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気軽に熱く eスポーツ 県内でも広がり

eスポーツの一種であるゲームの実況動画を配信する柴田裕介さん=静岡市葵区で

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 コンピューターゲームなどで対戦する「eスポーツ」が国内外で人気だ。アジア大会で公開競技に採用され、来年の茨城国体でも開催が決まった。静岡県内でも七月に「県Eスポーツ協会」が発足し、十一日に静岡市内で初めて大会を開く。

 「今の惜しかったね」「うまい!」。格闘技ゲーム「ストリートファイター5」の対戦者同士が相手の好プレーに声を掛け合う。

 静岡市葵区で九月下旬にあった交流会。参加者は二十~三十代の男性が多い。専用コントローラーを手に、パソコン上のキャラクターを操作し、熱戦を繰り広げる。プレーヤーは汗をかかず、痛みも感じない。ただ、その真剣な表情と会場の熱気はまさにスポーツだ。

 主催したのは市内の大学四年、高橋勇介さん(22)。全国の大学生による「ストリートファイター5」の大会で二年連続優勝、今年は準優勝に輝いた。

 プレーヤー名「エルシャール」で知られる。ネットを通じ、離れていても対戦はできるが、「集まってゲームする『オフライン』の方が、みんなで話しながらでき楽しい」と語る。

◆葵区の男性 趣味生かし職業に

 eスポーツを職業にした人もいる。柴田裕介さん(25)=葵区=は、「マグロヘッド」の名で活動するユーチューバー兼プレーヤー。動画投稿サイト「ユーチューブ」に、カードゲーム「シャドウバース」の対戦動画を配信している。

 幼いころからカードゲームにはまり、大学時代はゲームに時間を費やし過ぎて中退。「なんとか趣味のゲームを生かせる就職の道はないか」と、二年前に動画投稿を始めた。

 ゲームに対する知見が豊富な柴田さんの動画は人気を集め、ゲーム会社も高評価。ユーチューブの広告収入だけでなく、大会に解説者として呼ばれた際のギャラや、ゲーム会社の広報のための動画投稿で「普通に生計を立てられる収入はもらっている」と言う。

 県Eスポーツ協会の山崎葉人会長(36)によると、eスポーツ先進地の欧米や首都圏などと比べ、「静岡はまだまだ黎明(れいめい)期」。競技人口を増やそうと、今後、定期的に大会を開催したり、eスポーツの部活を立ち上げようとする学校を支援したりする。

 「老若男女、誰でも見ていて楽しく、プレーもできるのが魅力。気軽に参加できると知ってほしい」と話す。

(福島未来)

◆11日に初大会

 県Eスポーツ協会が主催する「Esports Festival(イースポーツフェスティバル)」は十一日午後一時半から。静岡市葵区黒金町の「LIVE ROXY SHIZUOKA(ライブロキシーシズオカ)」で。サッカーゲーム「ウイニングイレブン2019」を一試合十分で競う。「かつぴーや」選手ら国内トップレベルのプロ二人を含む十六人が参加する。参加と観覧は無料で、入退場自由。

◆対戦型ゲーム

 eスポーツ エレクトロニック・スポーツの略。コンピューターゲームやビデオゲーム、スマホを使った対戦型ゲームを指す。サッカーゲーム「ウイニングイレブン」、戦略的カードゲーム「ハートストーン」など種目は多岐にわたる。欧米では、賞金総額が26億円に達する大会もある。国内の最高額は約1200万円。日本eスポーツ連合が発行する「プロライセンス」所持者は国内に約120人いる。

 

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