同)はい。せやせや。 食べて 食べて。
会社ではなかったけれど萬平さんは すっかり社長の顔になっていました。
泉大津に来て 福ちゃんは本当の萬平さんの顔を見た気がしていました。