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【社会】東海第二 再稼働反対表明の那珂市長引退へ 拒否権、原電否定か
首都圏唯一の原発で、茨城県東海村に立地する日本原子力発電(原電)東海第二原発の再稼働の際、水戸市など周辺六市村の同意を必要とする協定の解釈を巡り、原電幹部が「拒否権なんていう言葉はない」と発言したのに対し、六市村の首長が反発し謝罪と撤回を求めている。また、六市村で初めて再稼働反対を表明した那珂(なか)市の海野(うみの)徹市長(69)が引退を明らかにした。 東海第二は七日、原子力規制委員会から最長二十年の運転延長が認められ、再稼働に必要な国の主要手続きを終えた。その後、報道陣の取材に応じた原電の和智(わち)信隆副社長は「拒否権なんていう言葉は協定の中にはどこにもない」と語った。 確かに、三月に六市村と原電で結ばれた協定には「拒否権」の記述はない。ただ、「六市村が納得するまでとことん協議を継続」と明記され、一市村でも反対すれば再稼働できない仕組み。定義は定まっていないが、事実上の「拒否権」と受け取れる。 これを完全に否定すると、六市村が再稼働に反対を主張していても再稼働できることにもなり、協定と矛盾しかねない。 九日夜、東海村内で六市村と原電の懇談が開かれた。終了後の会見で、山田修村長は「長い年月かけてできた協定を一言で片付ける言い方は傲慢(ごうまん)。首長や周囲からも許せないとの声がある」と和智副社長の発言を批判。海野那珂市長も取材に応じ、「無礼な発言」と憤った。原電は、対応を検討する方針だ。 一方、来年二月に任期満了を迎える海野市長は十日、本紙の取材に「家族の同意が得られなかった」として市長選に立候補しない意向を示した。再稼働の是非は、次期市長があらためて判断する見通し。ただ、海野市長は、市の住民アンケートを基に再稼働反対を表明しており、次期市長も無視することはできないとみられる。 (越田普之、山下葉月)
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