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左手のピアニストの調べ 県立音楽堂でオーディション

左手のピアニストのためのオーディション後、記念撮影する参加者と審査員ら=金沢市の県立音楽堂で

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 難病などで左手だけで演奏しているピアニストの活躍の場を広げようと国内で初めてとなる「いしかわ・金沢 風と緑の楽都音楽祭」の出演者を選ぶ公開オーディションが十日、金沢市の県立音楽堂であった。海外からを含む六人がレベルの高い演奏を繰り広げた。

 課題曲と自由曲の三曲を演奏。最優秀賞に広島市出身の瀬川泰代さん(30)、熊本県あさぎり町在住の月足さおりさん(41)が選ばれ、来春の音楽祭でオーケストラ・アンサンブル金沢との共演が決まった。

 瀬川さんは受賞の発表でうれし涙。大学一年で右手指に局所性ジストニアを患いながら、現在はオーストリア・グラーツ国立芸術大大学院で学ぶ。「ピアノをやめようと思った時に、きょう審査員でもあった吉松隆さんの曲に出会い、続けられた。感謝の思いを込めた」と喜びを語った。音楽祭では吉松さんの「ケフェウス・ノート」を弾く。

 月足さんは仙骨欠損、脊椎形成不全の難病で二〇一三年から右手の制御ができなくなった。二年前からは車いすに座ったまま演奏する。「いっぱいあったつらい思いも、きょうのような幸せのためにあったのかと思う。前回の音楽祭でも演奏したが、温かく迎えてくれた金沢の皆さんに恩返ししたい」と話す。アルゼンチン出身の作曲家パブロ・エスカンデさんの「アンティポダス」に挑む。

 このほか審査員優秀賞に東京都出身でドイツ・ハンブルク国立音楽演劇大大学院在学中の児嶋顕一郎さん(27)が選ばれ、音楽祭でソロでの出演が決まった。

 審査委員長で左手のピアニストとして世界的に活躍する舘野泉(たてのいずみ)さんは「それぞれに個性的だった。左手だけで演奏する曲がもっと広まり、音楽そのものとして受け入れられるようになってほしい」と講評した。審査は作曲家の一柳慧(いちやなぎとし)さん、吉松さんも務めた。 (松岡等)

 ◇ほかの受賞は次の通り(敬称略)

 ▽優秀賞 ステファン・ヴァルズィッキ(ロンドン)▽奨励賞 杵鞭遊(埼玉県)黒崎菜保子(野々市市) 

 

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