ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
<< 前の話 次の話 >>
ルプスレギナは目を覚ましました。
頭が包帯でぐるぐる巻きになっていて、酷くズキズキします。
何だかいろいろな事があったようななかったような……大事な事を思い出しそうな忘れてしまったような……ハッキリしない、気持ちがモヤモヤしていました。
ふと見ると側にありんすちゃんを抱いたユリ・アルファがいます。
「ルプス、具合はどう?」
「ルプチュゲリナ大丈夫でありんちゅか?」
ありんすちゃんも心配そうです。
「あははは。いいっすよ、ルプーで。シャルティア様、いや……チャルメラちゃんもありがとーっす。なんかアインズ様に怒られた夢みちゃいましたっすよ」
能天気なルプスレギナの言葉にユリは激しく激怒しました。
あの、至高の方々のまとめ役、ナザリック地下大墳墓の絶対的支配者たるアインズ様の激怒を受けたのに関わらず、このルプスレギナの脳天気さ。
このままにしておいてはルプスレギナだけでなくプレアデス全員にアインズ様のお叱りを受けるかもしれないのです。
ユリのお説教は昼まで続き、いつしかありんすちゃんは眠ってしまうのでした。
※ ※ ※
ルプスレギナとありんすちゃんがアインズの執務室に行ったあの日に一体何があったのでしょう?
「まじ、アインズ様、ぱねぇっす。あそこまで物事を考えて行動しているとか、化け物なんて言葉じゃ言い表せないっす」
「ゴイン!」
ナーベラルの容赦ない一撃はルプスレギナの意識と記憶を奪ってしまったのでした。
殴る時に力が入りすぎてしまったようで、ルプスレギナの頭からは大量の血が吹き出してしまいました。
大変です。
5歳児位の女の子とはいえ、ありんすちゃんはついこの間血の狂乱でデミウルゴス牧場を壊滅させてしまっています。
この場を急いでなんとかしないとまたもや惨劇が、しかもナザリック地下大墳墓の第九階層で起きてしまいます。
ナーベラルはルプスレギナの頭を両手でガシッと掴むと急いで引きずっていきました。
幸いにもありんすちゃんは緊張と疲れが押し寄せて眠っていましたから、そんなに急がなくても大丈夫だったみたいですが。
眠ってしまったありんすちゃんを迎えにユリ・アルファが呼ばれ、その後エ・ランテルに戻るナーベラルに頼まれてルプスレギナの面倒を見ていた、というわけです。
※ ※ ※
ありんすちゃんが目を覚ますといつの間にかルプスレギナのベッドに寝かされていてユリの姿はありませんでした。
「んじゃ、行きますっか」
何処へ行くのだろうとありんすちゃんが不思議に思っていると、ルプスレギナが明るく言いました。
「カルネ村に行くすっすよ。汚名返上ってやつっすよ」
かくてありんすちゃんはルプスレギナと一緒に再びカルネ村に行く事になりました。
※ ※ ※
ちなみにその後の本編にて王国でのゲヘナでナーベラルにルプスレギナが再会した時──
「久しぶりっす。ナーちゃんがアインズ様にドナドナされてから会ったのはこれが初めてっすよね」
どうやらルプスレギナの記憶から一部の記憶──アインズの執務室でナーベラルと会っていた事──が消去されていたようです。
極めて原始的な記憶消去法ではありますが……
※ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました