新たな勤務先の情報を金融機関に届け出る必要性とは?

【iDeCo】転職したときの手続き方法【個人型→個人型編】

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pixta_30439864_m2017年1月から加入対象が広がり、会社員や専業主婦でも加入できるようになった個人型確定拠出年金「iDeCo(イデコ)」。運用中の利益がすべて非課税になり、60歳以降に受け取る際にも優遇税制があるなど、税制面でのメリットが多く、活用を検討している人も多いことだろう。

iDeCoのメリットは、税制優遇に限らない。会社の確定給付年金や退職金は、その会社を辞めた時点で清算されるのが普通であるため、老後資産形成の継続性に問題がある。しかし、iDeCoはその心配がない。なぜなら、転職時に、年金資産として新たに所属する会社に移換することが可能だからだ。

では、実際に転職する際には、どのような手続きが必要になり、iDeCoに入れている資産をどのように動かすことになるのだろうか。確定拠出年金アナリストの大江加代さんに聞いた。

会社員、公務員…ステータスの変化は報告必須

「転職時の手続きは、iDeCoのままで進めていくか、企業型確定拠出年金(以下、企業型DC)に移換するかで変わってきます。会社によっては、企業型DCにまとめなければいけないところもあるので、まずは転職先に確認しましょう」(大江さん・以下同)

今回は、会社が企業型DCを導入していない、または企業型DCを実施しているがiDeCoへの加入も認めている場合の手続きを教えてもらった。

「iDeCoを継続するのであれば、資産を別の金融機関に動かす必要はありません。ただし、書類を提出して変更しなければならないことがいくつかあるので、契約している金融機関のコールセンターに連絡し、転職する旨を伝えましょう」

転職時にもっとも重要なポイントは、会社員や公務員、自営業など、自身のステータスが変わるかどうか。iDeCoはステータスによって月々の掛金の上限が異なるからだ。企業に確定給付型の年金や企業型DCなどがない会社員は年額27.6万円、企業型DCのみの会社員は年額24万円、確定給付型の年金がある会社員や公務員は年額14.4万円、自営業は年額81.6万円となる。

ステータスが変わる場合は、「被保険者種別変更届」を金融機関に提出する必要がある。上限が変わったことで、月々の掛金の額を変更する際には「加入者掛金額変更届」も同時に提出。離転職に拘らず、iDeCoの掛金額は年1回変更できるが、この時の「加入者掛金額変更届」はその1回にはカウントされないのでご安心を。

例えば、上限額が年額27.6万円から年額14.4万円に下がっても届け出ずに、年額27.6万円のまま積み立て続けたとする。後になってステータスが変わっていることが発覚すると、上限を超えて積み立てられた分の資産は自動的に売却され、必要な手数料を差し引かれた額が手元に戻される。売却タイミングが指定できず、手数料も取られてしまうため、早めに届け出た方がいいだろう。

ちなみに、毎年6月に金融機関から勤務先へ、加入者の情報に誤りがないか、確認が入るとのこと。ステータスが変化しなくても、勤務先が変わったことは金融機関(運営管理機関)に知らせる必要がある。

新たな勤務先の情報も申告

「会社員の場合、企業の退職金制度によって上限が変わります。確定給付企業年金がない会社からある会社に転職する場合、年額の上限は14.4万円に下がるのです。会社に加入者資格や掛金の上限を証明してもらうため、勤務先が変わったことを届け出ましょう」

手続きは「加入者登録事業所変更届」「事業主の証明書」を金融機関(運営管理機関)に提出すれば完了だ。届け出ていなくても特に罰則などはないが、前述のとおり掛金の上限が変わった場合は上限以上の掛金が自動売却されてしまう。

転居する場合は、新たな住所の登録を忘れずに

転職に伴い、引っ越しをする場合は「加入者等氏名・住所変更届」も金融機関(運営管理機関)に提出することとなる。

「住所を変更していないと、『小規模企業共済等掛金払込証明書』が手元に届かなくなります。この証明書は、掛金の所得控除を受ける際に必要になってくるため、住所情報を最新のものに変更することは重要です」

「小規模企業共済等掛金払込証明書」が届かなければ、税金の還付申告ができず、せっかくのiDeCoの恩恵を受けられなくなってしまう。

「基本的にすべての書類は、金融機関(運用管理機関)のコールセンターに連絡すれば送ってもらえます。ただし、郵送でのやりとりになり、多少時間がかかるため、早め早めに動くと安心です」

転職後は新しい職場に慣れるまで、何かとバタバタしやすいため、その前に書類だけでも取り寄せておくといいかもしれない。

転職しても自分の年金資産をそのまま持ち運べるところがiDeCoの魅力だが、勤める会社の制度や雇用形態に応じて掛金の上限などが変わる。転職先に事前に確認しておくとよさそうだ。
(有竹亮介/verb)

※記事の内容は2018年3月現在の情報です

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