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ウイグル絶望収容所で「死刑宣告」された兄を想う

2018年11月8日(木)12時20分
長岡義博(本誌編集長)

日本で苦楽を共にし、仲もよかった兄に死刑判決が下されたと知った後、ヌーリ氏は20ポンド(約9キロ)もやせた。「何か物を食べようと口にすると、どうしても兄を思い出してしまう」からだ。執行猶予付き死刑判決は、執行猶予期間中に改悛すれば無期懲役や有期懲役に減刑される中国独自の司法制度だ。「死刑が実際に執行されるケースこそ少ないが、有期懲役の期間が引き延ばされることも多い」と、水谷氏は指摘する。

ここまで共産党が執拗にウイグル人を弾圧するのはなぜか。「一帯一路(戦略)を進めるうえで、ウイグル人が邪魔になっている」と、ヌーリ氏は言う。「兄のような知識人を一掃すれば、再び育てるまでに30年から40年はかかる。逆に言えば、ウイグルは30年間静かになる」

「日本の友人たち」への呼び掛け

国際世論の批判を受けても、中国共産党の弾圧は止まるどころか加速する様子を見せている。「ある地域で、弾圧対象者は数年前は1人だった。それが10人に増え、100人に増え、黙っているうちに今の状況になってしまった」と、ヌーリ氏は言う。

新疆大学文学部出身のヌーリ氏は、亡命ウイグル人たちの苦難を描く詩や小説を少しずつ書きためている。故郷に帰れない彼の今の夢は、グルジャに隣接するカザフスタンの街に行き、兄との少年時代の思い出がつまった故郷のにおいをかぐことだ。日本に来たのも、兄の面影を追っての渡航だった。

「日本の友人たちには、兄のことを忘れないで欲しい」。そう言って、ヌーリ氏は涙をこぼした。「兄のために私ができることはなんでしょうか」

【参考記事】さまようウイグル人の悲劇

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