【プロ野球】浅村、FA行使 炭谷は検討、雄星は米へ 西武大流出の危機2018年11月6日 紙面から
プロ野球のFA有資格者が権利行使できる手続き期間が5日、始まった。国内FAの資格を得た西武・浅村栄斗内野手(27)は権利を行使することを球団に伝えた。オリックス、楽天、ソフトバンクが獲得に乗り出す構えだ。また広島の丸佳浩外野手(29)オリックスの西勇輝投手(27)、西武・炭谷銀仁朗捕手(31)らは権利の行使を検討。公示された91選手は13日までに在籍球団に意思を通知すれば、14日にコミッショナーからFA宣言選手として公示され、15日から他球団も含めた契約交渉が可能になる。 10年ぶりリーグ優勝の歓喜から一転、このオフは大荒れ模様だ。西武・浅村が今季取得した国内FA権の行使を決断した。解禁日となった5日、都内で渡辺久信シニアディレクター(SD)兼編成部長と、飯田常務取締役と会談。その席でFA宣言の意志を伝えた。 飯田常務は「球団として残ってほしいと伝えたが、申請するということだった」と説明。浅村は7日に会見して自身の思いを明かす。 浅村は大阪桐蔭高から2009年にドラフト3位で入団。10年目の今季は打率3割1分で、ともに自己最多の32本塁打、127打点をマーク。13年に続いて2度目の打点王に輝き、主将としてチームの10年ぶりのリーグ制覇に貢献した。通算成績は打率2割8分7厘、147本塁打、645打点。年齢的にも働き盛りで、西武としては流出なら大打撃となるのは間違いない。 また、飯田常務は炭谷とも会い、残留を要望したことを明かした。飯田常務は「返事は保留だった」と話しており、炭谷も権利行使に踏み切る可能性が高い。いずれにせよ、浅村には楽天、ソフトバンク、オリックスの3球団が、炭谷にも巨人、楽天の2球団が獲得に乗り出すのは必至。宣言後の残留を認める西武も含め、大争奪戦となるのは避けられそうにない。 ◆「大阪に来て」オリ名乗りオリックス・長村裕之球団本部長(59)は5日、西武・浅村のFA権行使が明らかになったことを受けて、正式に獲得に乗り出す考えを明かした。 「ウチは獲得に向けて動きたい。地元の大阪に帰ってきて、チームに力を貸してもらいたい。あれだけの選手だから(獲得に乗り出すのは)何球団もあると思うけど誠意を持って対応していきたい」。楽天などとの争奪戦が予想されるが、「まずウチとしての浅村君の評価を出させてもらう。まだ若い、これからの選手と思っていますから」と話した。4位からの浮上を目指すチームにとって欠かせない存在。球団では4年契約を基本線に金額でも他球団に負けない条件を用意し、本格的に交渉に乗り出す。 ◆4年20億用意 楽天「魅力的」楽天は5日、西武・浅村のFA権行使が明らかになったことを受け、獲得参戦に前向きな姿勢を見せた。球団幹部は「調査している。素晴らしい選手で、戦力として、とても魅力的」と明言した。浅村は今季「3番二塁」として打率3割1分、32本塁打、127打点を挙げ、西武を10年ぶりリーグ優勝に導いた。楽天は打力強化が急務で、二塁手のレギュラーが固定できていないチーム事情からも水面下で調査を行ってきた。 すでにオリックスが獲得参戦を表明するなど争奪戦の様相を呈しているが、楽天は浅村に対し総額4年20億円の大型契約を用意。西武でつけていた背番号「3」を提示するプランも浮上している。 ◆タカ、強い関心ソフトバンクが、FA権を行使することが5日に分かった西武の浅村の獲得に興味を示している。球団幹部は同日までに「正式に(表明を)されてからになるが、素晴らしい打者だと思う」と強い関心をにおわせた。 内野陣はチームリーダーの内川が来年で37歳になり、松田宣も36歳になる。今月12日で28歳になる浅村の存在は、世代交代を進めていきたい球団の思惑と合致する。 ◆ポスティング容認 本人に伝達来年1月に西武の球団本部長に就任する飯田光男常務が5日、菊池雄星投手(27)に対し、ポスティングシステムを利用した今オフの米メジャー移籍を容認する方針を伝えた。 飯田常務は都内で渡辺久信シニアディレクターとともに菊池と面会して意思を確認。「(菊池は)『メジャーに挑戦するのは夢なので行きたい』と話した。球団としてもここまでチームに貢献してくれたので夢を応援したい、と伝えた」と説明した。 シーズン全日程を終えた10月21日に居郷球団社長が同システムを利用してのメジャー移籍容認を発表。今回、球団側はその方針を本人に直接伝えた。 ポスティングシステムの申請は12月5日が締め切り。球団は近く日本野球機構(NPB)に申請を行う予定で、その後、米大リーグ機構(MLB)に契約可能選手として通知される。なお、今オフからは選手が結んだ契約金と年俸の総額に応じて、日本球団への譲渡金が決まる。 菊池は岩手・花巻東高時代からメジャー志向が強く、2016年オフの契約更改交渉で球団に挑戦の希望を伝えていた。 同年から3年連続2桁勝利を挙げ、今季はプロ9年目で初のリーグ優勝に貢献。エースとして実績を残し、長年の夢をかなえる権利をつかんだ。
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