MORI Hiroshi's Floating Factory
Model Railroad Workshop
<機関車製作部>
夢のオールスター

/☆Go Back☆/
いつの間にか月刊になってしまったA&Bレポートの11月号です。素晴らしい天気が続いていましたが、少し秋らしくなってきました。まだまだ庭園鉄道が楽しめる良い季節です。
しかし、今回はもの凄いですよ。なんと写真が79枚もあります。過去最高ではないでしょうか。少々多すぎる情報量になりました。普段なら確実にレポートが2回に分かれていたでしょう。千葉のまきば線や大阪の桜谷軽便鉄道を見学しましたし、井上氏、佐藤氏、星野氏のお宅を訪問し、いろいろ見せていただいてきました。話題豊富です。
さらに、なんと、驚異の第3回スペシャル・オープンディが11/18に開催されました。こちらも、過去最大のビッグなイベントになりました。はっきり言って、我が欠伸軽便鉄道弁天ヶ丘線のキャパシティをもはやオーバしているような気がしますが……。いやあ、凄かった、の一言。
上の写真をご覧下さい。2台の機関車、いずれもあの東洋活性白土の協三2号機。左は井上昭雄氏、右は佐藤隆一氏です。この2台が、弁天ヶ丘線で揃って走りました。過去にも例がない素晴らしい共演です。
お読みになる方も、くれぐれも目眩にご注意下さい。
下のバナーの欠伸軽便鉄道の広報部から、「掲示板」と「広報部ブログ」へリンクしています。「掲示板」の方は、地道な日々の活動を写真でつづる欠伸軽便鉄道社長のブログ。できるだけ毎日、数枚の写真をアップしています。一般の投稿もできますので、ご活用下さい。また、「広報部ブログ」は文字どおり広報部長のブログです。こっそり更新されています、こちらもお見逃しなく。それから、少しずつ鉄分が増えている、一般向けの日記「MORI LOG ACADEMY」もあります。

<45mmエンドレスで遊ぶ>

後ろに濃い話題が満載なので、最初はライトなところから……。西庭園の円形エンドレスは、32mmと45mmのデュアルゲージです。天気が良く、ほんの10分でも時間があれば、機関車を庭に持ち出して走らせることができます。これが庭園鉄道の基本です。ただし問題は、絶対に10分では終わらないことです。
赤い機関車は、バセットロークのレトロなゼンマイのおもちゃ。客車を引いて、まさに「時計仕掛け」の形容がぴったりの重厚な走りを見せます。エンドレスを1周半か2周します。
もう1つは、ドイツからつい最近やってきた新しい機関車。縦型ボイラで1気筒オシレーチングエンジンを回すシンプルなライブスチーム。ホワイトメタル製の運転手がついてますし、水面計、圧力計、逆転機、そして排気のオイル溜めなどもあります。ぶるぶる震えながら元気良く走ります。

これはライブスチームではありません。フラットカー(貨車)に、ボイラと大きな滑車のようなものが載っています。森林伐採の搬送のときに動力として使われた蒸気エンジン。木製の大きなソリに乗っています。Gスケールのレジン・キットを組み立てたものです。
これを引くのが、ミシカル2号のシェイ。これはアキュウクラフトのライブスチームです。絶好調で、よく走ります。ランボードに大きな(スケール違い)ドンキィポンプを載せていますが、これは撮影のために置いただけのもの。それにしても、アキュクラフトやラウンドハウスの小型ライブは頑丈でよくできていますね。滅多に故障がありません。
シェイが走っているところの動画をまた撮影してしまいました。こちらです。
<ドイツからのレポート>

ドイツから初めてメールをいただきました。Gerdさんは、ナロー中心で、いろいろなサイズの鉄道模型を精力的に展開されていますが、この頃は庭園鉄道でGゲージや、5インチへ進出されたそうです。写真のコッペルは、スペインのメーカが作ったものを中古で入手したものとか(メーカはまだあるが、ウェブサイトはないとのこと)。当社で製作中のニイザキMEのコッペルに似ています。引っ張っている車両はGerdさん自作のもので、人形を乗せたりして、これもどこかの鉄道と似ています。
リンクのページ(トップページから行けます)に彼のサイトを加えました。アメリカン・ロギングだけは英語のサイトを作っているようですが、あとはドイツ語です。現在は、Oスケールのシェイをライブスチームで自作しようと挑戦中だそうです。
<まきば線を見学>

千葉のまきば線へお邪魔してきました。成田ゆめ牧場というところの中にあって、羅須地人鉄道協会の人たちが自分たちの力で建設した実物大の鉄道です。線路の幅は2フィート(60cm)ですので、実物といっても、非常に小柄な可愛らしい車両ばかりです。秋晴れの暖かい日曜日でした。
緑のボディに赤い羽根をつけた変わった車両は、ラッセル車(雪掻きのための車両)です。後ろから機関車に押されて、積雪の中へ突っ込んでいくものです。その右の赤い車両はナベトロ。沢山並んでいました。

小型のディーゼル機関車(DL)です。模型では見たことも作ったこともありますが、実物は初めて。こんなに小さいのか、というのが印象です。軽自動車よりも小さいですね。キャブの中では、もちろん人は立てません。エンジンがオーバヒートしないように、暑いときはカバーを外して走っていたようです。
若いときに乗工舎のキットを沢山作りましたので、ついつい台車には「JOE WORKS」とあるのか、と思ってしまうくらいですが、グレィの方は「KATO WORKS」とありました。このほか、本線を周回して、お客さんを運んでいたDLも1台いました。

こちらは蒸気機関車(SL)。小さいですね。3トンくらいでしょうか。日本製ですが、海外で働いていたそうです。引退後に引き取ってレストアしたわけですが、ボイラとか、大変だったでしょうし、維持だけでも簡単ではないと思います。足回りのロッド関係を撮りましたが、模型と同じですね(笑)。リュブリケータ(給油装置。写真左端の四角い箱)のリンケージもライブスチームっぽいです。動輪も小さいですし。
このSLを運転させてもらうことになりました。最初に簡単な講習を受けます。そのあとは、水面計(左にインジェクタのレバーがありました)だけお任せして、レギュレータ(アクセルみたいなもの)とブレーキ(コンプレッサを貨車に積んで貨物もブレーキがかかります)にだけ集中して、本線を1周しました。

煙室扉を開いて中を見せてもらいました。わかりにくいですが、ボイラの煙管がいっぱい。このあたりは、当然ながら、模型よりも本数が多いですね。ヘッドライトは立派すぎるものが付いていました。
本線には、このように雰囲気のある木造橋(Timber trestle)があります。弁天ヶ丘線のものと同じくらいの規模でしょうか。牧歌的な風景ではありませんか。素晴らしかったです。
羅須地人鉄道協会の方々に感謝いたします。詳しくは、こちらで……。
<桜谷軽便鉄道を見学>

大阪の桜谷軽便鉄道を訪問しました。こちらもファンには有名なところです。実物と模型の中間のようなサイズで、線路の幅は15インチ(40cmくらい)です。実用では最小の鉄道ですし、また人が中に乗って運転できる大きな模型でもあります。持元節夫氏がほとんどお一人で建設された鉄道です。こちらにあるように、もともとは持元氏のご自宅の周囲を回っていたのですが、数年まえに近所に南山線という別の線を建設されました。訪問したのは、この南山線の方です。
15インチは、そんなに珍しいものではありません。産業線や遊園地のミニ鉄道などにもあります。しかし、個人が楽しみで全部自作してしまったという例は、なかなかないでしょうし、また桜谷軽便の凄いところは、電化されていることです。架線集電(36V)で電車が走っているのです。これは、世界でもおそらく唯一ではないでしょうか。この点でも、世界有数の15インチミニチュア鉄道といえます。

車両は、電車、電気機関車、ガソリンカー、蒸気機関車など、多彩。実物にプロトタイプがあっても、それをデフォルメし、まさにユニークで統一されたデザインになっているところが秀逸です。運転席に乗り込み、実際に走ってみると、楽しいの一言。誰でも一度は夢に見たシチュエーションではないでしょうか。

先日の大阪のJAMコンベンションに来ていた緑のデキ3です。この電気機関車がここの最新型です。線路の幅と車体幅がそんなに違わないのですが、5インチでも珍しいくらいの急カーブを回るあたり、やっぱりこれはナローですね。車体が重く、勾配が大変そうでしたが、逆に、乗客が乗っていてもいなくても、そんなに変わらなかったりします。

蒸気機関車もこのとおりのフォルム。サドルタンクです。水を入れてから火をつけ、10分くらいであっという間にスチームアップ、走れる状態になりました。この機関車は、2枚めの写真のように、OSの5インチのライブスチームをそっくりそのまま載せていて、ギアダウンして動輪を回しているのです。だから、ギアード・ロコですね。ドラフト音は速度のわりに忙しく、シェイみたいです。一所懸命に聞こえます。
運転させてもらいましたが、なかなか力強い走りでした。
このほか、線路関係(特にポイント)や信号機の制御システム(センサで自動作動)など、とても参考になりましたし、とにかく楽しかったです。
<佐藤隆一氏の工房を訪問>

大阪の佐藤隆一氏のお宅へお邪魔しました(上に書いた桜谷軽便鉄道は、佐藤氏のご案内で連れていっていただいたのです)。
「関西にこの人有り」というモデラの佐藤氏は、時計屋さんです。その名も「正確堂」。それは、そのまま佐藤氏が作られる機関車にも当てはまります。例外なく、きっちりとした工作で、精巧に作られています。「技術力」という言葉がこれほど相応しい方も少ないでしょう。時計屋さんのお店なのですが、半分近くは機関車に占領されていました。オールドタイマがお好きなようです。ロケット号やライオン号、それから、現在製作中の2-2-0ワシントンも高いところに。

これは5インチの東洋活性白土・協三2号機。JAMコンベンションでも展示、走行されていました。大人を何十人も乗せて牽引できるパワーを持っています。その下には、赤い塗装のドイツ型のディーゼル機関車が。どこかで見たことがありますね。これは弁天ヶ丘線の5号機の改造まえの姿。ニイザキMEが製作したガソリンエンジンの機関車です。たしか15台ほどが作られたと聞きましたので、そのうちの2台というわけです。ご縁がありますね。
お店の奥に、注目のワークショップがあります。写真は旋盤。この横にフライス盤がありました。大きな機械ではありません。どちらも実演をして見せていただきましたが、なるほど、と感心するような工夫をされています。技術というのは、躰が覚えるものではなくて、頭で考え、そして試してみることで、だんだんと高まっていくものなのでしょう。

こちらが、佐藤氏が現在製作されているもの。シェイのエンジン部です。ちょっと言葉では説明できませんが、わかる方ならば、一見しただけで「ぞっとする」ことでしょう。まさに神業です。
<星野公男氏の工房訪問>

その一週間後に訪問したのは、埼玉の越谷にある星野公男氏の工房。星野さんとネットで知り合ったのが、ここ数年のいろいろな出会いの起源です。ライブスチーマで有名な方ですが、特にイギリス型がお得意分野で、古いイギリスの鉄道模型のコレクションも凄いのです。当社ももともとイギリスの小型蒸気が好きだったこともあって、かなり影響を受けていますね。
訪問したのは、星野氏のマンションの一室で、機関車のためだけの場所。ここにお住まいではないのです。毎日お弁当を持ってここへ出勤されているとか。1枚めの写真は表札。実は、後述の井上氏のお宅にもロケット号の表札があったので、それの影響とのこと。
部屋の中はもう機関車に占領され尽くしています。5インチや3.5インチのかなり大型の機関車もあります。今回写真がありませんが、壁には小さな機関車がいっぱい。もの凄い量です。
奥のアップルグリーンの機関車、綺麗ですね。ずいぶんまえに「TRAIN」誌のグラビアで紹介されていたものです。

しかし、その手前にもまだまだまだあるわけで、奥の機関車を見たくても近づけません。一番手前は、3.5インチのC59。星野氏には珍しく日本型です。どなたかと交換されて、途中から作られているところ。現在ボイラ・カバーを製作中で、まもなく完成でしょう。
緑の小さい機関車は、ティッチ(Tich)です。たぶん、世界で一番沢山存在するライブスチームではないでしょうか。これは、ボイラが小さい方のティッチだとおっしゃっていました。

コレクション棚にOゲージや1番ゲージの機関車がいっぱいですが、テーブルに出てきたのは、Oゲージの素晴らしい作品。天才ビーソンと呼ばれたジェイムズ・スタンリィ・ビーソンの作品です。非常にシンプルで、ディテールは省かれているのですが、気品が漂う機関車です。持っているだけで財産、という一品かと。
蒸気機関車だけではありません。古い電機もありました。このほか、機関車以外の自動車や動物のおもちゃまで、博物館級のものばかり。まだまだこれからも増え続けるのでしょう。箱には仕舞わず、すべて見えるところに置いておく、という整理方法がとても参考になりました。見習って、近々、棚を作ろうと思います。棚を作ると、機関車がまたもっと欲しくなることでしょう。こういうのは、悪循環ではなく、善循環というのです。
<井上昭雄氏の工房を見学>

井上昭雄氏邸も埼玉の浦和にあります。この日は、星野氏のところから井上氏邸へ移動しました。最初の写真は、井上氏が作られた自転車の車輪を利用した運転台です(写真右が井上氏、左が星野氏)。車輪を僅かに傾けて置くと、機関車が坂を上るときに、反動で土台の車輪が回りだし、結果的に機関車は停止し、線路がぐるぐると回ることになります。走っているものをじっと目の前で眺められる優れものです。これは、Oゲージの3線式トラックが取り付けられていました。
そこを走っていたのが、この緑の電車。ゼンマイの壊れた古いおもちゃを綺麗に直して、モータで走るように改造されていました。もともとは緑ではなかったそうです。可愛らしい電車です。床下に乾電池ボックスをぶら下げています。

これも井上氏の新作です。なんと、壊れた血圧計の中にあったコンプレッサを取り出し、この空気圧でシリンダのピストンを動かして走る機関車を作られたのです。Oゲージで、かなり小型。単3電池4本で動きます。ただ動かすだけではなく、縦型ボイラでオープンなロギング風に仕上がっていて、小さなスコップまでのっている芸の細かさ。ギアを赤く塗って、お洒落ですね。
もう1枚は、スチームトラムです。奥は1番で、手前はOゲージです。いずれもオシレーチングエンジンで動くライブスチーム。「T&I」は井上氏のイニシャル。「RR」はRail Road、それから、「74009」とナンバがありますが、1974年製作ということのようです。えっと、32年まえですね。着せ替えのボディも幾つかありました。古いのに、動かすとどれも軽く転がります。

赤いパニアタンクは45mmのライブスチーム。フレーム内にオシレーチングエンジンがあります。これも「模型とラジオ」に製作記事が掲載されたものですね。あとでわかったのですが、井上氏は「模型とラジオ」に実に36種類の機関車の製作記事を書かれているのです(記事は46回分)。凄いですね。それだけの機関車を作るだけでも凄いですが。
黒い方は18インチの産業機関車を10分の1にスケールダウンして作られたものだそうで、ガス焚きのライブスチーム。これは人間を牽引できるそうです。ずっしりと重い機関車でした。

庭に建つ離れに井上氏の工房があります。この中にもぎっしりと井上作品が並んでいました。隙間なく詰まっている感じです。ここで、数々の作品が生み出されたのですね。今まさに作られつつあるものも見せてもらいました。それは、今回は紹介しませんが、もし出来上がったらみんなびっくりするでしょう。それくらい凄いものです。
慣れない人間が手を出すと、どれを動かしても崩れてきそうですが、井上氏が、ここからつぎつぎ宝物を取り出されて、見せて下さるのです。真空管ラジオで音楽が流れています。タイムスリップしそうな夢の空間でした。

それにしても、沢山の部品がどこにあるのか、ちゃんと頭に入っているだけで驚異的です。雑然としているようで、きっとご本人の頭脳の一部のように同化した場所なのでしょう。
オレンジの小さな機関車は5インチの1A配置の凸電機で、人を牽引できるパワーがありながら、宅配便の箱に収まって、どこへでも送れる、というコンセプトで設計されたものだそうです。海外へ行かれるとき、現地へ送って、向こうのクラブ・レイアウトで運転を楽しむ、というように用いられるとか。
佐藤氏、星野氏、井上氏と、いずれも今回初めての訪問です。自分以外のモデラの工房を直接拝見したのも初めてのことです。とても勉強になりましたし、刺激になりました。どうもありがとうございました。
<おもちゃの電車をレストア>

というわけで、井上氏がレストアされた緑の電車に感化されて、帰るやいなやこれを直しました。同じような電車をたまたま持っていたのです。ただし、大きさはこちらの方が大きく、50mmという戦前、日本にあったゲージです。ゼンマイ駆動ですが、3mほどしか走りませんし、ボギィ台車は固定されているので、カーブも走れません。井上氏の電車を見習って、電動化する方向でまず、分解をしました。レトロなプレミア的価値には、興味はなく、おもちゃは、壊れても良いから遊ばなくては、と思います。
1枚めの写真は、実は塗装まえのもので、既にボディに穴をあけて、豆電球のヘッドライトが取り付けてあります。

車輪はブリキを2枚合わせたタイプのもので、精度はかなり低いですが、使えないことはない、という代物。一応8個揃っています。
まず、ギアボックスを製作しました。適当な歯車をジャンク箱から見つけて、それに合わせて真鍮板で製作。モータはタミヤのベーシックなものです。横向きにモータが入らないので、クラウンギアを使って縦に入れました。幸い、台車が深いので、斜めになって収まりました。

ボディはジオンピンクです。弁天ヶ丘線のAB10やAB20と同じ色。ちょっとくすんだ名鉄色にも見えます。台車やパンタも塗り直し、またプレートの周囲に銀を差しました。写真は、蒸気動車の並んで完成時の記念スナップ。
庭のエンドレスで快走しました。電池は床下に単1を2本載せています。豆電球はテールの赤も合わせて3本。ちょうど良いスピードで、(車輪のせいだと思いますが)ゆらゆらと揺れながら走りました。
<スペシャル・オープンディ>

星野団長の企画によるスペシャル・オープンディも今回で第3回になります(過去、2005年11月、2006年4月に開催)。11/18(土)に開催されました。天気のことは、もはや誰も心配しておりません。朝早くから、線路の点検をし、ポイントの整備を始めました。今日は、モデラ12人が来訪。東からは、井上氏、星野氏、関根氏、須藤氏、西からは佐藤氏、木内氏、地元から杉浦氏はいつものメンバ。新しい方は、東から和田氏、山添氏、小池氏。西からは渡邊氏、そして、地元から横田氏。錚々たるメンバとはこのことでしょう。来ていただけるだけでも嬉しいのに、素晴らしい機関車をわざわざご持参いただき、弁天ヶ丘線を走るところが見られるのです。こんな光栄なことはありません。
今回は特に、須藤氏が大型トラックで東京からいらっしゃったため、井上氏の機関車が大量にやってきました。また、関根氏の完成間近のシェイも来ました。いったい何台集まったのか、把握できません。20台以上はいたと思いますが……。

こちらが、関根氏のシェイです。3気筒エンジンのオリジナルで、もともとは3.5インチでした。今回、弁天ヶ丘線を走らせるために、わざわざ5インチの台車を新しく作られたのです。デュアルゲージが簡単にできるのも、シェイならではかも。まだ、完成していないため、今日は、コンプレッサで溜めたエアタンクを積んで運転しました。タンクが空になると、ガレージへタンクを持っていって空気を入れてくる、という労力をかけた運転です。でも、楽しそうですね。
次に見るときには、もう煙を上げて快調に走っていることでしょう。ここまで何年もかけて作られている素晴らしい作品です。

緑の小さな機関車は、ご存じ井上氏のオットー・ドイッチ。その後ろにいるボディがない機関車が、須藤氏の自作機。井上氏がみんなにモータを配布して「これで機関車を作りなさい」キャンペーンをしているみたいで、須藤氏はこれが5インチ初挑戦になったようです。重連をしなくても、この小さい1両で、人間1人を引いて何周も走っていました。スピードコントロールは簡単なレオスタット(可変抵抗器)です。実は当社も、この同じモータを先日井上氏からいただきましたので、作らなくてはいけません。
赤い小さな自転車も井上氏の作品。実物がやってきました。このモータも同じものです。これも何周も走り続けていました。漕ぐわけではないので、乗るのはそんなに難しくはありません。

この怪しげなロボット機関車も井上氏のもの。ラジコンで動きます。音楽も出るし、動くところもいっぱい。オシレーチングエンジンが13個だったか、使われていますが、それは飾りで、電動です。前方を写すカメラも搭載。映像は電波で送られ、小型モニタを見ながら運転ができます。当社の10号機カメラボーイと同じです。
星野氏が乗っているのは、トラム(市電)。バッテリィカーです。これも、今回初めての入線で、トラックで運ばれてきました。

5インチばかりではありません。ワダ・ワークスの和田耕作氏がいらっしゃったのです。作ったばかりだという縦型ボイラの機関車が走るところを見せていただきましたが、魔法のように静かで滑らかな走りでした。やはり、名人は違うな、という感じ。
黒い機関車は星野氏が持参された1番のライブスチーム。アルコール焚きです。かなりまえに製作されたものだそうです。客車を引いて、快走していました。

井上氏も1番のライブを沢山持ってこられました。緑のパニアタンクと、今準備中なのは、そうです! あの2B1です。渡部精一氏が「模型とラジオ」に連載した名機。井上氏のこの機関車は、これまでに通算、250km以上も走っているとのこと。今日も素晴らしい走りっぷりでした。

流し撮りをちょっと失敗しましたが、小池氏のフルスクラッチの低床トラムです。おもちゃのラジコンを組み込んで、スピード・コントロールができます。人形が乗っていて楽しい電車でした。
機関車がテーブルにのりきらないほど沢山。手前の作りかけのものは、須藤氏の8620ですね。井上氏のアトランティック(黒い縦型ボイラ)もあります。

凄いものばかりで、目移りして大変です。ガレージ駅に並んだ2両は、ご存じ東洋活性白土の協三2号機。実物は2フィートゲージ、つまり24インチですので、これを4.8分の1にスケールダウンして5インチにしたもの。右が佐藤氏、左が井上氏が製作されたものです。この2台が出会うのは今日が初めて。滅多に見られるものではありません。本日のメインイベント。

巨匠2人がスチームアップのための準備にかかりました。実は、井上機の前には、義右衛門といういう古典機関車(日本最古のライブスチームの復元)がいて、これもたった今、走ったばかり。日本で一番古い機関車と一番新しい機関車(協三のこと)という対比を井上氏は意図しているわけです。
知らず知らず、みんなが集まってきます。拝んでいるみたいな感じ。「これはちょっと凄い」という言葉が漏れます。

井上氏が運転されているところです。格好良いですね。
佐藤機も一走りしたあと、星野氏に運転手を交代しているところ。5インチでも、ナローになると大きくて存在感がありますね。

さて、一方では、日本のナローといえば木曽森林、そして、木曽森林といえば、このボールドウィンのB1タンクです。しかし、フォルムが特殊で、なかなかライブスチームにはなりにくい機関車でもあります。岡崎の横田氏が、独自の設計で作られた機関車。JAMコンベンションで実物を初めて拝見したとき、「半径3mまで曲がりますよ」とは伺いましたが、まさかその3カ月後に、弁天ヶ丘線を実際に走ることになろうとは……。とても迫力のある走行でしたし、森の中を抜けていくところは、まさに森林の覇者、大変雰囲気が良かったです。

木橋を渡るところにカメラマンが集まっています。ゆっくりと重厚な走りっぷりです。いやあ、ナローって本当に良いですね、と呟きたくなります。
東洋活性白土の協三機は、ナロー趣味のきっかけともいえる思い入れのある機関車で、とてもバランスが良く、近代的なデザインが魅力です。HOスケールやOスケールで合計4台ほど持っています。一方の木曽森林のボールドウィンも大好きな機関車。ユニークなフォルムがなんともいえません。これもHOやOで6、7台あると思います。同じ機関車を複数台持っている、というものは非常に稀で、いかにこの2台が特別な存在か、といいたいわけです。それが、まさか同じ日に、5インチライブでやってくるとは……、夢のようですね。

ガレージ駅には、2台の協三、そしてボールドウィン。しかも、その手前のレンガサークルで、木内氏のシェイがスチームアップしていました(しかも線路にのっていません!)。あたりは蒸気と煙でもうもうとなりました。そうです、忘れていました。ナローで一番好きなのは、このシェイなのです。好きなもの尽くしです。

シェイはもうお馴染み、今回が3回めです。煙で見えませんが、運転手は製作者の木内氏、後ろに岡山の渡邊氏が同乗。レンガアーチを渡ります。

協三を運転しているのは、広報部長のN倉氏です。両巨匠の間を通過中。皆さん、笑顔。楽しそうですね。
本当に刺激的な夢のような一日でした。
<またいつか>

引き込み線で、協三とご対面のAB20。5インチとしては大きいAB20が、小さく見えるくらい、協三は大きいのです。
良かったですね~、出会えて。これからも頑張りましょう。きっとまた素晴らしい出会いがあるでしょう。それまでは、前進あるのみです!
ではまた来月!
/☆Go Back☆/