ちなみにロリコンである 作:善太夫
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「純潔の乙女 魔剣キリネイラムせし闇と戦うマジカル☆ローズブラック・ラキュースここに降臨!」
「闇を裁く影の忍び マジカル☆ローズブルー・ティアここに参上!」
「ショタを助けて悪を討つ マジカル☆ローズレッド・ティナここに見参!」
「世界の童貞食べ尽くす 闇を打ち消す正義の鉄槌マジカル☆ローズイエローここに降臨!」
“蒼の薔薇”改め魔法少女マジカル☆ローズの四人がポーズを決める。
「ポーズの最後に爆発を起こすともっと良いかもしれないわね。どうかしらクライム?」
椅子に座ったラナーが振り返る。
「……そうですね。ラナー様のおっしゃる通りにした方がインパクトがあると思います」
「……そうね。では何か爆発魔法の護符でも手配しましょう。……あら? ラキュース、どうかしたのかしら?」
黒と紫を基調にしたヒラヒラのミニスカートの裾を押さえながらラキュースがモジモジしながら答えた。
「……しかしこの衣装で本当に戦うのか? それに前回より短くなっているような……」
「ラキュース。貴女たちはあのマジカル☆ロリータに勝たなくてはならないと思うの。なにしろ向こうにはイビルアイがついているのよ。彼女の強さは侮れないですわ。ですから少しでも相手に隙を作らせなくてはならないの」
ガガーランが手を叩く。
「なるほど! それでこの衣装な訳だな。こうヒラヒラしたらつい気になる訳だよな。ましてや下に何も履いていないのだから尚更だ」
ガガーランはガハハと笑いながらスカートをバサバサさせる。
「ずいぶんスースーしやがるぜ」
ガガーランとは異なりラキュースは相変わらず気がのらないようだった。
「……それに私がブラックなのも気になるわ。ねえ、どうしてブラックなの? 私は“蒼の薔薇”のリーダーなのだからブルーが相応しいのではなくて?」
「……ブルーは私。ほら、髪どめも青。私がブルーでなくなるとティナと区別がつかなくなる」
マジカル☆ローズブルーのティアが異をとなえる。
「で、ではせめて紫を……それとも白ならどうかしら? 純潔の乙女なのだし……」
ラキュースの主張にラナーが答えた。
「……そうね。ラキュースの意見は少し検討してみましょう。まあ……白はむずかしいと思うのだけれど……ところで貴女がたに紹介したい人がいるのよ。マジカル☆ローズに新しく加入するメンバーですわ」
扉を開けて入ってきた人物に皆は驚く。
「「──あ、あなたは!」」
◆
「皆さんに新しいメンバーを紹介いたします。ロリータソルトことアルシェ・イーブ・リィル・フルトさんです」
セバスにうながされて一人の小柄な少女が入ってきた。オドオドとした表情の肩口に切り揃えられた金髪の少女だ。やはりイビルアイたちと同じく黄緑色を基調としたフリルの衣装を着ている。
「彼女はとある場所で処分──ゴホンゴホン。……命を失うところをたまたま私がみかけてマジカル☆ロリータの新メンバーとして貰いうける事にしました」
「……ロリータソルトのアルシェです。……よろしくお願いします」
アルシェはおじぎをした。
「アルシェは三位階までの魔法を使う事が出来ます。これでようやくマジカル☆ロリータも三人になりました。欲をいえばあと二人ほど欲しいところですが……三人なのでリーダーを決めておくとしますか。……とりあえずピンク、お願いします」
「……うむ。……あ、ハイ。せばすさま」
ロリータピンクはうつむきながら答える。何故か恥ずかしそうに指でのの字をかいている。
と──コンコンと教べんで叩く音がして皆が振り向くとシズがホワイトボードの前にたっていた。
「……三人になったからフォーメーションが変わる。今から新しいフォーメーションを説明するからしっかり覚える」
「「ハイッ!」」
「……声が小さい」
「「ハイッッ‼」」
「……シズせんせいと呼ぶ」
「「ハイッッ‼ シズせんせい!」」
◆
夕暮れのリ・エスティーゼの街はずれで剣をふるっていたガゼフは上半身裸になり汗をタオルでぬぐう。
ふと、視線を感じて茂みに目をこらす。
(……気のせいか……)
ひとしきり汗をぬぐうと服を着て剣を構える。
無言で剣を振りつづけるガゼフをじっと見つめる乙女がいた。
ガゼフを熱い視線で見つめ続ける乙女──マジカル☆ローズホワイトことブレイナ──旧名ブレイン・アングラウスは小さくため息をついた。
「…………ガゼフ。……いや……ガゼフさま」