【ゴルフ】畑岡奈紗、日本人史上最年少で米ツアー2勝2018年11月5日 紙面から
◇TOTOジャパンクラシック<最終日>▽4日、滋賀県大津市・瀬田GC北C(6659ヤード、パー72)▽曇り、15度、北北東1メートル▽賞金総額150万ドル、優勝22万5000ドル▽78選手▽観衆4626人 4打差3位からスタートした畑岡奈紗(19)=森ビル=が7バーディー、2ボギーで67の猛チャージ。通算14アンダーで2位に2打差をつけて逆転優勝を飾った。6月のアーカンソー選手権での米ツアー初V以来の今季2勝目、日米通算5勝目。日本選手が米ツアーで年間に2勝したのは2016年の野村敏京以来。12アンダーの2位に上田桃子(32)=かんぽ生命、永峰咲希(23)=ニトリ、カルロタ・シガンダ(スペイン)が入った。前日2位の小祝さくら(20)=ニトリ=は9アンダーの8位に終わった。 米ツアーで年に一度だけの自国開催。優勝会見で畑岡は「米国に行って少し成長した自分を日本のギャラリーに見てもらいたかった。本当に強い気持ちで勝ちたいと思っていた」とこの大会への熱い思いを明かした。 4打差からの最終日、しかもトップに立つのは世界ランク5位のM・リー(オーストラリア)。だが、全く諦めてはいなかった。2、4、6番でバーディーを奪うと、リーの乱調もあって単独首位に躍り出る。11番、12番と続いたボギーにも心は折れない。13番も左ラフからの第2打をミスし、グリーン左手前からピンまで28ヤードのアプローチが残ったが優勝への試練と受け止め、克服。渡米以来練習を続けてきたランニングアプローチで見せた。1メートルに寄せて価値あるパーセーブ。Vを引き寄せる14番のバーディーにつなげた。 「54度や58度のウェッジでは1ピン手前にピンポイントで落とさなきゃいけない。転がす方が寄るイメージが湧いた。米ツアーに行って覚えたことです」。自身の成長を実感しながら日本のギャラリーの大歓声に埋もれた。 最終18番も2メートルのバーディーパットを沈めて、大逆転勝利。「本当に最後まで緊張していた」と、こわばっていた顔が一気にほころんだ。 前週の台湾から帰国直後、3日間大会の週はほとんどしないという月曜に異例の練習。「グリーンの芝の種類も違って、日本の速いスピードに感覚を戻したくて」。勝利への強い意欲に加え、準備にも余念がなかった。 次週の米ツアー最終戦・CMEツアー選手権(15~18日)が自身の今季最終戦。「優勝を狙います。そして来年はメジャー大会制覇を目標にやっていきたい」。年明け1月13日に20歳になる。来季は、大人になり、またひと味違ったゴルフでギャラリーを魅了する。 (月橋文美) <畑岡奈紗(はたおか・なさ)> 1999(平成11)年1月13日生まれ、茨城県笠間市出身の19歳。158センチ、62キロ。母親の影響で11歳からゴルフを始め、2015年から世界ジュニア選手権2連覇。17歳だった16年秋に日本女子オープン選手権で史上最年少優勝を果たしてプロ転向。17年から米ツアーに本格参戦。同年は日本女子オープンで2連覇するなど日本で2勝し、日本ツアー通算3勝。18年6月の「アーカンソー選手権」で日本選手では史上初となる10代での米ツアー優勝を達成。名前は米航空宇宙局(NASA)に由来する。
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