こんにちは、パオロ・マッツァリーノです。私が読売新聞を購読しているのは、おもしろいネタをちょいちょい提供してくれるからです。
5月25日付け千葉版では、千葉県が実施した世論調査の結果を報じてました。それによると、千葉県民の4割は地域の犯罪が多くなった、非常に多くなったと思ってるのだそうです。
では、実態はどうなのでしょうか。
千葉県警サイトの犯罪統計によれば、千葉県内すべての市町村において、この10年で犯罪がほぼ半減しています。犯罪が増えたというのは気のせいです。
読売さん、今後もジャーナリズムを名乗るつもりなら、世論調査だけでなく、実態まできちんと調べて報じてくださいな。あ、でもなあ、まともになっちゃったらネタにならないもんなあ。やっぱり今後も読売はいまのままでいてください。
何回かにわたって犯罪統計ネタを取りあげました。久しぶりに見るとおもしろい発見も多かったのですが、今回でひとまず終わりにします。
警察庁『平成23年の犯罪』によると、侵入盗
(空き巣・忍び込みなどの泥棒)の逃走手段でもっとも多かったのはクルマです
(若干のバイクを含む)。泥棒の49%は通勤にクルマを利用しています。
タクシー・ハイヤーを利用という贅沢泥棒も、675人いました。
電車やバスなど公共の交通機関を使ったのはたった4%。でしょうね。泥棒は深夜寝静まったころに仕事をしますから。東京都は地下鉄・バスの24時間運転を検討してるそうですが、そうすると便利になって都内の泥棒被害が増える可能性もあります。
意外だったのは、「徒歩・該当なし」が36%いたこと。該当なしってのが具体的になんなのか不明です。逃げる前に捕まったってことか?
気になるのは徒歩のほう。少なく見積もって2割程度の泥棒は、徒歩圏内で仕事をしてることになります。だとすると、自分の住んでる同じ町内か、となり町あたりで仕事をしてる泥棒がけっこういるってことですよ。
でもよく考えると、泥棒にとっては合理的なのかもしれません。ご近所だったら、さりげなく下見を繰り返すことができるし、警察のパトロールが何時ごろ来るかなどの情報も筒抜けです。泥棒は見知らぬ町からやってくるよそ者だという固定観念を逆手に取っているのかも。
誤った固定観念にとらわれて、無意味な防犯対策をしないためにも、犯罪統計に目を通しておいて損はないですよ。