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アイティメディアの藤村厚夫氏は、実際に被災地を訪れた経験から「まだITが議論の中心になっていないという時期を脱し切れていない」と感想を述べ、被災地でのIT利用が進んでいないという認識を示す。
丸新システムズの熊倉義幸氏は、2004年の新潟県中越地震、2007年の新潟県中越沖地震という2回の大規模地震を経験している。この地震では、津波被害ではなく地震による建物の被害が主だったが、「1〜2年の復興は難しい。社員に(対して)は、手伝いには行くが営業はしないように厳命していた」そうだ。この地震当時は、震災によるビジネスの発展は「あり得ないと感じていた」という。地震の影響で廃業した企業も多く、さらに被害の大きい東日本大震災による影響は「想像できない」と強調する。
熊倉氏は、2008年のリーマンショック当時、当初は影響がないと見えたが、2〜3カ月後には特に製造業でラインがストップし、案件が「消滅した」と経験を振り返る。そのため、大震災の影響も逐一確認しているというが、「BCPやDRの話は出てくるが、ビジネスになるかどうか分からない」という認識だ。
ノークリサーチの伊嶋謙二氏は、中小企業ではデータをバックアップするような会社がまだ多くはなく、震災でデータ消失をしたような場合は需要が伸びる可能性はあるとしつつ、被害のなかった企業ではやはりそうした需要が伸びず、震災によるプラスの影響はないとみている。
アシストの新本幸司氏は、宮城県仙台市の現状について、震災前は「攻めのITソリューション」を提案してきたが、震災後は特に沿岸地区で「ITを考えるどころではない」状況になっており、とにかくスタンドアローンのPCで仕事をするという状態だという。これをサーバにつなげようとしても、従来の場所に設置できるか分からないといった状況だそうだ。さらに、仙台市中心部は比較的被害が少なかったものの、震災後しばらくは「計画停電で頭がいっぱい」という状況だったという。ただ、「中長期的には攻めのシステムが必ず検討に上がるのでは」と予想する。
サイバーテックの橋元賢次氏は、震災時に情報共有ツールとして利用が広がったTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアについて、有用だという実感が広がっていると話す。震災直後のIT投資は落ち込むと考えていた橋元氏のもとには、スマートフォン向けのアプリやウェブに関する問い合わせが増えているそうだ。橋本氏は、震災で多く利用されていたことから連想されたのではないか、とみている。
ネットコマースの斉藤昌義氏は、今回の震災で「ワークスタイルが変わらざるを得ない」という話がよく出ると強調。テレワークやデスクトップ仮想化、シンクライアント、コラボレーションといったキーワードが「真剣に議論されている」という。デスクトップ仮想化にコスト面で躊躇していた企業でも、BCP対応だけでなく節電対策を含めて本格的に検討を始めているようだ。
アシストの新本氏によれば、同社ではすでに週4日出社、週1日在宅という勤務形態に加え、出産後の女性に戦力として活躍してもらうために週休3日という制度もある。また、男性の育休も積極的に推進してきたという。新本氏は、震災によって「こうした動きが加速するのではないか」と見ている。在宅勤務向けにはグループウェアとメールを活用し、東京のコールセンターを地方に移転することで、節電にも配慮しているという。また、橋元氏は経営者の立場から、在宅勤務の裁量労働だと、制度上の手続きもあってハードルが高いと指摘する。
(この記事は特集「3.11後のITビジネスと営業の役割」の第2回です。第3回「復興のための無償提供は地元ビジネスの芽を潰すのか」も是非ご覧ください)
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