ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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──ナザリック地下大墳墓第六階層──そこにアウラ、アルベド、そしてありんすちゃんがいました。ありんすちゃんはとってもワクワクしています。
「では、始めるわ──来なさい。私の騎獣」
アルベドが発動したスキル、騎獣召喚で姿を現したのは馬よりは少し小さいながら迫力が凄まじい漆黒の魔獣でした。
「おお! 普通のバイコーンとは違う! 角も身体も立派だね」
「そうよ。まさにウォーバイコーンロードとでもいうべき存在。残念ながら空を飛ぶのは無理ね」
「とってもちゅよそうでんちゅね」
アルベドはありんすちゃんに答えるかわりに頭を撫でました。アウラは興奮した様子で訊ねました。
「で、なんて名前なの?」
「……そうね。トップ・オブ・ザ・ワールド……とでも付けようかしら」
「チョプオバールト? でありんちゅか?」
「……」
「まぁまぁ。じゃあ次いってみようよ!?」
アルベドはバイコーンに向き直り鐙に足を掛けひらりとまたがりました。するとバイコーンがよろめきだすのでした。
「アウラ! シャルティア! 私のバイコーンの様子が変なの」
「と、とりあえず降りなよ、アルベド!」
アルベドが飛び降りると疲れきったようにバイコーンがへたり込んでしまいました。
「きっと重ちゅぎたんでちゅよね」
ありんすちゃんが得意げに解説します。そうです。ありんすちゃんは5歳児位の女の子にしか見えませんがとてもとても、とーても賢いんです。
大事な事なのでもう一度言います。
ありんすちゃんはこう見えて、とてもとてもとーても賢いんです。
「アウラ、あなた魔獣と会話なんか出来ないの?」
「無理無理。てか、ずっと前にあたしの能力は全て話したじゃん」
さてさてどうしたものでしょう?
「そうだ。デミウルゴスなら何かわかるかもしれないんじゃん?」
アウラが名案を思い付きました。
「残念だけどデミウルゴスはアインズ様のご命令で現在外で働いていないわ。余程の事でなければ相談は無理ね」
三人は途方にくれるのでした。
しばらくしてからありんすちゃんが口を開きました。
「きっとアルベドが重たちゅぎたんでちゅよね」
アルベドはせっかくのありんすちゃんの指摘をあたかも聞こえなかったかのように無反応でいます。
なんという事でしょう!
賢いありんすちゃんの意見を無視するとは! ありんすちゃんはひとりプンプンしながら頬を膨らますのでした。
「……ひまだねー」
「……そうね」
膨れているありんすちゃんには全く触れず、二人は空を見上げていました。
※ ※ ※
部屋に帰ってからありんすちゃんは以前にアインズ様から貰ったペロロンチーノの百科事典──エンサイクロ・ペディア──を広げてみました。
「バ……バイ……バイコ…………あったでありんちゅ」
ありんすちゃんはバイコーンの項目を声に出して読み始めました。
「えっと……の……。……を……る……に……して、……は……を……ると……われている。???」
残念ながらありんすちゃんにはひらがなだけしか読めませんでした。
仕方ありませんよね。だって、ありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なのですから。
※ありんすちゃんが挿し絵を描いてくれました