ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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「シャルティア、ほら……これが新しい村だよ。えへへへ」
ありんすちゃんはこの前のショットバーで副料理長の話を思い出していました。話の通りにいつの間にか畑や果樹園や集落が出来ていました。
「ほら、面白いでしょ? さてさて、整列! アインズ・ウール・ゴウン! バンザーイ!」
──芸をするマンドラゴラ──
──様々な異業種の新しい住人達──
──そしてアウラが建てた山小屋風の建物の数々──
アウラはやたらと人懐っこい表情でありんすちゃんを連れ歩きました。
いつもならありんすちゃんにイジワルしてばかりのアウラが、です。
昨晩、ありんすちゃんが寝ていた間に何かあったのでしょうか?ありんすちゃんには全く心当たりがないんですけれども。
そうそう、アウラにいつもと違う所がもう一つありました。マーレがアウラを呼ぶ時に明らかにドキッとするんですよね。
「おね(ドキッ)ーちゃん?」
「お姉ちゃん?」
「な……なんだ。マーレか……な、なにかな? ……アハハハハハ……」
明らかにおかしいのですがありんすちゃんは気にならないみたいですね。
仕方ありませんよね。だってありんすちゃんはまだ5歳児位の女の子なんですから。
「そうだ! シャルティア、私からアインズ様に許してもらうようにお願いしてあげるよ。ね?」
アウラの申し出はありんすちゃんにとってまさに願ったりでしたので早速お願いする事にしました。
アウラはありんすちゃんに顔を近づけると小さな声で続けました。
「だから……良いよね? シャルティア、昨日の事は誰にも言わないでね? ね?」
ありんすちゃんはなんの事かわかりませんがアウラの勢いに負けてコクリと頷きました。途端にアウラは笑顔になると踊るように歩き出しました。
ええっと。なんでしたか。こういうの。確か『名誉返上』とか『汚名挽回』っていうんでしたっけ? 良かったですね。ありんすちゃん。これでようやくミルクを煽る毎日にサヨナラ出来ることでしょう。副料理長もきっと、ありんすちゃんの謹慎がとけた事を喜んでくれるでしょう。違った理由で……
※ ※ ※
いよいよ明日から自由に外出出来るようになったありんすちゃんはウキウキしながらお風呂で足をのばしました。二人のヴァンパイア・ブライドが代わる代わるありんすちゃんの髪をとかします。
湯船の中でありんすちゃんは両手を眺めながらぼんやりと思うのでした。
(そろそろちゅめを切らなくちゃでありんちゅ)
ヴァンパイア・ブライドにタオルでくるまれながらもありんすちゃんはあれこれともの思いにふけっていました。
ベッドに横たわって天井をぼんやりみながらも。ありんすちゃんはその夜はぐっすりと、本当にぐっすり眠ったのでした。
幸せそうな笑顔を浮かべながら。