2018年11月10日 21:00 - 23:10
土曜プレミアム・世にも奇妙な物語`18秋の特別編【ストーリーテラー:タモリ】
画像だけでダイジェスト
坂口健太郎が脱出不可で絶叫!!▽川栄李奈がイヴに最恐プレゼント?▽佐野史郎×勝地涼が幽霊社員に!?▽国仲涼子の明日は悲劇!▽不良達(秘)更生術▽タモリ 【公式ホームページ】 https://www.fujitv.co.jp/kimyo/ 「幽霊社員」 とある建設会社の社史編集室でひっそりと働く工藤良治(佐野史郎)。そんなある日、工藤は会社のトイレで過労死したはずの若手社員・里山秀平(勝地涼)に遭遇する。なんと里山は幽霊となって工藤の前に現れたのであった。 「あしたのあたし」 斉木香織(国仲涼子)は、刺激のない退屈な生活を送っている主婦。そんなある日、香織のスマホ画面に“あしたのあたし"という文字が…。興味本位でアクセスすると、 いきなり香織本人の姿が画面に現れ、映画の予告編のような動画が流れ始める。 「クリスマスの怪物」 クリスマスイブが近づき、恋人の緒方良輔(本郷奏多)にすてきなホテルディナーを予約してもらった小野寺奈央(川栄李奈)。気がかりはクリスマスイブになると必ず現れる、不気味な装いの“怪物"の存在。 「脱出不可」 ある朝、目を覚ました志倉真司(坂口健太郎)はコンクリートの狭い部屋の中にいた。すると、突然4つ のモニターが起動する。1つには真司自身の姿、その他のモニターには同じように閉じ込められた男女3人の姿。真司は脱出を試みるがー。 「マスマティックな夕暮れ」 ある日、凛子(玉城ティナ)は不良少年グループの文哉(ジェシー)、一成(田中樹)、大知(松村北斗)、宗徳(高地優吾)から「てめえ…勉強できるんだったら、ドウシンエン(同心円)の描き方を教えろ!」と突然絡まれる。理由は仲間を生き返らせるため…。 【「幽霊社員」】 工藤良治…佐野史郎 里山秀平…勝地涼 他 【「あしたのあたし」】 斉木香織…国仲涼子 小野寺修二…忍成修吾 加藤由佳…森田涼花 斉木拓也…渋谷謙人 他 【「クリスマスの怪物」】 小野寺奈央…川栄李奈 緒方良輔…本郷奏多 他 【「脱出不可」】 志倉真司…坂口健太郎 他 【「マスマティックな夕暮れ」】 凛子…玉城ティナ 文哉…ジェシー(SixTONES) 一成…田中樹(SixTONES) 大知…松村北斗(SixTONES) 宗徳…高地優吾(SixTONES) 隆…やべきょうすけ 郁子(隆の母)…山村紅葉 他 【「幽霊社員」】 脚本:赤松新 演出:星護 【「あしたのあたし」】 脚本:武井彩 原案:赤松新 演出:高橋栄樹 【「クリスマスの怪物」】 原作:「薄氷の日」朱川湊人(集英社文庫『水銀虫』収録) 脚本:和田清人 演出:岩田和行 【「脱出不可」】 脚本:山岡潤平 原案:コヤナギシン 演出:都築淳一 【「マスマティックな夕暮れ」】 原作:「マスマティックな夕暮れ」諏訪雅(ヨーロッパ企画) 脚本:上田誠(ヨーロッパ企画) 演出:紙谷楓 【音楽】 配島邦明 【編成企画】 渡辺恒也、狩野雄太 【プロデュース】 植田泰史、中村亮太 【制作】 フジテレビ 【制作著作】 共同テレビ 佐野史郎/勝地涼/国仲涼子/忍成修吾/森田涼花/渋谷謙人/川栄李奈/本郷奏多/坂口健太郎/玉城ティナ/ジェシー/SixTONES/田中樹/松村北斗/高地優吾/やべきょうすけ/山村紅葉/赤松新/星護/武井彩/高橋栄樹/朱川湊人/和田清人/岩田和行/山岡潤平/コヤナギシン/都築淳一/諏訪雅/ヨーロッパ企画/上田誠/植田泰史
小峠うわ！？ うわ！？危ない。 危ない。
真司何だ？ これ。 誰か～！奈央私が何したっていうのよ！
香織えっ？ 私…。どういうこと？
工藤うわ～！ 幽霊？里山最後の仕事を何とか やりきりたいんです！文哉勉強できんのか？
凛子一緒に勉強しません？
♪～
ストーリーテラーこれはオランダの大学で行われた脳に特殊な電波を照射し神秘体験を引き起こす装置の実験です。
神のヘルメットと呼ばれたこの装置は何と ８０％もの被験者に神秘な体験をもたらしました。
不思議ですね。
この 神のヘルメット実は 市販のヘルメットに飾りのコードを張り付けただけの物。
特殊な電波などまったく出ていません。
にもかかわらず信じこんだ多くの人々が神秘体験をしたのです。
一番 不思議なのは 人間の脳です。
脳の信じこむ力は 強力でそれは 時に 奇妙の扉を開く鍵となってしまうのです。
扉の開く音
どうやら次の実験の参加者が来たようです。
こよい奇妙な世界の扉を開く 男女。
彼らが目にするものは現実でしょうか？
それとも 現実だと思い込んだ別の何かでしょうか？
真司どこだ？ ここ。
真司《ヤバッ。 飲み過ぎた》《頭 痛え》
真司《何だ？ これ》《暗証番号？》
真司あの…開けてください。
真司何だよ くそ。
♪～
真司あれ？ 携帯…。
真司《時計も かばんも ない》《どうなってる？》
真司《何で俺の携帯で撮った写真が？》
真司昨日の…。
真司何だよ これ。
配信？
真司《どうなってる》《配信って 何だよ》
真司《この数字は見ているやつの数ってことか？》
「脱出ゲームスタート」「３重にかけられたロックナンバーを 見つけ出し脱出せよ」
脱出ゲーム…。
真司何なんだよ これ。
真司暑い…。
はっ？あの 遊んでる暇なんかないんですけど。こっから出してください。ていうか 今 何時だよ。原稿 取りに行かなくちゃいけないんですけど。
真司もう １個 解けたのかよ。
通知音
真司《だから 視聴者 集めるために踊ってたのか》
ＹｏｕＴｕｂｅｒの配信見てきてもらえませんか？
番号 教えてください。お願いします。
ホントに 大事な原稿なんです！
締め切り 飛ばすわけにはいかなくて…。
ありがとうございます。
何で…。（通知音）
真司そんな…。
♪～
真司《何か これ…》
これ 何か分かりますか？
表面が 何か光ってて。
♪～
♪～
真司熱っ。
何だ？ これ。
真司《これ 数字の一部か？》
通知音
♪～
真司「１０２０」
すげえ。
ありがとうございます。 あと２つ。
力を貸してください。お願いします。
はい。
えっ？
真司《拒否ってもし 視聴者数が減ったら…》
真司《よし。 頼む》《協力してくれ》《早く ここから出してくれ》
えっ？
待って。 今 それ 関係ない。
真司《こんな一瞬でここまで 突き止められんのかよ》
物音
真司熱風？
ふざけんな。
真司出してくれよ！
もういいよ！
おい！
♪～
お～い！
誰か～！あっ！あっ… 痛っ…。
暑い…。
真司５５℃…。
真司《ヤバい》《このままじゃ ホントに…》
通知音
やけど？
おい…。おい… おい。
おい… おい！ おい！開けろよ！ 人が倒れたんだよ！死ぬって！ 誰か！
真司《殺される》《出なきゃ 早く》
真司何で 俺が こんな…。
通知音
真司スプリンクラー？
♪～
真司《何でもいい》《早く ここから…》
♪～
♪～
これ 何だと思いますか？
教えてください。
力を貸してください！お願いします。
暗号…。
え～っと…。
真司けっ…。「ＫＥＮＭＵ」？
どういう意味だよ。それに １って…。
真司１は 元年って意味か。
建武元年 １３３４…。
♪～
通知音
ありがとうございます。
あっ あと１つ…。
真司《俺もいつ おかしくなるか…》
こいつら 何なんだよ。
真司《えっ？》
火事？
孝明えっ マジじゃん！えっ すげえ！えっ 大丈夫ですか？大丈夫ですか？
男性何やってんだ。やめなさい！
孝明ねえこれ 何があったんですか？皆さんこれ リアルな映像ですよ これ。もう めちゃくちゃ貴重なんで１００万再生 お願いしますよ。じゃあ 頑張ってください！
違う…。
俺は 関係ない。
違う… 違う…。
俺は こんなやつらと…。
♪～
真司《えっ？》
《お～ 煙ヤバ》
シャッター音
違う…。
違う… 違う…。
さつき《助けて！》
さつき《助けて！》《助けて！》
♪～
♪～
真司《そんな…》《そういうことだったのか…》
真司《これは ゲームじゃない》
復讐…。
真司復讐…。
真司違う…。違う… 違う！
そんな… こんな大ごとになると思ってなかった！
誰かが通報してると思ったんだ！
あんたの家族が死ぬなんてそんなの思ってなかった！
真司いっ…。
真司《最後の鍵… 番号…》《火事が起きたのは １０月２０日》《伊佐実市》《他には？ 他…》
通知音
真司投稿時間１５時１３分。
♪～
真司えっ？
何でだよ！
最後の… 番号は？
通知音
《助けて！》
真司《俺が押すべきだった数字…》
真司助けて…。
♪～
真司ごめ…。ごめんなさい。
真司ごめんなさい…。
♪～
ミドリ…。（ミドリ）触らないで 人殺し！
真司えっ？
ミドリ伊佐実市のマンションの火事。
いや あれは…。
ミドリみんな言ってる。
真ちゃんが火を付けたって。
みんな？
みんなって…。
ミドリ防犯カメラに真ちゃんが映ってたって。
何だよ これ…。
♪～
違う。ここに映ってるのは 俺じゃない！
信じらんない。
真司ミドリ！
真司ふざけんな…。
でたらめ言いやがって。
こんなことして 何が楽しい？
俺は…俺は 何もやってない！
♪～
星座 亀の甲羅 バイオリズム。
人間は あらゆるものを使って未来を知ろうとしてきました。
未来の自分を知りたいという欲求は人間の本能なのかもしれません。
知らない方が幸せな未来だってあるんですけどね。
ドアの開く音
香織ハァ～。おかえり。
拓也何か 電気代 高くない？
香織そうかな？
エアコンとか小まめに切るようにしようよ。こういうの積み重ねなんだからさ。
香織《時々 何のために自分は頑張っているのだろうと思ってしまう》
香織空揚げ弁当ですね。お待たせしました。
香織《どんなに頑張ったところで昨日と同じ 今日今日と同じ あしたがやって来るだけなのに》
通知音
早く言ってよ。
通知音
えっ？ 私…。
香織「いってらっしゃい」
「あっ…」
「修二」
修二「香織？」
香織《えっ？何？ どういうこと？》
何なの？ これ。
ドアの閉まる音
香織あっ ごめん！ 寝坊した。
朝ご飯…。（拓也）もういい。 時間ないから。
いってらっしゃい。
あ～。 もう…。
香織空揚げ弁当ですね。
あっ…。
女性うっ… うっ…。
大丈夫ですか？（女性）うっ… うっ…。
女性ありがとうございました。香織お大事に。
あとは お任せください。
香織お願いします。看護師ありがとうございました。
修二。
香織？
《修二》《香織？》
香織《えっ？昨日 見たのと おんなじ》
由佳先生 こちらです。
修二ああ。
香織どういうこと？
通知音
香織《えっ？ 「２話」って…》
香織《もしかして 未来の予告？》
修二「１０年ぶりぐらいかな？ 俺ら」
「今でも 好きなんだ」
「俺も 会いたかった」
香織《修二が？》《まさかね…》
バイブレーターの音
はい。（修二）あの小野寺だけど。（香織）修二？
店員お待たせいたしました。失礼いたします。
修二これ。あの患者さんが どうしてもって。
わざわざ ありがとう。（修二）ううん。
私の番号まだ 残しておいてくれたんだ。
修二うん。
１０年ぶりぐらいかな？ 俺ら。
香織若かったよね お互い。
修二フッ。
その飲み方…。
あっ これ？
今でも 好きなんだ。
香織は？
相変わらず聴いてるの？イエモン。
香織うん。 この前ね空港で 吉井さん 見掛けたの。
マジで？ いいな 生の吉井さん。
俺も 会いたかった。
《俺も 会いたかった》
香織《これって予告編で よくあるやつ》《あおるだけ あおって肩透かし》
バイブレーターの音
笑い声
拓也フフフフ…。
フフ フフ…。
♪～
香織「２人で よく来たもんね ここ」
「香織が好きなんだ」
香織キャ～！
あっ どうした？（香織）あっ いや…。いや いや…。（拓也）どっ…。
香織あっ。 あっ あっ あっ…青… 青虫かと思ったらキュウリだった。
拓也何だ。 びっくりさせんなよ。
ごめん。いや 何か 汗かいちゃった。
バイブレーターの音
修二何か 香織に会ったら急に ここに来たくなってさ。
２人で よく来たもんね ここ。
ここの景色 頭が空っぽになっていいんだよな。
香織《きた！ この場面》《まさか この後…》
香織？
香織ううん。
何か 悩みでもあるの？
修二実は 俺 付き合ってる人がいるんだけど…。
あっ そうなんだ。
修二こないだ 病院にいた 看護師あの子。早く結婚したがっててさ。
香織そっか。
修二うん。でも 正直 悩んでるんだ。束縛が きつくてさ。
修二の においを嗅ぐ音修二あれ？焼きそば。
香織あっ修二 焼きそば 好きだったよね。
修二うん。 俺 焼きそばの香りが 好きなんだ。
香織《そっちの「かおり」かい》
修二香織フフ。香織おいしい。 フフ。
あ～。 やっぱり香織といると 落ち着くな。
香織んっ？ フフ。
修二あっ 口に 青のり付いてる。
香織いいよ 自分で取るから。
修二いいから。
香織《やっぱりこんなことだろうと…》
♪～
バイブレーターの音
香織あっ 続きは 続きは？
《こうして 私は どんどん『あしたのあたし』にはまっていった》
やだ。 ちょっと 大胆。
バイブレーターの音
さて 次は…。
「そのワンピース いいね」「すごく似合ってる」
由佳「私から修ちゃんを取らないで！」
香織「ごめんなさい。 私…」
修二「終わりにしよう」「さようなら」
香織えっ？
そんな…。
ドアの閉まる音
拓也おい。
拓也こんなのいつ 買ったんだよ。
拓也幾らすんの？ これ。
拓也おい。
拓也俺が何のために節約してんのか…。
あなたといると 息が詰まるのよ！
何かあると お金 お金って。
欲しい物ぐらい好きに買わせてよ！
♪～
香織ねえ どこ行くの？
拓也しばらく帰んない。現場 泊まる。
ドアの開閉音
修二香織？
どうかした？
香織あっ ううん。
そのワンピース いいね。すごく似合ってる。
香織うん。
修ちゃん 帰ろう。私 外で ずっと待ってたんだよ？
修二俺のこと つけてきたの？由佳修ちゃんが悪いんだよ！私を不安にさせるから。
一緒に帰ってくれないなら死んでやるから！
そういうの やめろって。（由佳）あんたも あんたよ！結婚してるくせに。私から 修ちゃんを取らないで！
あっ 私は 修二のことを放っておけなかっただけ。
あなたのことで悩んでたから。
ごめんなさい。 私…。
香織もう 会わない方がいいね。
香織じゃあ。
香織《ここで 修二の…》
修二《さようなら》
香織《…が くるんだよね？》
別れるなんて できない。
香織《んっ？》
修二。
今度 ２人で旅行に行こう。そこで これからのこと考えよう。
香織《あれ？》
香織《何だか見たのと違ってきた》
♪～
バイブレーターの音
香織「最終話」
物音男性たち「危ない！」
医師「斉木さん 分かりますか？」
看護師「バイタル低下。 危険です」
心電計の警告音
心電計の警告音
《大変。 拓也が…》
呼び出し音
バイブレーターの音
忘れてってるし…。
バイブレーターの音
バイブレーターの音
♪～
はい。
男性斉木さまでしょうか？お届け物があるんですがこれから お伺いしてもよろしいでしょうか？
ごめんなさい。 今 出先で。
物は 何ですか？
お花です。
花？ 何の？
カサブランカですね。結婚記念日の お祝いとのことで斉木 拓也さまにご注文いただいたのですが。
拓也《香織のこと幸せにしたいって思ってる》
《それは 一生 変わらない》
《俺 頑張るから》
♪～
♪～
ごめんなさい。
私 夫のとこ行かなきゃ。
呼び出し音
斉木の家内です。すみません。今日 夫が どこにいるか知りたいんですけど。
受付はい。少々 お待ちください。
男性斉木君の奥さん？たった今 連絡を受けたんですが斉木君 工事現場で事故に遭って病院に…。
そんな…。
あっ 拓也。
心電計の警告音
香織あっ…。
あっ！ 拓也！ 拓也～！
香織の泣き声
拓也あっ どうした？
香織えっ？
えっ？（拓也）大げさだろ。
足 骨折しただけなのに。
えっ？ 骨折…。
心電計の警告音
あれは？（看護師）あっ すいません。これ 故障中なんですよ。
よかった～。
ごめん。
こんな結婚記念日になっちゃって。
ホント情けないよ。
なかなか家 買う 金 たまんないし。
そろそろ 子供って思ってもこんな頼りない俺じゃって思うし。
香織のこと全然 幸せにできてないよな。
焦ることないよ。長い人生なんだから。
これから ２人で少しずつ積み上げていこう。
お金も 幸せも。
香織《このとき 私は思った》《あしたのことは自分の気持ちしだいでどうとでも変えられる》《あしたの あたしは自分でつくり上げていくものなのだ》
足音
物音
修ちゃんは 誰にも渡さない。
香織あっ…。
医師分かりますか？
斉木さん？（看護師）バイタル低下。 危険です。
医師斉木さん！香織《そうか》《予告編のあれは 私だったのか》
「手術は 成功しました」
「香織？ お前 ホントに香織か？」
由佳「キャ～！」
由佳の悲鳴
香織…なわけ ないか。
男性血圧 低下してます。男性輸血 準備。
心電計の警告音
心電計の警告音
奇妙な世界はあなたの隣にあるものです。
彼が勤務する この古い会社もまた。
あ～ どうやらまだ 気付いてないようです。
高宮あの里山さんが 脳卒中か。
綾乃前から 頭 痛いって言ってたみたいですよ。忙しくて 病院 行けなかったって。
高宮まだ若いのになあ。
西野盛岡の件は どうなってる？
高宮あっ それがほとんど里山さんが お一人で やってて詳しいことが分かる人がいなくて…。
西野おい お前 入札は すぐだぞ。本部で 事情を説明してこい。高宮はい。
高宮あっ！ あっ すみません。あっ ありがとうございます。
綾乃あんな人うちの会社にいましたっけ？
工藤さん。存在感ゼロで 定時になればす～って帰っちゃう。いわゆる 幽霊社員。
里山どうも。工藤どうも。
えっ？
里山やっと見つけましたよ。
うわ～！
里山うれしいですよ。僕のことが見えるだけじゃなくて話まで できるなんて。でも 何でだろう？死んでるのに 生きてるような僕と生きてるのに 死んでるような工藤さん。波長が合うんでしょうかね？
いや あり得ない…。
里山現実ですよ 現実。
あの…亡くなったって聞きましたけど。
そうなんですよ。
参っちゃいますよね ホント。
ということはあなた… 幽霊？
まあそういうことになりますよね。
まあ 幽霊になるのは初めてなんで全然 しっくりこないんですけど。
あっ ちょっと待ってくださいよ～。
工藤私 何も恨まれるようなことしてないんで…。
里山えっ？あっ 違います 違います。そうじゃなくて力を お借りしたいんですよ。
工藤あいにく 無力なんで他の人 当たってください。
里山それが 駄目なんですよ。社長からパートの掃除のおばさんまで全員 試してみましたから。
どういうことですか？
あっ ちょっと 見ててくださいね。
弘江あ～…。すっごい ぞわっとした。この前と一緒…。
里山この人ね 霊感あるんですよ。弘江さ～ん！婚活 うまくいってますか～？
ねっ？それでも こんなもんですよ。
会話なんて 無理 無理。
弘江この会社 何か いるわ…。
絶対 何か いる。
怖い。 もう…。こっ 怖っ…。もう 嫌だ…。
僕が見えて話せる人は工藤さんしかいないんです。
なんで どうか…どうか 力を貸してください。
そんなこと言われても…。
僕の最後の仕事を何とか やりきりたいんです！
私には 無理です。
花蓮美和の笑い声男性だっ だっ だっ だ～ん！
ただいま。（男性）それ 肘 肘…。
花蓮美和の笑い声
電子レンジのアラーム音
男性おなかを…おなかが もう ヤバいっす。
花蓮美和の笑い声
美和何よ あんた。 帰ってたの？「ただいま」ぐらい言ってよ。
男性皿も割れた。 痛い。花蓮美和の笑い声
おはようございます。
あっ…。 どうですか？やる気になりましたか？
工藤さ～んせめて 書類を提出するだけでも。
工藤だから お断りします。
里山どうして？ いいじゃないですか。
私はね 定年まで あと４年ひっそり過ごせればそれでいいんです。余計なことは したくないんです。（里山）そんなんじゃ生きてんだか死んでんだか分からないでしょ。
工藤幽霊の君に言われたくないよ。
里山幽霊社員同士仲良くしましょうよ。
もう 諦めて おとなしく成仏したらどうですか？
だから コンペに勝たないとその成仏が できないんですよ。分かりませんか？
里山今回のコンペに私は 文字通り命を懸けて臨んでました。なのにこんなことになってしまって…。こんな心残りがあるのに成仏できますか？できるわけないでしょう！このままだったら きっと 僕はず～っとこの会社に ふわふわし続けて完全な地縛霊になってしまいますよ。そうなったら 僕は もう…。僕は…。工藤書類 出すだけだよ。
ホントですか？ありがとうございます。
イェ～イ。
では 早速今から言うパスワードで僕のフォルダー開いてもらっていいですか？
これを あなたが作ったんですか？
あっ… はい。
前から ずっと 相談されてたと？
「そうです」って言って。
そうです。（西野）ホントですか？
はい。
分かりました。
では 今回のコンぺのチームに参加してもらいます。
えっ？（里山）よし。
われわれとしては 里山のプランや考えを 知ってる人が欲しいんですよ。
はあ。
工藤だましたな。
里山だましてませんよ。まあ 部長の性格を考えるとこうなるかなあとは思いましたけど。
工藤もう これ以上やらない。帰る。
里山いいんですか？このままだったら僕のデータを盗んだって決め付けられますよ。
工藤お疲れさまでした。また あした。
里山ちょっと どこ行くんですか？工藤もう ５時だし 帰ろうかと。
里山帰る？ はっ？いやいや 今から資料作りですよ。
工藤でも…。里山いいから ここに座る。パソコンを開く。 資料を作る。ＯＫ？
里山えっ？あっ！ ちょっ… あっ！
うわ～！そういうの やめろよ。心臓に悪いだろ。
１人で しゃべってる。
ヤバいな。
社員俺 あの人の声 初めて聞いたよ。
社員ああ。
もっと 大きな声出させてあげましょうか？
わっ 分かったよ。
戻ればいいんだろ。 戻れば。
舌打ち
ため息
工藤とっ とっ とっ… 当社の…せっ 設計力を生かし… え～…スッ スーパー…トッ トッ… トラス工法にえ～ たいし… 耐震性…それに 新時代のあっ あっ あわわ あわわ あわわあっ あっ アイテム…あの… あっ あっ あ～ あっ…すいません。 えっと…。
里山何やってんですか？工藤さっきの さっきの…。
里山いえそこじゃなくて ６ページですよ。
工藤え～っと え～っと…。里山だから ６ページですって。
工藤えっ えっ… え～っと…分かってるから。
高宮もっと大きな声で お願いします。
里山だから ちゃんと留めておけって 言ったのに。
工藤うるさいなちょっと黙ってろよ！
高宮はっ？黙ってろって 何ですか！
あっ あの…すいません。 すいません。
いや… ちっ 違うんです。ちっ 違うんです。
こんなんじゃ仕事になりませんよ！
あ～あ。 やる気ない人が来ても邪魔にしかならないな。
すいません。 すいません。
悔しくないんですか？若造に あんなこと言われて。
里山もっと 仕事に責任とか誇りを持ってくださいよ。
工藤そんなの持って どうなるんだよ？
はい？（工藤）責任とか誇りとかそんなの会社が 社員を利用するための便利な言葉だろ。（里山）そうとは限らないでしょ。
工藤私だって昔は 誇りを持ってやってたよ。でも手柄を 上司に横取りされたり他人のミスを押し付けられて飛ばされたり…何一つ 報われなかった。だから 私は会社に見切りをつけたんだ。
あんたみたいに 働き過ぎて体を壊した連中だって何人も見てきたよ。
そんなやつを会社は使い捨てにするし周りの人間だってあっさり忘れちまう。あんたのことだって…。
工藤それに今は 働き方改革守ってるやつの方が 偉いんだよ！
ドアの閉まる音
あら 早かったのね。
うん。 ただいま。
最近 柄にもなく張り切って仕事してたのに。
それは… 別に。
美和まあ長続きしないと思ってたけどね。
♪～
弘江ほら 来たわよ。 来た 来た。面白かったわよ 昨日の会議。
あわあわしてんの。（社員弘江の笑い声）
弘江あれだったら入りたての新人の方が まだ まし。
こっちの仕事 増えるばっかりでホント 勘弁してほしいわよ。
あわあわ… ブッ。あ～！また…。 あっ あっ あっ…。
ちょっと…。 あっ あっ！あっ あっ！
もう…。 あっ！ あっ！
弘江何よ これ…。
何か いる…。 何か いる…。
弘江もう やだ。 もう…。
♪～
工藤えっと…。里山まずえっと このファイルを開いてもらっていいですか？
工藤これで いいかな？里山はい。 そしたらこの左上のやつを これをここに貼り付けてもらって…。
工藤あっ これをこっちで いいんだね？
里山はい。工藤できたな。じゃあ こっちは？里山あっ それはこの真ん中のとこにまた 持ってきてもらえると…。
工藤あっ。 いいね。いいや こりゃ。 ハハハハハ…。いいな。 よし じゃあちょっとこれを こうするのは…。えっ 駄目？ これ 駄目なの？そうか。なるほど。 これで。 ハハハ…。あっ いいね。 いい。 いい いい。ハハハ…。
でっ でっ ですから…あの… 里山君の提案は…木の特性を 最大限に生かしたヒューマンフレンドリーなあの…木造ドーム構想なのです。 はい。
ため息
ドアの開く音
高宮あっ…。
これ さっきの会議でまとめたやつです。
持ってけって言われまして。
工藤あっ… はあ。
高宮あの これ…私物ですが資料作りの参考になると思いますんで。
あの…。
ドアの閉まる音
弘江あっ… 部長 部長ちょっと お話が。西野どうした？
やっぱりこの会社には 悪霊がいます。
えっ？（弘江）シッ！
私に考えがあります。
幽霊に 好き勝手はさせません。
里山今日は もうここまでにしましょうか。
工藤でもこれだけは やっておかないと。
里山命より大事な仕事なんてない… でしょ？
工藤えっ？
里山やりがいがある仕事であっても体を壊すまで やるべきじゃない。
工藤それは そうだけど…。
こうなったら終わりですから。
里山君…。
だから 工藤さんは体を大切にしてくださいよ。
ていうかもう 年なんだから 無理しないで。
失礼な。（里山）あっ それか本物の幽霊社員になりたいっていうんだったら 止めませんけど。
そんなの なりたくないよ～。
里山いいじゃないっすか。工藤えっ？
里山２人で 幽霊社員ズ？ フフ。
工藤の笑い声
工藤うまいね。里山工藤の笑い声
里山あっ うっ…。
あっ…。（工藤）どうした？
中…。（工藤）えっ？
中…。
工藤中？
あっ…。（神主）はらいたまえ～清めたまえ～。（工藤）あっ あの人は？
あっ…弘江さんが呼んだ 神主さん。除霊で有名なんですって。
除霊？（神主）はらいたまえ～清めたまえ～。
逃げよう。（里山）それが…体が動かないんです。
はらいたまえ～清めたまえ～。（工藤）早く… 早く逃げないと！
まがごと 罪 汚れをはらいたまえ～ 清めたまえ～。
里山あっ…。工藤里山君。
工藤さん… ヤバいです…。（神主）はらいたまえ 清めたまえ！
無理やり成仏させられそうです…。
工藤コンペに勝たないと成仏できないんだろ？
ごめんなさい…。
無理そう…。（神主）はらいたまえ 清めたまえ！
残念です…。（工藤）何 言ってんの！
君がいないで どうすんだよ！
僕がいなくても…。
神主はらいたまえ 清めたまえ！
今の工藤さんなら 大丈夫ですよ。
むっ… 無理だよ！ そんなの。
神主はらいたまえ清めたまえ！ はらいたまえ清めたまえ！はらいたまえ 清めたまえ！はらいたまえ 清めたまえ！
最後に…工藤さんと仕事ができて楽しかったです。
最後なんて言うなよ。
自信を持って。
コンペ…お願いします。（工藤）あっ…。
まっ 待ってくれ。
いかないでくれ！
神主はらいたまえ 清めたまえ！
はらいたまえ 清めたまえ！はらいたまえ 清めたまえ！はらいたまえ 清めたまえ！はらいたまえ清めたまえ！はらいたまえ 清めたまえ！はらいたまえ 清めたまえ！はらいたまえ 清めたまえ！はらいたまえ！ 清めたまえ～！
神主悪霊は はらいました。ご安心ください。
弘江あっ…。西野あ～。あっ ありがとうございました。弘江ありがとうございました。
工藤里山君…。
高宮こんな所にいたんですか。
綾乃コンペは あしたですよ。
私には できない。
何も。
綾乃何 言ってるんですか。
今回のコンペは工藤さんがいたからここまで来れたんです。
みんな知ってますよ。
工藤さんがすごい頑張ってきたこと。
工藤さん あなたが そんなんで思いを託した里山さんはどうなるんですか？やりきりましょうよ。
里山さんの最後の仕事。
里山君の最後の仕事…。
分かったよ。
思いっ切り やってやろう！
綾乃高宮はい！
えっ？（美和）大きな仕事 今日でしょ？
花蓮お父さん 頑張って。
あっ…。
♪～
高宮工藤さん！ 工藤さん！
えっ？
一同の拍手
コンペ 通りましたよ！
工藤あっ…。
工藤さんのプレゼンが決定打になったみたいですよ。
里山さんもきっと 喜んでますよね。
♪～
♪～
弘江部長 まだ います。まだ います！西野えっ？
弘江まだ いるんです。私には分かります。もう一度… もう一度神主さん 呼んでください。
西野だって 一度 やったろう。
弘江お願いします。まだ いるんで…。 ちょっ…。西野どこに？
♪～
古い会社には無数の人たちの思いが染み付いている。
もしかして 彼らは何かを訴えたいのかもしれません。
う～わ…。
まだ生きている あなたに。
もう よしてくれよ！
一同工藤さん 工藤さん工藤さん 工藤さん…。
文哉おい こら！一同おい てめえ！
凛子あっ…。あ～ すいません すいません。
文哉てめえ 勉強できんのか？凛子えっ？
一成勉強できんのかって聞いてんだよ おら！
一同おら！
そっ そっ…そんなに できないです。
大知謙遜してんじゃねえぞ こら！
宗徳謙遜してんのか こら！一同おい。
凛子できます！ 勉強できます！
文哉だったらよ！凛子はい。
同心円って 知ってんのかよ？
えっ？ えっ？ 同心円ですか？
一成同心円って どういう意味だこら！
数学の言葉で…。
凛子《こうして 私は突如 現れた 不良たちを相手に同心円の描き方を説明することになった》
宗徳ついてこいっつってんだろうがよ！
凛子キャ～！
同心円っていうのは同じ中心で 半径が違う２つの円のことです。
あ～？
ですから あの 二重丸のことです。
こう。（大知）二重丸？
一成だったら そう言え！ こら！凛子すいません。
凛子《なぜ こんなことになったのかというと…》
隆おっしゃ！お前ら 攻めてくぞ！
凛子《その人たちのリーダー 隆君》
清正お前ら どこ通ってんだ こら！
隆帰り道なんだよ。
隆おら～！一同おりゃ～！
凛子《隆君は その人たちからとても慕われていて》
あ～！
凛子《みんなで 留年を繰り返しては私たちの知らない世界で遊び続けていた》
この夜が終わらなきゃいいな…。
一同そうっすね。
凛子《だけど そんな時間も永遠には続かなかったようで》
文哉何で…。
凛子《隆君が事故で亡くなったらしい》
郁子隆 お友達 来てくれたよ…。
隆君～！（大知）隆君！
郁子あっ！
あんたたち 隆を～… うっ…。
宗徳んっ？
『黒魔術』？
これ あれじゃね？
死者が蘇るやつじゃね？
一成てめえ ふざけたこと言ってんじゃねえぞ こら！
大知あっ？ こら！
大知「死者蘇生の方法」
文哉何が書いてあんだ？
大知「２つの同心円の内円に内接する 五芒星をその頂点が北を指すように…」
同心円？（宗徳）内接？
五芒星？（一成）頂点？
頂点は分かんだろ？（一成）何だと てめえ！ こら！
大知あ～？ こら！一成あっ？ 来いや！
文哉やめろ～！おい！ 取りあえず 円 描け。そんで 五芒星 描け。
宗徳どうやって描くんすか？一成てめえ 隆君生き返らす気 あんのか？ こら！
おい！誰か 分かるやつ いねえのかよ。この 数学っぽい言葉。
ベルの音
大知おいあいつ 優等生じゃねえかよ。
文哉おい 捕まえろ！宗徳へい！
大知行け！凛子《そういったわけで私は この人たちに魔方陣の描き方を教えることになった》
ですから あの同心円の内円に内接する五芒星っていうのはこういうことです。
一同お～！
確かに 内接？ してんな。
ゴウボウセイって星のことだったんすね。
で これを作図するにはまず 内接する五角形を描けってことか。
そういうことです。（一成）おい 待て。
どういうことだよ。（大知）チッ。 分かんだろ。
てめえ調子 乗ってんじゃねえぞ おら！
大知何だと こら！一成あっ？ 来いよ てめえ こら。
大知あっ？文哉おい やめろ！
隆君が悲しむべ。
宗徳ちょっと待ってください。他にも 何か ややこしいこと書いてありますよ。
「魔方陣は動物たちの生き血で描け」
「鶏と豚が計１６本の足になるように合計６匹分の血を集め」
つるかめ算って 何なんだよ！
「その血を１リットルの水で薄め６０％の水溶液にし」
おい 何なんだよ！
「半径７５ｃｍの円の周りにちょうど４５ｃｍごとに適切な数のろうそくを立てよ」
ちょっと待ってください。
凛子《その魔術書には四則計算から高等数学までありとあらゆる数学の知識を必要とする死者復活の手順が 書いてあった》
あの… これ 相当 難しいです。
私でも無理かも。
大知あっ？一成お前 優等生だろうがよ！
いや でも 文系なんで。（文哉）チッ。
なんで 一緒に勉強しません？
私も 手伝うんで。（大知）勉強だ？
隆君 生き返らせたいんですよね？
だったら 自分たちで理解しないといけないみたいだし。
文哉おい。俺たちに 数学なんてできんのかよ。凛子頑張りましょう。
凛子《それからというもの私たちは 毎日放課後に集まっては勉強会をした》
つるかめ算って 結局連立方程式ってことじゃねえかよ。
一成チッ。凛子《大知君を筆頭にみんなめきめき 学力を伸ばしていき》
宗徳アルコール９％ってことは５００ミリリットルですから え～…。
大知アルコールが４５ミリ入ってるってことか。
５本 飲めば ２２５ミリ。
やっぱり 酒は 適量にしねえとな。
一同うんうん。凛子《数学が身に付くにつれいろんな分別もついてきたようで》
大知いっつもこの道 通って 帰るけど三角関数 使って 計算すっとこっちの方が近道なんだよ。
一同お～！
しかも これだと東高の前 通んなくなんな。
ケンカしなくてもよくなるってことか。
凛子《みんな だんだん前までのような無茶はしなくなっていった》
文哉あのさ 付き合ってくれよ。
こんな俺だけど２人の共通因数 見つけてこうぜ。
凛子うん。
文哉しゃ～！
文哉このさ 漸近線ってどういう意味？
凛子あ～。ん～っと 例えばこういうグラフがあるとしてこの線と この線はこのまんまず～っと交わらないの。
文哉何で？ 交わりそうじゃん。
凛子ん～限りなく近づいていくけど決して 交わらない 線のことを漸近線っていうの。
へ～。 何か 漸近線って悲しいな。
凛子《やがて季節は 夏から秋へと変わり》
一成なるほど。 積分って関数曲線の面積になんのか。
大知そういうことなんだよ。
一成い～や～これ よくできてんな。
大学？（佐伯）今からでも遅くない。やってみろ。
凛子行こうよ 大学。文哉あっ ああ。
そうだな。（凛子）うん。
一緒にキャンパス歩くの楽しくない？
二十歳 過ぎてても溶け込めんのかなあ。
凛子《だんだん大学にも 憧れ始めた》
一同お邪魔します。
いっ いらっしゃい。
凛子《とはいえ 隆君のことを忘れたわけではなく》
宗徳もうすぐ会えますからね。
文哉隆君 待ってろよ。
あっ…あんたたち 何するつもり？
凛子《いよいよ黒魔術を実行に移す時を 迎えた》
あっ… あっ 思い詰めないで。隆の分まで生きて！
クリスマス。
それは 子供たちが 一年で最も楽しみにしている日です。
しかし 西洋の ある地域ではクリスマスに 恐ろしい怪物がやって来るといわれています。
悲鳴
さて 次の物語の主人公にはどんなクリスマスが待っているのでしょうか。
♪～
優子えっ？オーベルジュで お泊まり？
奈央うん。良輔が予約してくれて。
奈央何？
優子よかったね 奈央。玉のこし 確定じゃん。
奈央ないない。あり得ないよ 結婚なんて。
まだ 付き合って半年だし。
優子いいな～ＩＴ企業の社長夫人。もう 一生 安泰だね。
女性めっちゃ奇麗！女性ヤバい ヤバい ヤバい…。
女性えっ この後 どうする？いっちゃう？
こんな大事な日に。
良輔奈央 お待たせ。
良輔。
良輔大丈夫？
えっ？（良輔）何か 険しい顔してるけど。
あっ… あっ 緊張してるの。
オーベルジュで ディナーなんて初めてだし。
今夜はきっと 忘れられない夜になるよ。
うん。 行こう。（良輔）うん。
あっ また 髪 跳ねてるよ。（良輔）えっ ホント？ちゃんと 直してきたんだけどな。（奈央）フフ…。
じゃあ メリークリスマス。
奈央メリークリスマス。
おいしいね。（奈央）うん。 おいしい。
店員お待たせいたしました。本日のアミューズでございます。
美晴《三塚って ムカつくよね》
♪（秀美の歌声）
今の人 知り合い？
えっ？（良輔）いや 何か気にしてるみたいだったから。
奈央あっ別に 知り合いじゃないよ。ただ…。良輔ただ？
名字が同じだったの。
誰と？
幼なじみ。（良輔）へ～。どんな子だったの？ その子。
教えてよ。 奈央のこともっと よく知りたいんだ。
歌が上手な子だった。
生徒たち《♪「勇気を翼にこめて」》《♪「希望の風にのり」》
奈央合唱部でいつも 楽しそうに歌ってた。
生徒たち《♪「夢をたくして」》
宮田《はい》《三塚 今の良かったぞ》
美晴《三塚って ムカつくよね》
《えっ？》（美晴）《ブスのくせに先生の前で 女 出しちゃって》《あれで ソロ選ばれるとかあり得ないでしょ》《あっ 奈央あいつと小学校から一緒だよね？》
《今でも 仲いいの？》
《ううん。 全然》
奈央でも空気を読むのが 下手な子で…。
《ざまあ》
奈央あんまり学校に なじめてなかった。
生徒《先生に相談すればいいのにね》
生徒《親に心配かけたくないんでしょ？》《あの子の家 貧乏だし》
♪～
秀美《キャッ！》《キャッ… うっ！》
美晴《ごめん》
《ぶつかっちゃった》
《えっ？ ねえ 美晴ちょっと やり過ぎじゃない？》
《何 言ってんの。これからが 本番でしょ？》
ありがとう 良輔。
こんなに楽しいクリスマス久しぶり。
うれしいよ お世辞でも。
お世辞じゃないよ。
ずっと苦手だったの １２月２４日。
どうして？
ずっと苦手だったの １２月２４日。
どうして？
高２のクリスマスイブにねさっき話した 幼なじみの子がささいなことでケンカしちゃって。
ケンカって 奈央と？
《ねえ 早くしてよ》
奈央ううん。友達の美晴っていう子。
美晴《これ 鼻に塗ってあげて》
《えっ？》《できるよね？》
《奈央は 私の親友だもんね》
秀美《♪「真っ赤なお鼻のトナカイさんは」》《♪「いつも みんなの笑い者」》《♪「でもその年の クリスマスの日」》
男性《大丈夫？ 風邪ひくよ》
《私は バカで～す！》
《えっ？》《私は バカで～す！》《私は バカで～す！》
美晴《ハハ… ウケる。あいつ マジで言ってるし》
《ハハハ… ハハハハ…》
奈央《フフフ…》美晴《ハハハハ…》
秀美《♪「暗い夜道は」》
《♪「ピカピ…」》
奈央そのケンカが原因で幼なじみの子が ケガしちゃって。良輔ケガ？
そんなに大したケガじゃないんだけどね。
宮田《２５日の夜三塚が 団地の５階から転落した》生徒たち《えっ？》
宮田《幸い 命は助かったが深刻な後遺症が 残るらしい》《残念だけど三塚は 学校を辞めて施設に入るそうだ》
生徒たち《施設…》
奈央その子 美晴と絶交したまま学校 辞めちゃって。
秀美の母《ご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした》
宮田《あっ いえ。 合唱部の仲間も秀美さんと コンクールに出るのを楽しみにしていたんですが》
《♪「真っ赤なお鼻の」》《♪「トナカイさんは」》
秀美の母《秀美 静かにして》《秀美》
秀美《私は バカで～す》《私は バカで～す》秀美の母《秀美 お願い》《お願い 静かにして》秀美《私は バカで～…》
それから 不思議なことが起きるようになったの。
良輔不思議なこと？
私じゃなくて 美晴がね。
毎年 クリスマスイブになるとその子と会うんだって。
へ～。
じゃあ 仲直りしたんだ。
ううん。 約束とかじゃなくてホントに 偶然 会うの。
秀美《♪「暗い夜道は」》《♪「ピカピカの」》
《やめてよ こんなとこで》
秀美《♪「鼻が」》《♪「役に立つのさ」》
《♪「いつも泣いてた」》
高校 出て 地元 離れてもクリスマスイブになると街で ばったり会っちゃうんだって。
秀美《♪「真っ赤なお鼻のトナカイさんは」》《♪「いつも みんなの」》
ねえ 何でそんなことが起きるんだと思う？
神様が チャンスをあげてるんじゃないかな？
えっ？（良輔）いや クリスマスだしさ神様が その子に 謝るチャンスを与えてるのかなって。
フッ…。
フフフフ…。あっ ごめん。
でも 良輔が 神様とか信じてると思わなかったから。
おかしいかな？ やっぱり。（奈央）全然。
ロマンチックで いいと思う。フフフ…。
バイブレーターの音
良輔ごめん。 先 部屋 行ってて。
奈央分かった。
良輔もしもし？ 緒方です。
エレベーターの到着音
物音
奈央えっ？ 停電？
♪～
♪～
良輔…。
良輔？
奈央何で？
♪～
早くしてよ。
奈央早く～。
奈央やめて…。
♪～
奈央いいかげんにしてよ もう！
何なの？私が何したっていうのよ！
♪～
ちょっと幾らすると思ってんのよこの服！ていうか 何で生きてんの？
ねえ。
さっさと死ねよ。
良輔何してるの？
あっ… うっ…。
奈央違うの。 こいつが…。この人が 急に襲ってきてそれで…。
僕に 言い訳する前にその人に 言うべきことがあるんじゃない？
ないよ 言うことなんて。
全然 知らない人だし。
良輔…。
怖かったんだから。
愚かだな。
せっかくのチャンスを無駄にするなんて。
えっ？
僕はね 君が 自分の罪を認めて悔い改めるのを 待ってたんだよ。
えっ… 罪？
何の話？（良輔）覚えてるだろ？
７年前のクリスマスのこと。
《奈央…》
《何？》
《私… どうしたらいいのかな？》
《ねえ 奈央…》
《私には 関係ないから》
鍵を掛ける音良輔その２時間後三塚 秀美は自宅のベランダから 飛び降りた。
良輔君なんだよ 奈央。君が彼女の人生を ぶち壊したんだ。
えっ… えっ？ ちょっと待って。
えっ…何で そんなこと知ってるの？
誰かに調べさせたの？（良輔）調べなくても知ってるよ。
君のことなら 何でも。
確かに私は 秀美のこと助けなかったよ。
助けたら 自分がいじめられるかもしれないし。
でも そんなのよくあることでしょ？悪いのは私じゃない。 美晴だから。
柴田 美晴は もう 罰を受けた。
えっ？
良輔その人の顔よく見てごらん。
♪～
♪～
奈央美晴？
《早くしてよ》
どうして？
私は バカで～す。
やめてよ。
怪物♪「真っ赤なお鼻の」
良輔人間は 愚かな生き物だ。自分の犯した罪を 忘れて平気で 幸せになろうとする。
何 言ってんの？ 良輔。
せっかく チャンスをあげたのに君は 最後まで謝らなかった。
何なの？ あんた いったい 誰？
忘れちゃったの？
子供のころいつも クリスマスプレゼントをあげてたじゃないか。
奈央えっ？怪物♪「サンタのおじ…」
良輔僕は毎年 この時季になると世界中の人にプレゼントを配ってるんだ。
良輔ただし プレゼントがいい物ばかりとは 限らない。
悪い子には罰を与えないといけない。
ふざけないで！（良輔）ふざけてなんかないよ。
今日は クリスマスイブ。
全ての人が神の み心に 触れる日さ。
うわ～！
奈央あっ。
お願い 助けて。
秀美の声私には 関係ないから。
♪～
君は 悪い子だ。
男性奇麗だね。女性うん。
怪物♪「真っ赤なお鼻のトナカイさんは」
奈央私は バカで～す！
いかがでしたか？今夜の『世にも奇妙な物語』
テレビの前の皆さんあなたは今 確かに存在していますか？
人から取り出した脳を培養液で満たされた水槽の中に入れコンピューターで脳波を操作すれば人と変わりない意識が 生まれる。
この世界は 水槽の中で見ている幻覚にすぎない。
そういうことを言った著名な哲学者がいます。
今 あなたが見ている世界も脳が つくり出した現実には存在しない世界なのかもしれません。
♪～
凛子《その魔術書には数学の知識を必要とする死者復活の手順が 書いてあった》
文哉よしと…。
宗徳え～ ラストの問題は「Ｘの３分の２乗プラス Ｙの３分の２乗イコール １の 全長を求めその秒数 祈りを捧げよ」
フッ。アステロイドなんて余裕だぜ。
答えは ６。
つまり ６秒。
文哉いくぞ。
凛子用意 はい。１ ２ ３ ４ ５ ６。
大知あっ…。宗徳一成えっ？
大知あっ…。
一同あっ。
隆お～… 何だよ。生き返っちゃってんじゃねえかよ。
文哉隆君？隆んっ？お～ 久しぶりじゃねえか！あ～永い眠りから覚めた気分だぜ。
一成隆君…。大知生き返った。
宗徳黒魔術 すげえ。
隆おい…。 おっ そうだ。たばこ １本くれよ。
ごめん 隆君。（隆）おっ？
俺たち たばこ やめちゃったんだ。
何だよ。ひよってんじゃねえぞ この野郎。
文哉隆君俺たち 頑張ったんだよ。
また会えて うれしいよ。
隆俺もだよ～！うわ～！うっし！
まずは 軍資金だ。 ああ。こいつを 何倍かに増やして…。（大知）あ～ でも ギャンブルは期待値でいうと 基本的にマイナスに収束していくっていうか…。
期待値っていうのは確率変数の実現値を確率の重みで平均した値なんすけど。
文哉せめて 還元率が１００％に近いギャンブルを 選べば損は 少ないっすかね。
分かったよ。
今日のところは 家に帰って親御さんに無事を伝えた方がいいっすよ。
俺らも 今 追い込みですし。
受験 終わったらぱあっと遊びましょう。
そうだな。
大知そういや 隆君何で あんな無茶したんすか？
宗徳あの攻め方合理的じゃないっすよ。
夜の向こう側を見たかったんだよ。
何？ どういうこと？
夜の向こう側っちゃ 朝ですよね？
何か 虚数空間的なことっすか？
文哉隆君…。
一同の笑い声
凛子《それは きっと二度と交わらない夕暮れの漸近線だった》
清正おい！お前 勉強 得意なんだよな？仲間が 鉄パイプで殴られてよ意識が戻らねえんだよ！
清正これ！頼むよ～！
