ふしぎのくにのありんすちゃん ~ALINCE IN UNDERGROUND LARGE GRAVE OF NAZARICK~ 作:善太夫
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スレイン法国との遭遇戦において、カイレ様と相討ちとなったシャルティアは、法国の至宝『ケイ・セイ・コウク』によって洗脳されてしまいました。
アインズはシャルティアの洗脳を解く為に『星に願いを』を発動させようとしますが、シャルティアの洗脳はワールドアイテムによるものとわかり、指輪では解除出来ない事を知ります。
やむなくシャルティアを一度滅ぼして改めて復活する事により、洗脳の呪縛から解放する事にしたアインズは激戦の末、シャルティアを倒します。
かくて玉座の間に一同が会し、いよいよシャルティア・ブラッドフォールンを復活させる事になったのでした。
※ ※ ※
ナザリック第十階層〈玉座の間〉──。居並んだ各階層守護者、各領域守護者、そしてアインズ、守護者統括アルベドが固唾を飲んで見守る中、いよいよシャルティアの復活が行われます。
使用されたユグドラシル金貨は総額5億G。その黄金の山が溶けるように形を変えていきます。
アインズの目の前で溶けた金貨が人の形となり……やがて銀髪の少女の姿、いや、一糸もまとわない幼女の姿になりました。
幼女はゆっくり瞳をひらくと一言、「ありんちゅ?」と言葉を発しました。
「……シャルティアよ。私がわかるかね?」
アインズの問いかけに対してシャルティアはまたしても「ありんちゅ?」と答えました。
(……いやいや、そんな事言ってないよ……どうしちゃったのよ、これ……しかも幼女だよな?)
「アインズ様、畏れながら……シャルティアに何らかの異変がおきたかと」
頭を深くたれたアルベドが緊張した面もちで発言しました。
「……うむ。どうやらそのようだな。……何かが復活に足りなかったのかもしれぬ。……ユグドラシルとは違う、という事は考えたくはないが……」
アインズには全く訳がわからず、本当ならば大声で叫びたかったのでした。しかしながらアンデッド特性により、強い感情は強制的に沈静化されてしまうのでした。
アインズはそんな我が身が好ましくもあり、疎ましくも感じるのでした。
「……これは、アインジュちゃま。チャルチェア・ブラドホルン御身の前にでありんちゅ」
少女、いや、幼女の姿のシャルティアが平伏します。
(…………このシャルティア、案外かわいいかも……とりあえず舌っ足らずながらちゃんと喋れるようだな。……もしかしたら以前より賢いかもしれないぞ?──いかん、いかん)
「──あーゴホン。……シャルティアよ、一体何が起きたのか覚えている事を申してみよ」
シャルティアが舌っ足らずの言葉で語る話によれば、どうやら王国のセバスと合流する為にナザリックを出発するあたりまでの記憶しかないらしいとの事でした。したがって、何者がシャルティアを洗脳したのかはわかりませんでした。
幼女になったものの、しっかり受け答え出来ていた為、これまで通りに階層守護者を任せる事として、玉座の間から退出させました。
「……まるで5歳児、といった感じだな……」
既に退出したシャルティアの姿を思い出しながらアインズは溜め息をつきました。
「……金貨は間違いなく5億Gあった……何が足りなかったのだろう? ……それともこの世界はユグドラシルとは違うのだろうか?」
アインズはふと、守護者達NPCが皆、シャルティアのように5歳児位の幼児になった様を想像してしまいました。
──ナザリック幼稚園──それはアインズにとっては耐え難い苦痛を産みそうな世界にしか思えませんでした。
※ ※ ※
何はともあれ、残念美少女『ありんすちゃん』はこうして誕生しました。いろいろ失敗もしてしまいますが、それは5歳児位の女の子のする事、少々大目に見て下さい。
※ありんすちゃんが挿絵を描いてくれました