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はじめに
三平方の定理、あなたはちゃんと説明できますか?問題、解けますか?
中学数学の中でも、図形問題はなかなか難しいものの1つです。三平方の定理は、その図形問題を解く際の基礎であり、必要不可欠な知識です。ですので三平方の定理をしっかりと理解し、応用もできるようになっておかないと、高校入試の数学には太刀打ちできませんし、高校に入ってからの数学にもついていけなくなります。
授業では習ったけどいまいちよく分からない…、そもそも三平方の定理って何…?というあなたに向けて、この記事では三平方の定理について分かりやすく解説していきます!
三平方の定理の公式とその証明を説明した後に、例題を元に計算問題の解き方、応用も紹介していきます。更には三平方の定理の中に必ず出て来る√(ルート)についても最後に解説します。
この記事を読めばあなたの理解もきっと深まります!
三平方の定理とは
三平方の定理とは
三平方の定理は、ピタゴラスの定理とも言われ、直角三角形の3辺の長さの関係を表す等式のことをいいます。この定理を使えば、直角三角形の2辺の長さがわかっていれば、残りの1辺の長さもわかってしまうのです。具体的には、「斜辺以外の2辺の長さをそれぞれ2乗して足すと、斜辺の長さの2乗に等しくなる」というものです。
どういう場面で使われるのか
図形問題では頻出の知識です。ただし高校入試レベルの問題となると、そのままの形で登場することは多くありません。相似や合同など、他の図形的知識と組み合わされた、融合的な図形問題を解く際の1つのパーツとして使われます。ですので、一見ここは三平方の定理を使う場面なのかどうか分かりにくいような問題がよく出てくるため、使い所を「見抜く」力が必要になってきます。
実戦レベルの例としては、後にも紹介しますが空間図形の高さを求めたり、辺の比から角度を求めたりするような使われ方をします。
三平方の定理の公式
三平方の定理の公式を紹介します。下の図のように直角三角形の直角を挟む2辺をa,bとし、斜辺をcとすると
a²+b²=c²
の等式が成立することを三平方の定理と言います。
三平方の定理の証明
三平方の定理の証明について紹介したいと思います。三平方の定理の証明方法は100通り以上あるといわれていますが、ここでは有名で分かりやすいものを2つ挙げています。
1つ目は、ピタゴラスによって証明されたといわれている方法です。図形の組み換えにより三平方の定理の等式が証明されています。
真ん中の黄色の正方形の面積は、下図のように
となります。
これを組み替えると下図のようになり、見て分かるように1辺の長さがaの正方形とbの正方形を足し合わせた面積が、さっきの黄色の部分の面積と等しくなります。
よって
が示されました。
2つ目はガルフィールドによって証明されたといわれている方法です。
下図において、台形ACDEの面積は、
また、台形ACDE=2△ABC+△ABEなので、
⇔
⇔
となり示されました。
特殊な直角三角形の角度・比
30°:60°:90°の直角三角形
直角三角形の中でも、直角以外の2角の角度が30°と60°になっているものは、下図のように辺の比が1:2:√3になることが知られています。中学数学の問題ではよく出てくるタイプの三角形なので、この角度と辺の比の関係は絶対覚えておきましょう。
これは高校数学で習う「余弦定理」というものを使えばすぐに証明できるので、気になる方は調べてみてください。
45°:45°:90°の直角三角形
こちらは直角以外の2角が2つとも45°になっている三角形、すなわち直角二等辺三角形です。これは辺の比が1:1:√2になります。
この三角形の角度と辺の比も必ず覚えておくようにしましょう。
三平方の定理の計算問題の解き方
斜辺以外の辺を求める問題
斜辺以外の辺を求めるときも、同様に公式に当てはめるだけです。
【例題】
上図の三角形の辺の長さxを求めよ
x>0より
x=12が答えになります。
慣れてきたら一気に
と立式してしまいましょう。
辺の比から角度を求める問題
3辺が与えられていて、そこから角度を求める問題もあります。
一見どうすればいいのか分からなくなりそうですが、落ち着いて数字を見ることで、あることに気づけると簡単に終わります。
【例題】
上図の三角形の2角x,yの大きさを求めよ
図の3辺の長さの比は
2√3 : 4√3 : 6
ですが、これを辺々2√3で割ってみましょう。
すると
1 : 2 : √3
となり、これは例の特殊な直角三角形だということが分かります。
よって
x=60°
y=30°
と瞬時に分かるのです。
特殊な直角三角形の辺を求める問題
1辺の長さしか与えられていないのに、残りの2辺の長さを求める問題もあります。これじゃあ三平方の定理が使えないじゃないか、と思うかもしれませんが、与えられた三角形をよく見てみると、例の特殊な直角三角形です。
【例題】
上図の三角形の2辺の長さx,yを求めよ
直角二等辺三角形の辺の長さの比は
1 : 1 : √2
でしたから、
と分かります。
三平方の定理の応用
三平方の定理が成り立つ整数の組
三平方の定理は、平方が登場してくる関係上どうしてもルートが出てきやすくなってしまいます。そのため、辺の長さが整数の比になる直角三角形は、小さい数字の範囲内ではそれほど多くありません。もちろん数字を大きくしていけばそのような直角三角形は無限に存在するのですが、とりあえず高校受験レベルでは、
3 : 4 : 5
5: 12 : 13
の2つだけ覚えていれば事足ります。
わざわざ三平方の定理を使って計算しなくても、この整数比に気づけば比の計算を使ってパパッと解けちゃうような計算問題も多々あります。「さんたいよんたいご」、「ごたいじゅうにたいじゅうさん」と頭の中で繰り返して覚えておきましょう。
【三平方の定理が成り立つ整数の組の例】
3-4-5
5-12-13
7-24-25
9-40-41
11-60-61
13-84-85
15-112-113
17-144-145
19-180-181
空間図形への利用
空間図形の問題では、三平方の定理を活かさなければならないことが多いです。
【例題】上図の直方体ABCD-EFGHの対角線CEの長さを求めよ
CEの長さを求めたいので、まずCEを辺に持つ△CEGに着目します。△CEGは直角三角形なので三平方の定理が使えます。
しかし、CG=4√5は与えられていますが、EGの長さが分かりません。
そのためEGを辺に持つ△EFGに着目します。これも直角三角形なので三平方の定理が使えます。
与えられた図形は直方体より、EF=CD=4、FG=AD=2が分かります。
よって△EFGにおいて三平方の定理より
EG>0より
EG=2√5です。
これでEGの長さが分かったので、△CEGにおいて三平方の定理より
CE>0より答えは
CE=10
と分かります。
次の問題はちょっと難しいです。
【例題】
上図の三角錐の体積をV、底面の面積をS、母線の長さをa、高さをh、底面の半径をrとする。
V=5π、S=3πのとき、母線の長さaを求めよ。
まず素直に与えられた条件を元に立式してみましょう。
三角錐の体積の公式(底面の面積×高さ×1/3)より
よって
h=5
と分かります。
また円の面積の公式より
よって
r=√3
と分かります。
また頂点から底面に垂線を下ろすと、h、r、aを3辺に持つ直角三角形ができます。
ここで三平方の定理を使うのです。
すると
この式にさっきのh=5、r=√3を代入すると
よって
a=2√7
という答えが出ました。
三平方の定理の逆とは
三平方の定理の逆とは、3辺の長さがa、b、cである三角形において、
a²+b²=c²
が成り立つならば、その三角形は辺cを斜辺とする直角三角形である
というものです。
これは図形の証明問題などによく出てくるので頭に入れておきましょう。
三平方の定理に出てくる「ルート」って?
三平方の定理の計算では、しばしば√(ルート)という記号が登場してきます。
これは平方根を示すものです。2乗したときその数字になるものをその数字の平方根と言います。
たとえば2²=2×2=4なので、4の平方根は2です。これを√を使って表すと√4=2となります。
同様に、3²=3×3=9より、9の平方根は3、√9=3です。
これらはスッキリとした数なのですが、例えば2の平方根は1.414・・・と無限に小数点が続いていく数になってしまいます。(これを無理数といいます)。平方根は、この無理数であることが多いので、ルートの記号を使って、2の平方根なら√2と見やすく表現するわけです。
ルートの意味や使い方を理解して、三平方の定理を使いこなすのに役立てましょう。
最後に
図形問題には頻出の三平方の定理、使い方さえわかってしまえばなんら難しくはありません。とにかく多くの問題を解いてみて、三平方の定理が使いこなせるようになることが大事です!この記事を見て得た知識を使って、三平方の定理を完全マスターできるようになりましょう!