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リニア新駅はどこに?奈良の熾烈な誘致合戦 京都は「ふさわしいルートを」

更新:2018/11/07 19:25

 2027年の開業が予定されているリニア中央新幹線。関西までやってくるのは最短でも2037年とまだまだ先なのですが、駅の誘致合戦がヒートアップしています。3つどもえの戦いが続く奈良に加え、脱落したと思いきやいまだ諦めていないあの街も。夢のリニアはいつどこにやってくるのでしょうか?

 最高時速500キロ。東京〜大阪間を1時間で結ぶリニア中央新幹線。山梨県にある実験線では7日に試乗会が開かれ、抽選に当たった参加者たちが、いよいよ現実となってきた夢のリニアを体験していました。

 「いま動き始めました。いま浮いた状態で走行していますが、車輪が出ているときに比べて滑らかに走っている印象を受けます。(車内アナウンス♪まもなく時速500キロです)いま、時速500キロを超えました!」(山田ひかる記者リポート)

 参加者は…

 「500キロも出てると思えないほど、乗り心地も良くて楽しかったです」(岐阜県から)
 「だいぶ早くなるので使いたいと思います」(愛知県から)

 東京〜名古屋間の開業予定は2027年。一方、その先の大阪までのルートは詳細には決まっていません。そこで問題なのが途中に作られる駅の場所。計画では奈良市「付近」とあいまいな表現になっているため、奈良市だけでなく隣接する大和郡山市、生駒市も名乗りを上げ3つどもえの争いが続いてきたのです。

 いま有利なのはどの街なのか。まずは奈良市を訪ねてみると…駅前でゴミ拾いに精を出す、リニアのようなかぶり物をした謎のキャラクターが。リニア誘致を目指す奈良市の非公認キャラ「リニー君」。もともと、いち素人として活動していましたが、話題性を見込まれ市のPRキャラに抜擢されました。

 「リニアについて勉強していたら、本当にリニアが奈良市に来てほしいと思うようになって(Q.顔を見せてもらうことは?)顔はちょっと…恥ずかしがり屋なのでごめんなさい」(奈良市の非公認キャラリニー君)

 東大寺や奈良公園など多数の観光地を抱える奈良市としては、リニアの駅さえできれば、京都に負けない「世界の奈良」になれると意気込んでいるのです。

 「実際に京都市も東海道新幹線が来るまで、奈良市の観光客の差は今ほど開いてなかった。(リニアの駅ができれば)行きたいと思ったら行ける、手の届く場所になってくる」(奈良市 仲川げん市長)

 その奈良市に真っ向勝負を挑むのが大和郡山市。街のPRはこれまで名産の金魚頼みでしたが、いま訴えるのは『リニアを奈良の“ど真ん中”へ』

 「紀伊半島全体で考えると、大和郡山市は京都だったり和歌山だったり、三重だったり、大阪だったり、どこへでも行ける。南部も含めた奈良県全体の活性化を提案している」(大和郡山市企画政策課 笠原淳課長補佐)

 比較的県の真ん中に近い大和郡山への誘致は県内のほぼすべての自治体が支持しているといいます。大和郡山市民は…

 「東京に孫たちがいるんですけど、一瞬で行けるなと思って楽しみにしてるんです」
  Q.生駒市と奈良市には負けたくない?
 「負けたくはないかな」

 一方、生駒市がアピールするのは「ビジネス」。駅の候補地とする学研都市には企業や大学の研究施設が集まっていて、ビジネス需要が最も見込める場所だと強調します。

 「関西全体への波及効果、さらには我が国全体への経済波及効果は計り知れない。(Q.勝算は?)かなりあると思います」(生駒市都市計画課 有山将人課長)

 「世界の奈良」に「ど真ん中」、そして「ビジネス」。奈良の三国志に終わる気配はありませんが、かつて奈良と激しく争いその後誘致レースからは一歩後退したとみられていた京都市も、いまだ諦めてはいませんでした。

 「(リニアが)日本の新たな国土軸になるのは間違いない。そこから京都が外れると大変な影響があるのでは。奈良市さんがどうこう言ってるわけではないんですが、ふさわしいルートを決定してくださいと」(京都市リニア・北陸新幹線誘致推進室 中上博幸課長)

 名古屋〜大阪間の工事が始まるのは2027年以降ですが、工事前の環境調査はあと4〜5年で始まるとの観測もあり、誘致合戦はさらにヒートアップしそうです。


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