観光客向けのフィギュアは、市場価格より数倍高い

インバウンドの流行も、街を変化させた。駅前の家電量販店では中国語の話せるスタッフが店内を巡回し、駅前のレンタルショーケースには外国人観光客が買うことを期待しているのか、市場価格より数倍高いアニメのフィギュアが並ぶ。

外国人に迎合したものが増えるたびに、マニアックな話のできる店員も、ショーケースに並ぶ非売品のフィギュアも少しずつ減っていく。

この街を、意思を持った1つの生命体として捉えたとき、街が進化しようとする方向性に我々オタクが組み込まれていなかったようだ。私にとってはつまらない街でも、ほかの誰かにとって楽しい街であれば、それは秋葉原が誰かに求められていることにほかならない。秋葉原を訪れるたびに寂しい気持ちに襲われようと、私はこの街の行方を最後まで見届けたい。